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第14話

 冒険者の憩いの場。一日の労働を終え、仲間とお互いに労いあう。そんな酒場がこの『ソラーリアス』

 その中で、一つの話題について飛び交う。その話題とは........


「おい知ってるか?明日、とんでもない新人とあの剣聖。ラバー=ジョーフーが決闘するんだってよ」


「はぁ?そんなのマスターが認めるわけねーだろ。デマだよデマ」


 男の話を酒を飲み、笑いながら否定する


「いいやッ!何故かマスターは楽しそうに了承してたぜ。間違いねえ。俺もその場にいたから間違いねえ」


 その言葉に食って掛かる。


「おいおい.....まじかよ。マスターはいったい何を考えてるんだ。ラバーの冒険者ランクは『C』だ。初心者『F』如きじゃ相手になんねーよ。最悪その新人死ぬぞ!?」


「いや.....実はそうでもねぇんだ。その新人。登録直後にどこからともなく人の頭以上もあるバカデケェ~魔石を取り出しやがったんだ」


「ハハッ......それこそ質の悪い冗談だ。そんなの国に献上されるレベルの品だぞ?」


 荒唐無稽こうとうむけいで、あからさまな質の悪い嘘に男は乾いた声で笑い否定する


「いいや、俺は絶対見た!だからさ....明日。依頼は受けず、その決闘見に行かねぇ~か?」


「......確かに、もしお前の言ってることが本当なら期待の新人なんてレベルじゃない。そうじゃなくても剣聖の剣技が見れるまたとない機会だ」


「おっし、決まりだ!じゃぁさッじゃぁさッ!..........」


 そんな話を酒のつまみに夜は更けていくのだった




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 翌日、協会の管理の元。冒険者のみが使用できる訓練場。広大な敷地の一角を使い前代未聞。4つもランク差のある冒険者による決闘。

 そんな聞いただけで面白い決闘を見に来ない者など、この血気盛んな冒険者の中にはいない。

 どんな遠方からでもその場の映像をリアルタイムで魔道具。『ティービー』そして、現場からその映像を記録し、『ティービー』へ転送する『カメーラ』


 どちらも日本円に換算すると数千万以上する。


(そこまでして、この決闘が観たいか.........とんだ野次馬魂だな)


 決闘前の準備として、体全身を曲げ伸ばしさせ、体をほぐしながら昨夜ユグドラシルから聞いたことを思い出す。


 ・・・・・・・・・

「そういえば、あの時一言もしゃべらなかったけど具合でも悪いのか?」


 夕食を済ませ、宿泊する宿へ戻るや否やいつもはウザったい程に絡んでくるユグドラシルがベットへ潜り込んだ。これはナーユにとってかなり想定外だった。


「いいえ、ただ.......とても不快だったの旦那様たちは笑っていたけれど、私はそんな気分じゃなかった.....とても、とても気持ち悪いものを見てしまったの」


 そういって、静かに眠りについてしまったのだった




 ・・・・・・・・・・・

(気持ち悪い.......ね。あの目でいったい何を見たのやら)


 今日の決闘も余程気持ち悪かったのか同じ空気も吸いたくないと宿にこもってしまった。


 そこまで拒絶する奴がいったいどんなのかと興味が湧いたので、右耳に着けられたイヤリング型魔道具に魔力を込め、ユグドラシルが見た光景を見ることにした。


「...............ッ!?」


 しかし、そんな気安く覗こうなんて考えた自分を殴りたくなるような。それほどに気持ちの悪い........鳥肌が全身を覆うほどのものがその視界に入る。


 奴の色.........それはどす黒いピンク。それも目がチカチカするような。


 それだけならまだいい。しかし、それ以上に悍ましいのは奴の全身に絡みつくその腕である。


 それはまるで『逃がさない』そう言っているように.........全身に纏わりつくように絡みついている。


 そう感じた瞬間、思わず魔道具への魔力供給を停止ストップさせる。すぐに視界は元に戻るが未だ鳥肌は収まる気配がない


(あれは......恐らく怨念。それも生霊の死霊どちらの腕も確認できた。なるほど....確かにこれは見たくない。あいつ絶対碌な死に方しない。)






「それではラバー=ジョーフー対フィスト=ミスティルの決闘を開始します。審判はこの私、ミルテット=カルテトスが務めさせていただきます」


 ラバーとフィスト(ナーユ)の間に立ち、宣言する。そして、戦いの火蓋は切って開かれる


「私の花嫁はどこだ?こんな決闘すぐに終わらせ、二人でバカンスでも楽しもうと計画していたのに....これでは台無しではないか」


 そういってご自慢の金髪の前髪を左手で払う。


「安心しろ。そんな未来は永劫来ないから」


「フッ!減らず口だけは立派なことだ」


「それでは、両者構えて.......」


 その言葉でラバーは光輝く剣を鞘から取り出す


(あれは......聖剣か?『鑑定魔法』)


 ________

 聖剣エクスハーレ

 この聖剣の持ち主には常時、筋力増強、魔力増強、対物理結界、対魔力結界が発動する。

 そして、その刃は次元さえも切り裂く


 _________________



「えぇ~~.......なんだそのチートみたいな能力。エクスカリバーがかすむレベルだぞ?」


 考えただけで笑えてしまう。そんなレベルである。


「今更後悔しても遅い!この私の剣の前にひれ伏し切り裂かれよ!」


 剣を構え一気に地面を蹴り、ナーユへと肉薄する。それに対し、ナーユはなんの動作アクションも起こさない。そして、ラバーは何の躊躇なく首目掛けてその刃を横薙ぎする


(勝ったっ!)


 その確信は次の瞬間ものの見事に打ち砕かれる


「なっ!?」


 その刃は固い何かに拒まれ火花を散らしながら跳ね返る。


「結界魔法『不可侵領域』」


 それは自分を傷つけるものはすべて許さない。自己保身という概念を()()して構成イメージした魔法。


「なっ、何故だ!その魔法.....それは防御魔法だ。お前の適正魔法は幻と付与のはず。貴様ッ!いったいどういうことだッ!」


「それは、お前が世界を知らなさ過ぎただけなんだろうな。無知って怖いよな。この程度でイキれるんだから」


「ッ....クッソォォォ!!認めない!こんなことあるはずがないッ!」


 ナーユの一言に逆上し、吠えながら、無数の斬撃を叩きつけてくるのだった

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