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暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第一部 藤絵戦争
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File29.5黒畑編 設立秘話 前編

 俺は黒畑純紀。桐田さんの右手を務める半グレだ。

 ある日の事。俺は桐田さんに『サシで飲もう』と誘われた。

 場所は桐田さんの行きつけの黍出町東北部のバーだった。

 俺がそのバーに入ると、桐田さんは既に一人で飲んでいた。

 桐田怜介。その男はかつて自分の両親を殺し、三人の幹部を引き込んだ。

 俺は桐田さんの隣に座る。

 「遅かったな」

 「すいません。少しばかり取引で時間がかかってしまい」

 「いいんだ。俺は、お前と飲みたいがために誘っただけだ」

 そして、俺は桐田さんの頼んだ酒を飲んだ。

 「………黒畑よ。早乙女や山王、下尾という幹部は知っていたよな」

 「えぇ。一度だけ顔を合わせたことがあります」

 「俺がそいつらをどうやって引き込んだのか気になるか?」

 「まぁ、少しはばかり」

 「そうか。客は俺たちだけだ。折角の機会だし、話してやろう」

 そう言って、桐田さんは語りだした。




 8年前、当時25歳の桐田さんは裏社会で成り上がろうと考えていた。

 そこで目を付けたのは、当時、千葉の小さなヤクザ組織、富屋(とみや)組との関わりにより、弁護士バッチを剥奪された早乙女孝男であった。

 富屋組に復讐を考えていた早乙女は協力者が必要であった。

 そんな二人は、千葉のドヤ街で会った。早乙女はそこを根城にしていたのだ。

 桐田さんは早乙女にこう語りかけたという。

 「俺と一緒に富屋組を滅ぼして、一緒に成り上がろうではないか」

 早乙女は当初、富屋組を滅ぼしたら、桐田さんを切ろうと考えていた。

 そして、彼らは2人で、富屋組の事務所にカチコミをしたのだ。

 「お前たち、今から死ぬがいい」

 そう言った桐田さんは、目の前にいた構成員の腹を抉ったのだ。

 桐田さんは躊躇なく、容赦なく、殺戮を続けた。

 そして、二人は組長の富屋浩一郎(とみやこういちろう)を追い詰めた。

 「さ、早乙女!なんでお前が!」

 「復讐ですよ。富屋さん」

 カチコミの直前に、桐田さんは早乙女にこう言っていた。

 「組長は自分で殺せ」

 無論、殺しなどしたことのなかった早乙女はナイフを持つだけで冷や汗をかいた。すると、桐田さんが早乙女の耳元で囁いた。

 「出来ないのか?復讐は自分でやれよ」

 その時、早乙女は殺らなきゃ殺られると考えていたそうだ。

 「うわぁぁぁぁ!」

 早乙女は手に持ったナイフで富屋を刺した。

 「ぐはぁぁぁ!」

 富屋は腹を抑え、そのまま倒れた。

 「はぁ…はぁ…」

 早乙女の手は震えていた。

 「よくやった」

 桐田さんは、まるで生徒を褒める教師のように早乙女を撫でた。

 その時、早乙女は言った。

 「どうか、貴方の元でやらせてください」

 「そうか。お前のような人材がいると、頂点に登りつめやすい。よろしく頼む」

 これにより、二人はチーム絵札を設立した。

 それからは、二人は地元の半グレや愚連隊を恐怖や金でチーム絵札の構成員にさせた。

 その数、50人。チーム絵札は千葉で成長を続けた。

 そんな中、千葉の飲み屋街で桐田さんと早乙女がふらついていた時、とある看板に目が入った。

 『殴られ屋』

 その看板の隣には、屈強そうな男が立っていた。

 「楽しそうだな。たまにはやってみるか」

 二人はその男に近づく。

 「おい、そこの男」

 桐田さんは男に話しかけた。

 「なんだよ、オッサン?」

 「これでもまだ25なんだ。アラサーだよ」

 「アラサーねぇ。俺もアンタと歳は同じくらいだ」

 「そうか、名前は?」

 「俺は山王慎哉。これでも『喧嘩師』という異名を持っている」

 「喧嘩師ねぇ…アンタ、殴られ屋の者だろ?」

 「そうだ。5分間で俺を殴ってみろ。殴ってその攻撃が当たったらお代はタダだが、殴れなかったら、千円を渡せ」

 「ふぅん、随分アコギな商売をしてるもんだ」

 「じゃあ、始めるとするか」

 そして、二人の勝負が始まった。

 「フン!」

 桐田さんのストレート。それは当たると思っていた。しかし、山王は直ぐに後ろに避けた。

 「ほう」

 「こいよ!始まったばかりだぜ!」

 「ホッ!ハッ!」

 今度は2発のラッシュ。しかし、それも当たらなかった。

 それから4分経ったが、桐田さんのパンチが一発も当たることはなかった。しかし、桐田さんは疲れることはなく、平然としていた。

 「やるじゃないか、まだゼェゼェとしてないなんて」

 山王が笑い飛ばす。しかし、桐田さんはそれを見下すように返した。

 「まぁいい。一発当てればいいだけの話だ」

 「そればどうかな?ハハハハ!」

 山王が顔を上げて笑った瞬間。

 「フン」

 桐田さんは山王の腹を殴った。

 「なっ…」

 山王は腹を抑える。

 「くっ…」

 「もう5分経っただろう。帰らせてもらう」

 桐田さんはそこを去ろうとした。すると山王が話しかけた。

 「アンタ…ただもんじゃねぇな」

 「まぁ、これでも組織の頭を張ってるからな」

 「組織名と貴様の名は?」

 「チーム絵札、桐田怜介だ」

 「そうか…」

 山王がニヤリと笑う。

 「じゃあな。もう会うことは無いだろう」

 桐田さん達はそこを去った。

後半に続く

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