File38 暴走集団『爆裂』
俺は九鬼泰照。悪を世間に売る情報屋だ。
今回の依頼者は、まさかの学生で、名を北島篤と言った。
「依頼内容を」
「俺の親父を植物状態にした…クズたちに制裁を………」
北島は、まさに奴らを許さんばかりの怒りを露わにしていた。
北島は、学校でいじめられていた。
教科書を捨てたり、机を壊されたり、暴力を振るわれたり…そんなものは日常茶飯事であった。
しかし、北島が一番言われていたのが、北島の親が片親という事だった。
北島の母は、数年前に事故で亡くしていた。唯一の親は父のみ。北島は、自分の親の事を悪く言われるのだけは、嫌だったのだ。
そんなイジメを行っていた奴らの主犯格は、川邊英貴と言った。
川邊の父親はとある大企業の社長。川邊はその親のボンボン息子であり、暴走集団『爆裂』のリーダーであった。
川邊は片親である北島の気持ちが分からず、悪意があってのイジメであった。
北島は川邊が社長の息子なのは本人から知らされていたため、先生にも相談できず、父親にも迷惑をかける事は出来なかった。
そんな状態が続く内に、北島は悲劇を味わうことになる。
それは、夜に父と買い物に行った帰りの事であった。
信号を渡ろうした際、遠くからバイクが走る音が聞こえてきたのだ。
(なんだ……まさか……)
北島がそう思った瞬間、変に武装したバイクが近くまで来たのだ。
「なんだ……この時代に暴走族か?」
父親が言うと、二人の前に数台もののバイクが止まった。
すると、先頭のバイカーがバットを持って父親の前に止まる。
「な、何ですか…」
「死んどけや」
何とそのバイカーは父をバットで殴ったのだ。
「なっ、父さん!」
北島が父親の方に駆け寄る。
「オイオイ、お前の父さんこんな奴かぁ?」
北島が声で気付く。川邊だ。
「北島くんさぁ…マジで不幸な父親を持ったよなぁ!アッハッハッハッハ!」
「ハハハハ!」
「ギャハハハハ!」
そう言って奴らはここを去った。
「父さん!父さん!」
北島が救急車を呼ぶも、父親は植物状態となり、北島は奴らを許すわけにはいかなかったのだ。
北島はいつも家で一人であった。
そんな時間を数日もの過ごしてきたある日の事。
学校から帰り、家で一人で静かにいた。その時、インターホンの音がなった。
「はい…」
北島が玄関に向かう。そこには、知らない顔がいた。
「あ…どうも…」
北島の元に訪れたのは、父親の知り合いと名乗る男であった。
「失礼します」
年下に対しても礼儀正しい男。北島は何者なのか気になった。
「実は、貴方の父親には凄くお世話になりましてね…あぁ、言い忘れました。私、藤松会の若頭、福地康史といいます」
なんとその男はヤクザだったのだ。
「知り合いから聞いたのですが、貴方の父親、今植物状態なのですね」
「はい…しかも…父さんを襲ったのは、川邊という男で…」
「川邊……あぁ、聞いたことがあります。確か大企業の社長に川邊という男がいるんです。その息子なんですか」
「はい…そうなんです」
「そうですか……川邊は色んな所に顔が利く……そうだ。貴方に良いところを教えましょう」
そして、そのヤクザは、暴露屋を教えたのだ。
「どうか……お願いします!奴らを…父さんを嗤った奴らをどうか…………!お願いします!」
「分かりました。では、奴らに地獄を見せましょう」
俺は川邊が頭を張っている、爆裂を調べ上げた。
爆裂。ここら一帯を縄張りにしている少数の暴走集団。リーダーは川邊英貴。
過去にもいろんな暴行事件を起こしており、その度に川邊の父親が警察に賄賂を渡している。
俺はこの情報をマスコミに売った。
その結果、まず川邊本人は学校を退学。さらに爆裂のメンバーも学校を退学になった。
父親の方も賄賂を渡していることがバレ、社長の座を降りて、賄賂の罪で逮捕された。
その後、川邊は家族から勘当され、爆裂のメンバーだった奴ら全員は、あてのない放浪生活をしているらしい。




