第13話
曰く、この部屋は目の前にいる男......リゼルへレスタの執務室らしい。そして、その男とは長机はさんだ反対側のソファーに二人は座っている
「回りくどい話をするつもりはない。単刀直入に聞く。あの魔石はどこから盗んできた?」
「ハッ!盗んだ?そんなことせずとも手に入る」
そう言うと机の上に足を乗せ、ソファーに深く腰を据える。
「ほぉ?それはどんな方法だというんだ?あの魔石、大きさからしてランクはSS級。人類でこのレベルの魔物を討伐できるのは片手で数えるほどだ。まさかその中に君たちが入るなどと与太話は言うまい。聞けば君の適正属性は幻と付与じゃないか。適正属性が複数あるのはとても珍しいが、そんな最弱の属性で何ができるというんだ」
そういって嘲笑する。しかし、それとは裏腹に自身の魔力を意図的に放出し、周りに圧を振り撒く
「そのまさかだ。あの程度この剣で一太刀で切り伏せた。その程度の魔物だ」
そう言って、亜空間から聖剣エクスカリバーを取りだす。
「ほぉ、魔剣か........フンッ!分不相応な武器を手に入れて増長した、ただの馬鹿か........そのような物を使っても自身の実力は一切上がらんぞ」
「随分な言い草だな。だがおあいにく様だ。この剣は俺意外には扱えない。絶対にだ。」
そういって聖剣をリゼルへレスタへ差し出す
「いいだろう。ならもしこの魔剣を私が扱うことができたらお前は国宝級の魔石を窃盗したという大罪を背負いお縄についてもらう。しかし、もしそうでなかったのならお前がSSランク総統の魔物を討伐したというその与太話を信用してやる。冒険者ランクも個人の権限でできる最上ランク........Cランクまで昇格させる」
「ッ!?マスター!それはっ........」
「構わない」
「..........」
リゼルへレスタの後ろで話を聞いていたに秘書らしき男性が反論しようとするがそれを一言で制する。
「もしこの話が本当なら逸材どころの話ではない。試す価値ありだ」
「わ、わかりました」
不服そうな顔をするがひとまずといった具合に黙る
「話は済んだか?それじゃあこの剣を鞘から引き抜いてみろ。もし引き抜くことができればその剣はお前に譲ってやる」
そういって今度はナーユが体外に魔力を放出し二人を威圧する
「ほぉ......これは.........いいだろう」
リゼルへレスタは聖剣に手を伸ばす。そして、鞘からその刀身を抜き出そうとした瞬間.......
「ッ!?な、なんだと!?」
いくら引っ張ろうとその刀身をリゼルへレスタが拝むことはできなかった。
聖剣を鞘から引き抜こうと格闘すること10分。顔色が紫に変色しそうになるほど力むがその聖剣はリゼルへレスタに微笑むことはなかった
「はぁ、はぁッ...........」
鞘から引き抜こうと全力を出した結果。リゼルへレスタは息を荒げ、肩で呼吸をしながら興味深そうにナーユの手の中で納まっている聖剣を覗き見る。
「魔剣は人を選ぶという話を聞いたことはあったが.......アレは本当の話だったとは」
「ってことで、約束通り俺たちをCランクへ上げろ。まさか今更無理です......なんて言わねぇーよな?」
「もちろん構わない.....と言いたいところなのだが。君たち.....主に君とその魔剣の実力を知りたい。」
「ん?なぜだ?それならあの魔石で十分だろ。」
「それだけでは上を納得させられない。確実な証拠となる何かが欲しい。我々冒険者は信頼の上で成り立っている。実力に見合わない依頼を受注し、いっぱいばかり発生させる協会を誰が信用するというんだ」
(確かに....一理ある。)
「ならどうs.........」
どう証明すればいい?
その言葉はもの凄い勢いで開いたドアの音によって半ば強引に遮られる
「この私の未来の美しき妻はどこにいる!?」
それを見たナーユはあからさまなほど嫌な顔をする。何故なら、本能が『こいつに関わると碌なことがない」そう告げたからだ
下品なまでに輝く黄金の鎧。魔道具でもアーティファクトでもない、飾りのような上等なマント。極めつけはこの男がこの場で放った第一声。今この場に女性は一人しかいない。つまりは........
「おぉ!そこにいたか!あなたの王子が.......ラバー=ジョーフーが参りました。さぁ!幸せな未来のため私と一つになりましょう」
そういいながらコツ、コツとユグドラシルへ歩み寄り、一歩手前で片膝を付く。そして、そのて手を取り甲へ軽く口づけをする。
「さぁっ!.......なっ!?」
ユグドラシルの目を見つめ、語り掛けるため顔を上げる。しかし。その目に映ったのは........
「あぁ~、すまないが俺は男に興味がないんだ。他を当たってくれ」
気まずそうに顔をそらす中年男リゼルへレスタだった。鳩が豆鉄砲を喰らったような顔になるラバーを見たナーユは辛抱貯まらんと吹き出し、腹を抱えて爆笑し始める
「アハハハハハハhッ!ちょッ!まって、腹痛いって!ヒー」
「なっ!?き、貴様!!まさかこの私を笑っているのか!?」
怒り.....それとも先ほどの行いからの羞恥からか、その顔を真っ赤に染め、顔を歪める
「ヒィ~~........まぁ、男なんて五万といるから落ち込むなよ」
その言葉にリゼルへレスタ、そしてその秘書すらも堪えきれず笑い始める
「..........」
(くそっ!何故だ!?確かにあの時美しい女の前へいったはずだ!なのになぜッ!......何故よりにもよってマスターに.........いや、あんなごつい男に!?)
顔がよく熟れたリンゴ以上に真っ赤になり、押し黙ってしまう。しかし、その内心はかつてない程荒れ狂っていた
「クソッ!こんな屈辱生まれて初めてだ!いいだろう.......まずは貴様に上下関係というものを教えてやるッ!貴様が泣きわめいても許しを希ったとしてもその骨身に染み込むまで貴様を叩きのめしてくれる!」
怒りで肩を震わせ、顔を真っ赤に染めながら。
開いたドアから数名の冒険者が覗き見る前で、堂々と、そして高らかに叫ぶ
「決闘だ!」




