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記憶を失った修道女と地下室の少年  作者: Sy
槍の王 第1部
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第1部 エピローグ

「本当に旅立ってしまうのですね。」


マリアンヌは教会の前に立つ若者たちを寂しそうに見つめていた。封印の儀式から数ヶ月が経過していた。


一同の傷は癒え、辺境の地にある町は近頃活気で満ちていた。旅行者の足取りも徐々に戻り、不定期だったキャラバンの通過も増えた為、市場も賑わっている。周りの荒野は青々とした草原に姿を変えつつあり、町の中央を通っていた小川の跡には水が流れ始めていた。


「マリアンヌさん、すみません。後任の神父は直ぐに到着する予定です。その間どうかよろしくお願いします。」


「承りました、ガブリエル様。巡回修道士(サーキット)様たちを追って行かれるのですね。どうかお気をつけて。」


ガブリエルは儀式の後、教会の神父を辞任することに決めた。そして向かう先は灰色の教団である。ガブリエルはもっと強くなりたかった。今回の件で自分の力の至らなさを痛感したガブリエルはさらなる修行を求め、聖都に戻ることを決めたのだった。


「ご心配には及びません。聖都までは私も同行致しますので。」


とミツキが言った。ミツキが聖都に帰還すると言うことは封印の儀式の成功を意味していた。


無事終わったのだ。


途端にガブリエルは、着任時は薄気味悪く、居心地の悪さを感じたはずの小さな教会をまるで故郷のように感じた。


「もっと役に立てるようになって、きっと帰ってきます。」


それに比べミツキはやっとひと仕事終えたかのように清々しい顔をしている。無事任務も終わり、聖都では儀式の成功の報告とそれに続く昇進を考えるとミツキの心は踊るのだった。


「マリアンヌ様、私も。私もきっと、この町に帰ってきます。」


そしてソフィアが言った。ソフィアも別の目的のため、この町を旅立つことに決めたのだ。


「あの子と行くのですね。」


マリアンヌがソフィアの手を握る。


「いつでも戻ってくるのよ。ここがあなたのホームなのだから。」


そう言ってマリアンヌは微笑んだ。その目には涙が浮かんでいる。マリアンヌにとって、若い修道女たちは皆娘のような存在だった。


「ソフィアさん、そう言えばあの子はどこですか?」


ミツキが尋ねる。


「先に広場の方へ。町の子供達と一緒に。」


「ふふ、すっかり仲良くなってしまったのね。」


そしてマリアンヌは名残惜しそうにソフィアの手を離した。


「では、いってきます。マリアンヌ様。」


一同はマリアンヌに別れを告げ、出発の迫る旅行者用キャラバンが待機する街の中心へ向かった。



————————



「ソフィア!早く!もうすぐ出発の時間だよ!」


キャラバンに辿り着いたソフィアに、少年は飛び跳ねながら叫んだ。ソフィアは笑顔でその少年を見つめていた。


「外に出られるようになってよかったですね。」


「ですが、これからも監視はつくと思いますので。まあ監視というか護衛と考えて頂ければ。」


ガブリエルとミツキの話がソフィアには遠く聞こえているようだった。まさか陽の光に照らされるあの子の笑顔を見る日が来るとは思わなかった。ソフィアはこの希望に満ちた旅立ちの日をきっと忘れることはないだろう。


ソフィアと少年を乗せる荷馬車まで到着したソフィアに少年は手を差し伸べていった。


「さあ、ソフィア。きっと見つけよう、セレステを。」


ソフィアは微笑んで言った。


「ええ、サミュエル。行きましょう。」

第一部、最終章になりました。ここまで読んでくださった方。本当にありがとうございます。感想など聞かせて頂けたら幸いです。今後は、エウロギウスとアキレスが主人公となる神学校編、ミツキとラミエラが中核となっていく異国編、バルキエルとガブリエルの冒険を綴る修行編、ソフィアとサミュエルの成長を描いていく完結編へと続く予定です。かなり(仮)です。なので変更ガンガンされるカモです。笑。これからもどうぞ宜しくお願いします!

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