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麒 麟

白い鱗がきれいに覆った体にしがみつく。


頬がひんやりと冷たくて気持ちいい。



「そりゃあ、脱水症状になるわ!」



現在、桜色のたてがみがなんとも可愛らしい麒麟によく似た動物に乗ってイマス。


乗っている、というよりも寝そべっているのか。


ぐったりしているあたしは、日光を遮るためといわれて大きな黒い布をかけられている。


暑いのかと思いきや意外と快適だ。


直接肌が日光に当たれば痛いと感じるほど殺人的な暑さだったので、布がありがたく感じる。


ちなみに冒頭の台詞は、その麒麟さんの言葉である。


「何の準備もせずに、無防備のまま、砂漠にいるなどと、何を考えての行動か!!」


麒麟さんは感情が高ぶったときに、ひとつひとつ区切りながらしゃべるのが癖らしい。


女の子を思わせる可愛い高い声と風貌とは裏腹に、古風も合わさった軍人気質な喋り方で麒麟さんは声を荒げる。


はい、なぜか只今説教中デス。


あのあと、どうやら麒麟さんに助けられたようだった。


最初言葉はわからなかったけれど、乾燥させた果物と、水々しい赤い果実を渡されて食べるように促される。


大丈夫なのかと不安に思いながらも、有無を言わせない目だったので、あたしは勇気をもって食べた。


乾燥させた果物の味はプルーン、これは脱水症状を起こしたときに食べるというものらしい。


そして赤い果実のほうは、缶詰の桃を食べていたのと同じようで味が濃かった。


これは言葉の意思疎通ができるようにするためのものだったらしい。


こんにゃくならぬ、翻訳ももというわけデスネ。


「全く我が家出をしなかったらどうなっていたというのだ……うぬは今頃、死んでいたであろう!!」


うぬ、とはどうやら、あたしのことらしい。


んん、ところでぶつぶつと、小さかった声だったので聞き逃しましたが、はい?



イ エ デ ??



麒麟さんは説教から、やがて八つ当たりぎみに愚痴をこぼし始めようとしていた。


……ここらへんで終わらせたほうが、いいかもしれない。


「あの、麒麟さん」


「……おい。麒麟などという、どこぞの人が決めた種別名で、我を呼ぶなよ。我には×××という、シュシンが決めた、名前があるのだ!!」


シュシンさんというひとをさぞかし慕っているんだろう。


えっへんと満更でもないような態度の様子で、麒麟さんは鼻高々といわんばかりだった。


……高飛車でも可愛い。きゅんとする。


それにしても麒麟さんの名前のときになって、急にぼんやりと伏せられたように聞こえなくなり結局わからずじまいだ。


「すみません、聞こえなくて……何ておっしゃったのか、もう一度お願いします」


「何度聞いても無駄だ、わざとそうさせているのだからな」


「……な、なるほど。では何と呼べばいいのですか?」


わざと聞こえなくさせているのはどうしてなのか。


これもわからないけれど、それを聞いたところでまた……無駄なんだろうなあ。


ふむ、と言ってしばらく考えた麒麟さんが答えた。


「ニコ、だ。ニコ様と呼べ」


そう言ってニコは機嫌悪そうに、フンと鼻を鳴らした。


まったくあいつは何を考えてああ我を呼ぶのだと、またぐちぐちと呟く。


ああ、話を反らすことに失敗……。


その後、街に着くまで延々と、ニコの愚痴につきあうはめになるのは、言うまでもない。


お気に入り登録、どうもありがとうございます!


おかげさまで200件超えるだなんて……思ってもみませんでした(^ω^;)


中盤は、さらりと書く予定だったにもかかわらず(それこそ1話でまとめる予定でした)、話を膨らみすぎてしまいまして強烈な脇役の登場です。


麒麟とかなんとか、本当だすつもりはなかったのですが……さてさてどうなることやら。


最後に、いつも見ていただきまして感謝感激です。


これからもよろしくおねがいします。

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