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暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第一部 藤絵戦争
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27/139

File18 柳野司

 俺は九鬼泰照。暴露が日常的な行動になっている情報屋だ。

 今回の依頼者は若い男で、名を垣内修生(かきうちしゅうせい)と言った。

 「逆恨みで私を殺そうとした芸能事務所の社長を暴露してください」

 そう語る垣内は、怒りのオーラを纏っているかのような表情をしていた。




 遡ること数年前、垣内は路上シンガーとしてそこそこ名を馳せていた。

 自作の歌を作り、皆から拍手を貰うほどの実力の持ち主であった。

 その力は、テレビに出るほどであり、彼はSNSでバズりにバズったのであった。

 そんなある日、彼の家にとある人物が現れた。

 「すいません」

 「はい」

 玄関のドアを開けると、そこには恰幅のいいスーツを着た男がいた。

 「すいません、どなたでしょうか?」

 「私、こういうものです」

 男は垣内に名刺を渡した。渡された名刺には、『ヤナギノ芸能 社長 柳野司(やなぎのつかさ)』と書かれていた。

 ヤナギノ芸能は、垣内も聞いたことがあった。その芸能事務所は、色んな有名シンガーを生み出したという有名な所であった。

 「貴方の実力、世に出したいでしょう?」

 柳野は垣内にそう問いかける。しかし、垣内はその誘いを断った。

 「いえ、実は私、路上シンガーはあくまで副業としてやっているんですよ」

 そう、垣内の本業は、とある中小企業の社長で、いつも路上ライブをやっている所は会社の敷地内であるのだ。

 そう言われた柳野は笑顔でその場を去った。

 「分かりました。では」

 家を出る瞬間、柳野が舌打ちをしたことに垣内は気づかなかった。

 それから数日後、それは、帰路の途中のことであった。

 電灯が輝く夜道を歩いている際、垣内の前に焦る男が現れた。そして、その男は垣内に言う。

 「て、テメェ、死にやがれぇ!」

 男は、ドスを垣内の腹に刺した。

 「くっ…」

 男はそれだけすると、その場を去った。

 「救急車…」

 垣内は救急車を呼び、意識を失った。




 次に目覚めたのは病院。医師は九死に一生だったと言う。

 その後、自分を刺した犯人は捕まり、こう話していた。

 「自分は、芸能事務所の社長に指示されてやった」

 その時、垣内が思い出したのは、柳野のことであった。

 垣内が真実を知ったのは、それから一ヶ月後のことであった。ある時、ヤナギノ芸能の者と名乗る男から、電話が掛かってきた。

 「貴方と話がしたいので、アクサイドカフェで、落ち合いましょう」

 そう言って、電話を切った。

 アクサイドカフェはたまたま垣内の家から近くだったので、そのカフェに垣内は行くことにした。

 例のカフェに着くと、そこには、眼鏡を掛けた男がいた。男は手を上げて、ここに来るよう指示した。

 椅子に座ると、男はまず、名前を名乗った。

 「自分、ヤナギノ芸能の加瀬(かせ)と申します」

 加瀬は垣内に衝撃の事実を話した。

 「率直に言いますと、貴方の殺害を依頼したのは、柳野社長なんです」

 「な、それは…本当ですか」

 「はい。手に入れられなかった貴方を殺そうとしたんです」

 「それにしても、何でこんなことを俺に話すんですか?」

 「実はね、社長からパワハラを受けているんですよ。この事をここに話してください」

 加瀬が渡したのは、暴露屋の情報。それを知った垣内は、ここに来たのだとか。




 「お願いします。あの鬼を落としてください」

 「分かりました。では、地獄を奴に見せましょう」

 俺は、柳野を調べ上げた。

 柳野司。56歳。ヤナギノ芸能の社長で、自身は『芸能界の神』と自称している。過去に榊田(さかきだ)組に柳野が垣内殺しを依頼した。

 そして、その榊田組というのが、武蔵野会直系の組である。

 調べる必要性はないが、念の為に榊田組の事について、少しだけ調べた。

 榊田組の組長は、武蔵野会幹部の榊田敏孝(さかきだとしたか)という中年の男がやっている。そして、垣内を殺害しようとしたのが、そこの末端構成員である。

 まず、俺は柳野の情報を、マスコミにリーク。

 そのことにより、柳野は落ちる所まで落ちた。

 榊田組は、いずれウチ(藤松会)と当たる事になるだろう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 組同士の関係や情勢、勢力図が刻々と変化していって、チーム絵札の内部事情も目が離せないし、もうすごくドラマチックでヤクザ映画を観てるみたいな気分です!(*'ω'*)
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