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暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第一部 藤絵戦争
19/139

File13.5 最終兵器、出所。

 「もう二度と戻ってくるなよ」

 そう刑務官に言われた『武蔵野会の最終兵器』こと常岡は刑務所から出て一年振りに娑婆の空気を吸っていた。

 (ふぅ〜。久々の娑婆だ〜)

 そんな呑気な事を考えていると、自分の目の前に一台の黒い車が止まった。そして、そこから一人の構成員が常岡に挨拶した。

 「常岡の兄貴!ご勤め、ご苦労さまです!」

 この男は、かつて常岡の舎弟だった男。今では舎弟頭補佐に出世している。

 「大宮(おおみや)。お前も成長したなぁ」

 「では、こちらに」

 常岡と大宮が車に乗ると、車は急発進しだした。

 「大宮よぉ」

 「何でしょう、兄貴」

 「うちの組はライバルがいる限りどんなところでも外道になれる集団だ。だから、半グレと組んでも何も言われる筋合いはない。そうだろ?」

 「え、えぇ。もちろん」

 「ヘマやらかした奴なら殺しても構わないんだな?」

 「えっと…まぁ…そこら辺の線引は俺も分かりませんが、やらかしたらやっていいんじゃないですかね?」

 「そうか。じゃ、その逆も然りだな」

 そうこう話していると、気付けば車は武蔵野会のシマ、義憐(ぎれん)町に着いていた。

 「事務所まで送りましょうか?」

 「いや、一人で行く」

 「そうですか、では、お気を付けて」

 車は常岡を出すと、走り出した。

 (にしても、久しぶりだな、ここも)

 常岡がそう考えて風景を見ていると、何かが当たった。

 「そしたらそのオッサンがさ〜」

 「それまじ、ウケる〜」

 「オイ」

 常岡は自分が当たったであろう二人組を止めた。

 「何だよオッサン」

 「何故ぶつかったのに謝らない?」

 「そりゃあ、アンタが止まってるから」

 「別に、俺がココで止まってもいいだろう。町は皆の物だ」

 「ケッ!うるさいオッサンだな。おい、路地裏来い」

 チンピラにそう言われ、常岡は正直に路地裏に入った。

 「オッサン、俺達に謝ったら、この事は無かったことにしてやる。何故なら、俺達は泣く子も黙る無限絵札の構成員なんだよ!」

 「ほう…無限絵札ねぇ………ヘマした奴は殺ってもいいんだなぁ…」

 「な、何故それを?」

 「この顔見て知らねぇか。俺は常岡。これだけ覚えとけ」

 「クッ!うるせぇ!舐めたマネしやがって!」

 チンピラ二人は懐からナイフを出すと、それを常岡に見せびらかした。

 「ケッ!これでオッサンもゲームオーバーだ!」

 チンピラの一人が、突撃したきた。しかし、常岡が最終兵器とは知らない二人にとって、これが運の尽き。

 まず、刃物が体に当たる前に常岡は二本指でチンピラ一人の目を潰した。

 「ぐきゃあ!目がぁ!」

 「くっ…逃げるしかねぇ!」

 これに怯えたもうひとりのチンピラは後ろを向いて逃げようとする。

 しかし、常岡は目潰しした方のナイフを借りて、それで投げナイフをしてみせた。

 「ぐべっ!」

 そして、常岡は逃げた方の顔を面影が無くなる位殴ったのだ。

 「うぅ……この間、野球選手一人殺れたのに……」

 目潰しされた方が言った言葉に、常岡は反応した。

 「ほう……チーム絵札は俺達より外道なんだな」

 常岡は大宮に電話を掛け、二人を回収してもらった。

 「たくっ……こんなことしてる場合じゃねぇ。早く事務所に行かなければ」

 常岡は駆け足で事務所に向かった。




 常岡が事務所のドアを開け、門番の組員に自分が常岡だと説明し、和室に入れてもらえる事になった。

 和室で待っていると、襖が開けられた。

 「常岡。久しぶりだな」

 「あぁ、こちらこそ」

 武蔵野会の現会長と、最終兵器。この二人が相まみえる。

 「常岡…どうだったか?ムショでの生活は?」

 「いやぁ…楽ちんでしたよ。そこでのリーダーっぽい奴を半殺しにするだけで、すぐに弟分が出来ましたよ」

 「ほう。にしても、お前が鉄砲玉になった時は悲しかったよ。たかが敵対組織の組長一人殺るだけ簡単なのに」

 「貴方はインテリ系でしょうが。だから俺が選ばれたんですよ」

 「そうだな!アッハハハハ」

 本堂は狂気的に笑った。

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