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暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第一部 藤絵戦争
15/139

File11.5 誓いの破り

 藤松会と武蔵野会は戦後まもなく作られた組織であった。

 藤松会初代会長、藤松耕一郎(ふじまつこういちろう)と武蔵野会初代会長、武蔵野紀男(むさしののりお)は予めこの2つの組織が戦争を行わないように手を結んでいたのだ。これを裏社会では藤武(ふじたけ)の誓いと言われている。

 藤松会二代目会長、滝哲次(たきてつじ)と武蔵野会二代目会長、堤雄太(つつみゆうた)もこの誓いを破ることなく、藤松会三代目会長、桂田義成と武蔵野会三代目会長、本堂迅(ほんどうじん)も、初代、二代目に続き、この誓いを守っていた。しかし、ある時、この誓いは破られる事になる。




 この日は、会長の桂田と若頭の福地、若頭補佐兼護衛の島崎(しまざき)松木田(まつきだ)が、新しく出来たショッピングモールの視察に行った帰りであった。

 「オヤジ、オーナーが良い人で良かったですね」

 「あぁ、あの調子なら組は急成長だ」

 そう語っていた桂田、福地の前にヘルメットを被った不審者が止まった。

 「誰だい?アンタ」

 島崎が威圧をかけて不審者に近づく。すると、男はポケットからリボルバーを取り出し、島崎の心臓目掛けて撃った。

 「グフェッ」

 心臓を撃たれた島崎はその場に倒れ、その次に桂田を撃とうとする。

 「この野郎!」

 弾丸が放出された瞬間、桂田の前に松木田が遮った。弾はたまたま松木田の肩を掠め、桂田に当たることは無かった。

 不審者は予想外の事に驚き、リボルバーを捨てると、その場から逃げた。

 「松木田!お前はオヤジを連れて逃げろ!」

 「しかし、福地のカシラは」

 「俺はアイツを追いかける!早く!」

 「わかりました、オヤジ、車はあっちです」

 福地は早速、例の不審者を追いかけた。

 そして、不審者を袋小路に追い込み、逃げ場をなくした。

 「この野郎…オヤジを殺そうとしやがって…その面見せろ!」

 福地が不審者のヘルメットを外すと、そこには情けない男の顔があった。

 「これは…一体?」

 「福地さん」

 名前を呼ばれて後ろを振り向くと、そこには四人ほどの組員を連れた本堂がいた。

 「本堂さん?」

 「この男はウチの傘下の闇金で首が回らなくなった男なんです。どうせその後マグロ漁に行くことになるんで、せめて何かに使おうかと」

 「はぁ!?嘘だろ!?殺したら借金はチャラって言ったじゃないか!」

 「お前が殺したのは若頭補佐だろう。俺が言ったのは『組長と若頭を殺せ』と言ったんだ。殺せてないじゃないか」

 「そんな…嘘だ」

 福地が二人の間に割って出る。

 「ちょっと待った。本堂さん…まさか…ウチの組を…」

 「そうです。俺は藤武の誓いを破って、半グレ組織と協力したんです」

 「オイオイ!誓いを破るなんて、タブーだぞ!しかも半グレ組織と協力だなんて…」

 「結局ね、頂点を取るのは金と力、そして権力なんですよ。ヤクザやってそれを得ても、意味がなかった。だから、暴対法に縛られない半グレと組んだんだ」

 「そんな……」

 衝撃的なことにより、福地は真っ白になった。

 「ウチに歯向かっても無駄です。俺たちには、最強のチーム絵札と組んでいるのですから」

 本堂らが襲撃者を連れて行き、その場を去った。

 「くっ……」

 福地は、桂田に電話を掛けた。

 「オヤジ…武蔵野会が半グレと手を組んで、誓いを破りました」

 一人残された福地はそう伝えるしか他なかった。

藤絵戦争に、介入者__

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― 新着の感想 ―
[良い点] 三代目になるまでずっと守られていた協力関係が、ここで壊されてしまうとは!( ゜Д゜) 武蔵野会とチーム絵札の二つを相手に、藤松会はかなり苦戦をしいられるのでは!?(;´・ω・)
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