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暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第二部 藤武戦争
89/139

File47.5 山崎と因縁

 俺は九鬼泰照。今から山崎祐太郎のいる事務所にカチコミをかけようとする男だ。

 「九鬼」

 「貴方は…」

 俺に声をかけたのは、中年の男。その男は服に藤松会の代紋を付けており、髪は白髪交じりのオールバック。そして灰色のスーツを着ていた。

 「山崎のバカを倒しに行くんだろ。俺も連れていけよ」

 立花貞行(たちばなさだゆき)。藤松会直系高瀬組幹部。立花さんは、右手と左手の人差し指と中指にはめた指輪に隠されたナイフを使う、所謂隠しナイフ使いであり、裏社会での異名は『RK(リングナイフ)の立花』である。

 「アイツは任侠を忘れ、カタギを手にかけた。だから、兄貴分である俺が殺さねばならない」

 そう、立花さんは山崎の兄貴分であり、藤松会にいた頃に山崎を組内で唯一可愛がっていた人であった。しかし、山崎は組内で大きなミス、いわば無実のカタギを負傷させた事により、組から追い出された。立花さんは山崎を組から追い出すのを反対していた。何故なら、山崎はいつか反省すると思っていたから。

 だが、山崎は反省せず、しかもカタギを殺した。それを立花さんは許すわけにはいかなかった。

 「俺は奴が反省すると勘違いしていた。だから、この手で奴を殺すのが俺の唯一の償いだ」

 俺は立花さんから山崎がカタギを殺したという怒りと、この手で舎弟を殺さねばならないという悲しみが見えていた。

 「分かりました。では、奴を殺りに行きましょう」

 「あぁ」

 そして、俺達は山崎唐蓮会の事務所がある富栄町南部に向かった。

 その事務所に着き、俺はドアを蹴り破る。

 「オラァ!テメェら、取り敢えず転生じゃあ!」

 「貴様らに来世はないがな」

 「なんじゃあ!?」

 「くそっ、九鬼だ!しかも立花の野郎もいやがる!」

 山崎唐蓮会の構成員達がドスや刀を出し、こちらに突撃する。

 「お前達にオヤジは殺らせねぇ!」

 「ぶっ殺せぇ!」

 「そうか、じゃあ来世は勇者に倒されるゴブリンかな?」

 俺は二本のドスを取り出す。

 「死ねぇ!」

 ある構成員が刀を振り上げる。

 「させねぇよ!」

 降ろされた刀を俺は左手のドスで防ぎ、右手のドスで奴の肩を刺す。

 「ぐばぁ!」

 「もう一回!」

 今度はコメカミにドスを刺す。

 「ぐへぇ!」

 それで奴は死んだ。

 すると、また別の構成員が立花さんに殴りかかろうとする。

 「取り敢えず気絶しとけジジイ!」

 「ふん、ここにいなければ死ななかったものを」

 立花さんは指輪から小さな刃を出し、奴より速く、拳を喉に当てる。

 「おらぁ!」

 「ぐひゅっ!」

 「追撃だ」

 さらに、立花さんは拳を喉の下に下げる。

 「がぁぁ!」

 それにより相手はKOだ。

 そして、俺達は構成員を殺り続ける。

 「二刀流コンボじゃあ!」

 「ぐばぁ!」

 「小さな刃で切られる恐怖は乙なものだろう?」

 「ぐへっ!」

 構成員を倒し続ける内に俺はある男を見つける。

 「アイツは…」

 その男は緑のスーツでメガネをかけている。奴は荒本達を騙した小柳という弁護士、否、構成員だ。

 「やはり偽弁護士か」

 俺は逃げようとする小柳を取っ捕まえ、逃げられないように腱を切る。

 「ぎゃはっ!」

 「テメェ、ここの組員か?」

 「は、はい!そうです!」

 「それで、山崎の居場所は?」

 「奥の部屋にぃ!」

 「そうかい」

 俺は奴の腹をドスで抉る。

 「ぐばぁぁ!」

 そして、構成員を片付けると、俺達は奥の部屋に入る。

 「おらぁ!山崎ぃ!往生せいやぁ!」

 「お前が組長の座に座るなんて偉くなったもんだな」

 「なっ!九鬼に立花!何故ここが!」

 「テメェは殺りすぎたんだよ」

 立花さんがボクシングの構えをとる。

 「まぁいい。俺のこのバグ・ナクで切り裂いてやるよ」

 山崎の異名も『顔切りの山崎』。奴はインドで使われた小型武器、バグ・ナク(虎の爪)を手に嵌める。

 「取り敢えず切られとけぇ!」

 山崎の姿はまるで虎のよう。手を上げ、襲いかかる。

 「遅い」

 しかし、立花さんはそれを簡単に避ける。

 「ちっ、立花ぁ!俺はお前が嫌いだったんだよ!何が任侠だ!結局は金とそれなりの地位が無いと意味がねぇ!」

 「そうか。そう考えるんなら、お前に生きる価値はない」

 「うるせぇ!」

 またも攻撃を立花さんは避ける。

 「しつこいぞ」

 「ちぃぃ!」

 立花さんの煽りが山崎の怒りを増幅させる。

 「くそがぁ!」

 山崎が大振りの攻撃を仕掛ける。

 「オイオイ、戦場ではあまりそういう動きをするな何度教えたことか」

 立花さんは、山崎の腹にボディブローを決める。

 「ぐばぁっ!」

 山崎の腹からは血が流れる。

 「くそったれ…」

 「お前はもう、死ぬしかないんだよ」

 すると、山崎はバグ・ナクを外す。

 「わかった!俺の負けだ!」

 何と山崎は土下座をしだした。

 「山崎…」

 「俺は確かに、カタギを殺した!それは腹の底から反省してる!警察に行って、全てを話しますからぁぁぁ!」

 山崎の言ったことは、本心からの言葉であった。

 「顔を上げろ、山崎」

 「はい」

 山崎が顔を上げ、立花さんを見る。

 「わかった。お前がそういうなら、俺もお前を生かそう。じゃあ、早く警察に」

 「なんて言うかよボケがぁぁ!」

 山崎は懐からドスを取り出し、立花さんの腹にそれを突き刺した。

 「ケケケ!バカめ!これだから任侠者は!」

 しかし、立花さんが口を開く。

 「ふっ。やっぱりそういうことね」

 「何っ!」

 「こうなることは分かっていた。だから、一緒に地獄に行ってくれ」

 立花さんは山崎のコメカミと喉に向けてジャブを決めた。

 「かふっ」

 山崎は白目を向き、そのまま倒れた。

 「立花さん!大丈夫ですか!」

 俺は立花さんを見る。しかし、立花さんは笑顔でドスを抜いた。

 「ふっ、大丈夫だ」

 すると、立花さんは服を脱ぐ。すると腹にサラシを巻いていた。

 「なぁに、何枚もギチギチに巻いているんだ。これだけじゃあ死なんよ」

 「よかった…」

 「後の事は任せろ。もう帰っていいからな」

 「了解しました」

 俺は山崎唐蓮会の事務所出た。すると、そこには闇夜を照らす月があった。

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