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暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第一部 藤絵戦争
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File11 酒井原征一

 俺は九鬼泰照。悪を暴く男だ。

 さて、今宵も依頼者が暴露屋に訪れる。

 今回の依頼者は、表情が死んだ中年の男だった。

 「私、こういうものです」

 男が渡した名刺には『ワンスグループ CEO 一之木肇(いちのきはじめ)』と書かれていた。

 「依頼内容を」

 「自分の手を汚さずに、私の息子を誘拐させた男の社会的地位を落としてください…」




 一之木肇には息子がいた。名は一之木(まこと)

 優秀な跡取り息子で、有名な大学を卒業し、今ではワンスグループの一員として働いていた。

 しかし、息子の順風満帆とした人生は、若くして断つことになる。

 ある日、真は何者かに誘拐されたのだ。

 無論、深夜になっても帰ってこない息子を心配した一之木は、警察に捜索依頼をした。

 しかし、息子は一向に帰ってこない。一之木の不安と焦りが増えていくだけであった。

 息子が誘拐され数日後、一之木に電話が掛かってきた。掛けた相手は、例の誘拐犯であった。

 電話の内容は、『息子を返したければ、金を出せ』という誘拐犯の常套句のようなものだった。

 その額100億。本来ならば払うことに躊躇うほどの額であるが、息子に会えるのならばそんなものは当たり前かのように払えた。

 そして、息子は自分の元に戻ってきた。しかし、その息子とはというと、非常に窶れていた。

 例の誘拐犯も逮捕された。しかし、その報道を見た真は、『違う人だ』と言った。

 それから次の日、真はPDSDを発症し、その後自殺を図った。

 残された一之木は、息子の最後の言葉を頼りに、本当に誘拐をした者は誰なのか、色んな情報網を使い、調べ上げた。そのためには裏社会に入るのも厭わなかった。

 そして、真実に辿り着いたのだ。

 誘拐を行ったのは、チーム絵札の傘下、無限絵札の構成員の5人組であった。

 それとは別に誘拐を企てた者がいた。それは、ライバル企業、『サケイハラーグループ』の取締役、酒井原征一(さけいはらせいいち)であったのだ。

 酒井原はワンスグループを悪意の目で見ており、いつか潰れないかと考えていた。その計画の第一歩として、一之木の息子を半グレの構成員を使い、誘拐させたのだ。それとは別に逮捕される人間も、会社で使えない社員を使ったのだ。

 その事を知った、一之木はここに来たのだ。

 「お願いします……」

 息子を失った、一之木は力強く懇願した。

 「わかりました。では、一之木と誘拐犯に地獄見せましょう」

 俺は一之木から貰った情報を元に、奴を調べ上げた。

 酒井原征一。49歳。サケイハラーグループのCEO。以前暴露した嶋屋と同じく、他企業を落とす事に執着している。そのためには手段を選ばない。さらに、半グレと関わりがある。

 早速、この裏の情報をマスコミにリーク。分かりやすく奴は地獄に落ちた。

 そして、捕まりそびれた誘拐犯の方だが、俺がカチコミをかけてやることにした。

 奴らがいるのは郊外の別荘。どうやら酒井原に例の事件のほとぼりが収まるまでここにいるよう言われたらしい。

 組に許可を取り、俺はその別荘に行った。しかし、そこには四人の死体と息が絶え絶えの男だった。しかもその5人はこの間俺に襲撃をかけた者と同一人物だった。俺は死にかけの男に近づき詳細を聞こうとした。

 「オイ!アンタ大丈夫か?」

 「コイツです……俺達を殺したのは……」

 男は一枚の写真を俺に渡し、事切れた。

 「この男は……!?」

 写真に写った男のスーツの胸ポケットに付いた代紋を見て、俺は衝撃が走った。

 この男は、藤松会と手を結んでいる暴力団、武蔵野(むさしの)会の組員なのだ。

 そしてこの時、組の上層部に悲劇が訪れていた。

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