またお父さんが死んだ!
それからお母さんと妹が飛んできた。ぴゃーちゃんもとことことやってきて、お父さんの匂いを嗅いでいる。僕はあわてて光線銃をポケットに隠した。
それからお母さんが救急車を呼んだ。
救急車が来るまでの時間がとても長く感じられた。その間、僕は必死でお父さんの人工呼吸を続けた。
救急車が来てお父さんが担架で運び出され、お母さんも一緒に乗ることになった。
そして搬送先の病院が決まり、お母さんが「あなたたちはタクシーで来なさい」と言って僕にお金を渡し、救急車のハッチバックが閉まり、ピーポーピーポーと走っていった。
それからタクシーが家に来るまでの間、僕の頭の中でいろんな考えが浮かんでは消えだ。
〈おかしい。催眠光線はこっくりこっくりと気持ち良よさそうに眠るはずだ。論文発表の前にお父さんをトイレで眠らせた時はそうだった。でも今度は全然違う。もしかしてセリア君はカートリッジを間違えたのでは? そういえば、光線の色が違っていた。確か催眠光線は緑色だったはずだ。だけどさっきのはピンク!〉
それから僕は急いで二階へ上がり、ポケットから出した光線銃からカートリッジを抜き取ると、通訳メガネを掛け、これに書いてある小さな文字を見た。
口から心臓が飛び出しそうになった。
「殺人光線用」と書いてあったんだ。
しかも「最強」という文字。
よりによって僕が、お父さんを殺してしまったの?
茫然とした妹の手を引いて、僕らはタクシーに乗った。いちいち信号のたびに止まるタクシーがもどかしかった。
〈早く走ってくれよ。もっと速く〉
ようやく病院に着いた。
僕と妹は看護師さんに案内され、お母さんのいるICUの家族控え室に向かった。
そこには心配そうなお母さんが椅子に座っていた。
そして僕らも一緒に座り、お父さんの無事を祈った。
そのとき僕は生まれて初めて、心から祈ったんだ。
〈お願い神様、どうかお父さんを助けて……〉
だけど真夜中近くになって、ICUから出てきたお医者さんは、僕らにこう告げた。
「出来るだけの手は尽くしたのですが、残念ながら…」
僕がお父さんを殺してしまった?
信じられない事が現実となった。
それからお父さんには白い布が掛けられ、葬儀屋さんの寝台車で家へと向かった。
お父さんの隣にはお母さんが座った。
僕と妹はまたタクシーで家へ帰った。
帰りのタクシーの中で泣きじゃくる妹を見ながら、僕は自分を責めた。
〈どうしてお父さんを殺人光線で撃ったんだ! 通訳メガネでちゃんとカートリッジを確認すればよかったのに!〉
セリア君にも腹が立った。
〈何でカートリッジを間違えたんだ。それもよりによって殺人光線用だなんて!〉
僕は自分を恨んだ。
セリア君を恨んだ。
〈オーラム星が恨みっこなしなんて言ったって…〉




