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暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第一部 藤絵戦争
39/139

File23.5 兄貴分

 某月某日。藤松会直系高瀬(たかせ)組の幹部、佐伯直俊(さえきなおとし)は、舎弟二人とともにシマの見回り兼、守り代の徴収に出かけていた。

 佐伯は、会内でも武闘派として知られ、異名は『戦神の佐伯』。

 更に佐伯は舎弟から愛されており、同じ高瀬組である比嘉や伊波、かつて死んでしまった戸崎からも兄貴分として慕われていた。




 見回りをしているとき、佐伯達は苑頭町南部にある、とあるビルに入った。

 そこは、二階に『キタオファイナンス』という金融機関があった。

 佐伯達はそこに入り、そこの店長である北尾(きたお)に挨拶をした。

 「あ、佐伯さん。こんにちは」

 「よぉ、北尾さん。商売の方は?」

 「えぇ。なんとか、貴方達に守り代を払えるくらいには」

 そして、北尾は佐伯に何枚かのお札が入った封筒を渡そうとした。すると、玄関の方から扉を強く叩く音が聞こえた。

 「なんだ?」

 「私が行ってきます」

 北尾がそう言って玄関の方に向かった。その時、銃声が聞こえた。

 「なんだ!?」

 片方の舎弟が懐からドスを取り出す。

 そして、玄関から部屋に繋がる扉が蹴り破られた。

 「きしゃあ!てめぇら皆殺しだぁ!」

 そこには、オールバックヘアーの男がいた。

 「てめぇは、狡猾の梅戸」

 「そうだ。今から死ぬんだよ!」

 「お前たち、逃げ…」

 梅戸は佐伯の後ろにいた舎弟をいつの間にか撃ち殺していた。

 「き、貴様ァ…」

 「確か、戦神の佐伯だっけなぁ…俺はチーム絵札の人間に生まれ変わったんだよ」

 「そういえば、風のうわさでバイドクの梅戸がチーム絵札に行ったとは、聞いていたが、こんなことになるとはな」

 佐伯の口は笑みがこぼれていた。

 「何がおかしい」

 「戦神の佐伯を舐めるな。俺は腐っても、藤松会の男なんだよ!」

 そう叫んだ佐伯は一目散に階段の方に向かった。

 「何逃げるんだぁ?」

 梅戸は佐伯を追う。しかし、佐伯が向かったのは一階ではなく、屋上であった。

 「よし、ここまで行けば…」

 屋上の扉を開けると、そこにはチーム絵札の構成員二人が待ち構えていた。

 「くっ…」

 「ぐへへ、佐伯のタマは俺がとってやる!」

 一人が、銃を発砲する。しかし、それは佐伯には当たらなかった。

 「なに…いな」

 いつの間にか、佐伯は後ろにいた。そして、ソイツの首の骨を折った。

 「いぎっ…」

 「うわぁ!八木(やぎ)ィ!」

 もう一人は既に怯えていた。

 「容赦なんかねぇよ」

 佐伯はもう一人の頭を掴み床に叩きつけた。

 「う……」

 二人を殺す頃には、梅戸は屋上に着いていた。

 「なっ…」

 「さぁ、次はお前だ」

 佐伯は懐からドスを取り出し、梅戸に突撃した。

 「ウラァァァァァ!」

 しかし、梅戸はここまで読んでいた。

 「バァカ!突撃するのは猪だけだって相場で決まってんだよ」

 梅戸は持っていた拳銃で佐伯の肩に撃った。

 「うばぁ…」

 「死ね!死ね!死ね!」

 梅戸は乱発し、佐伯の体には何個もの銃槍が出来た。しかし、佐伯が倒れることはなかった。

 「すぅ………」

 「な…なんで死なねぇんだ、このゾンビ野郎!」

 「さっきも言ったろ。俺はな、戦神の佐伯だ。そして、藤松会の男だァァァ!」

 佐伯はそのまま梅戸に突撃し、掴んだ。そして、柵の方まで吹き飛ばした。

 「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 柵が後頭部に当たり、梅戸の意識は途切れ途切れであった。

 「くそっ……ここで……死んで……たまる……か…」

 梅戸は隠し持っていたナイフを取り出そうとした。しかし、目の前には佐伯がいた。

 「地獄で待ってろ。直ぐに………そこに……行くからよ………」

 佐伯は梅戸の頭を掴み、15メートルもあるビルの屋上から、梅戸を落とした。

 「ギャァァァァァァァァ………………」

 梅戸の断末魔が途切れ、何が潰れる音がした。

 佐伯はその場で大文字で倒れ、比嘉に電話をかけた。

 「比嘉…」

 「どうしたんですか、兄貴?」

 「何人か連れて、ビラウドビルまで来てくれ…ハァ…ハァ…そこの、キタオファイナンスと、屋上を調べてくれ……」

 「えっ、何故です?」

 「理由はいい。今すぐ……来て……くれ……」

 「ちょっ」

 佐伯は電話を切った。

 (あぁ…会長や舎弟共と会って、いい人生だった……戸崎…俺もそっちに行くから…)

 佐伯の顔からは、生気を感じなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まだ戸崎さんの死を引きずっている私には、「会長や舎弟共と会って、いい人生だった……戸崎…俺もそっちに行くから」めちゃくちゃドシンとメンタルにきました(´;ω;`)ウゥゥ
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