その1
この背景は1991年の事。その年の3月某日。
午後6時頃、4人の男たちは街のファミレスで、食事をしながら談笑していた。
カズキ「お前昨日、何時に帰った?」
コウジ「ええっと、店を出てから、・・・カラオケ行って、・・・夜中の1時だったかな。」
テツヤ「えっ!?1時!?そんな遅くまで!!?」
コウジ「ああ。でも結構いたぜ。10人くらいいたかな。」
マサト「その中には女子もいたの?」
コウジ「まぁいたけど、木原と山野の二人だけだったな。」
マサト「ふ~ん、そうか。」
カズキ「フッ、アイツらだったらそうだろうな。誘えば行くだろうし。」
マサト「まぁ、別にどうでもいい存在だ。」
テツヤ「あはははは。言えてる。」
昨日は彼らが通った高校の卒業式だった。4人はクラスメイトで、式の主役の三年生。式が終わってそれから、クラスメイトだけの卒業パーティーが行われたのであった。一応最後の会という事で、それなりの人数が来ていて、当然4人も一次会は参加していた。がその後の二次会はコウジだけが参加した。
カズキ「金も結構使ったんじゃないか?」
コウジ「別に、割り勘だったから、1人1000円くらいだったよ。」
テツヤ「それも高校生活の思い出となったんだから、1000円で良かったんじゃないか。」
コウジ「だったらお前も来れば良かったんじゃないか?」
テツヤ「いやいや、そこまで思い出を作る気が・・・、ないな。もう充分だ。」
カズキ「結局、あの子がいなかっただけだろ?」
テツヤ「おいっ!!」
コウジ「フフフ、残念ながらあの子はもう、誰かの女さ。」
テツヤ「・・・・・・。」
4人の進路は決まっていたが、みんなバラバラに進む事になる。なので彼らにとってもこの集まりが、しばらくは難しいと捉えていた。
マサト「正直、クラスの大半が集まって、ああいう会って、もう二度とないんだろうな・・・。」
とマサトがポツリと呟くと、カズキの口調が少し厳しくなった。
カズキ「・・・お前、そんな事ないだろう。」
マサト「・・・え?何で?・・・あるのか、集まりが・・・?」
マサトは素直に驚きながら尋ねた。カズキは勿体ぶるように言った。
カズキ「あるだろうよ。・・・全員とはいかないけれども、ほら、わからんか?」
テツヤ「・・・どういう事?いつ、どこでみんなと会える?」
この様子にカズキは呆れていた。代わりにコウジが答えた。
コウジ「本当にわからんか?2年後、成人式があるだろ!」
テツヤ「ああっ!!そうか!!そうだったな!なるほどなるほど。」
コウジ「・・・そういう事よ。」
カズキも頷いて、3人は納得していたが、マサトは冷めた口調で言った。
マサト「・・・もしかして、みんな出る気なのか?」
それを聞いて3人は表情が強張った。
コウジ「・・・出ないのか?」
マサト「・・・まぁ、先の事はわからんけど、そこまでしてまで、どうしてもっては思わない。」
顔を上に向けて、腕組みしたままマサトは答えた。それを見てカズキはポツリと言った。
カズキ「・・・なかなかの薄情者だな。」
マサト「・・・どうして?」
カズキ「確かに先の事はわからんけど、まだ今の時点では、そんなマイナスの言い方はないだろ?」
マサト「マイナス?・・・ただ正直な気持ちを言っただけだぜ?」
カズキ「それが正直なのか?本音か?」
何となく不穏な空気になってきていたので、それを察してテツヤが間に入った。
テツヤ「まぁまぁまぁ、本当その時になってみないとわからんしな。取り敢えず、な。」
そう言ってテツヤは2人の顔を交互に見た。
カズキ「・・・ただよ、それでも、ここだけの話で賛同する事もできないのかって事よ。」
そう言って苛立ち始めたカズキに、コウジが宥めた。
コウジ「・・・そう熱くなるなよ。」
次にコウジはみんなを見て言った。
コウジ「でもな、一つ言えるのは、これからみんなバラバラになるけど、またいつかこうして会う事を、
約束する上で今集まってる訳だからな。」
テツヤ・カズキ・マサト「・・・・・・・・。」
コウジ「マサト、それだけは必ずだからな、いいか?」
するとマサトは理解した感じで、こうみんなに伝えた。
マサト「・・・ああ、わかった。振り返って高校生活、そんなに友人はできなかったけど、お前たちは例
外だ。それだけは間違いなく言い切れるから・・・。」




