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セーラー服と雪女Ⅸ 「超時空の魔女」  作者: サナダムシオ


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19/22

⑲ キミの目的は何だ

「それはそれは、あり難き幸せに存じます。」

 サン・ジェルマンも、馬鹿丁寧に返事をしてよこした。

 あまりの出来事に、雪子は横で目を白黒させていた。


「突然呼び出された挙句、一体、私は何を見せられているの?このサプライズがあなたの狙いだというの、サン・ジェルマン?」

 雪子から彼に、当然の質問がなされる。


 当のサン・ジェルマンはその問いには答えず、雪子にこう言った。

「私は投資を生業とし、趣味としてコレクターをしております。色々な時間軸の私たちが、貴女や京子さん、その他の様々な人間たちにお近づきになるのは、その人物に投資し、その能力をコレクションするためです。それが不老不死の私の生きる目的です。」

「そう、それは素敵ね。」


「ところで雪子さん、貴女が時空を股にかけて移動し、自分の同位体に、次から次に関わっている目的は何ですか?私はそれがとても知りたいのです。」

「…私は、私の同位体から様々なスキルを集めて、私自身のチカラを高めて、そして…。」

「…そして、最後にどうなりたいのですか?」

「…。」


「もしかしたら貴女は、雪村君になりたいのではないですか?」

「…!?」

 雪子はとても驚いた。

 もちろん、隣で話を聞いていた京子はもっと驚いた。


「そ、そんなことは…。」

「…そんなことは、無い…ですか?本当に?」

「貴女は様々な時間軸を巡るうちに、ふと気づいてしまったのではないですか?真田雪村君こそがオリジナルの存在で、自分たちの方が、その変異体に過ぎないと。」

「…。」


「念動力や時空跳躍能力などの発現は、当人の自由意思によるものです。もし潜在的にそれらを有していても、本人が欲しなければ現れません。彼は無能力者ではない。敢えてチカラを出していないのです。彼は精神的に、自己を律する能力にとても長けており、それが裏目に出て、チカラを発揮していないのです。」


「…最初に疑念が湧いたのは…大学で雪村と頭をぶつけた時よ。そのせいで私が彼の時間軸で、物理的に実体化できるようになったこと。」

 雪子が話し出した。


「初めは、私の念動力を彼に渡したことによる等価交換だと思っていたわ。」

「…なるほど。」

「でも後からよくよく考えてみると、他時空内での実体化なんて、等価交換としては大きすぎるチカラだわ。」

「…そうでしょうね。」


「それに彼の過去に行って、私が一つ一つの危機から彼を救わなくても、自力で無傷の大学生になっていたという事実まである。」

「…確かに。」

「すると結論は一つ。彼はあらゆる危機に際して、無意識にチカラを発揮し、後の当人には、その記憶が全く無い。ということ。」

「…よく気づきましたね。さすがは真田雪子さんだ。」


挿絵(By みてみん)


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