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12人の少女 最終計画  作者: ヤマネコ
始まり(2)
72/164

2020 9/8(9)

ポイントを…ポイントをください…。

椿『出来たわよ、食堂に集まって頂戴』


椿から出来たことが伝えられ、見ていた動画を止めてそのままスリーブ状態にする。


軽く体を伸ばすと、動画を見ている時にずっと同じ姿勢をしていたからバキバキという。


背中だけでなく手首や足首をくるくると回すと自分が思っていたよりも固まっていた。屈伸をして、かかとを付けないよう上に棒があると想像しぶら下がることをイメージして身体を伸ばす。


理科「んぅ~。気持ちいい」


肩もグルグルと回しながら部屋を出ると丁度部屋から出てきた宮永と目があう。部屋から出てきたときに肩を回している人がいる…近づきたくない人だよなと自問自答していると、意外なことに宮永から話しかけてきた。


宮永「なんかよくわからないことに巻き込まれてしまいましたね」


理科「そうですね。これからどうなるんでしょうね」


宮永「良かったら食堂まで一緒に行きます?」


理科「いいですよ」


理科が先に歩き出して食堂に向かうと宮永は理科の後をついていきながら話をしている。


宮永「ここにいる人たちのほとんどが接点のない人で緊張していたんですよ。朝倉さんはここにいる人とどのくらい接点があるんですか?」


理科「私も言うほどいないですよ」


宮永「それにしては落ち着いていますね」


理科「部屋で可愛い猫の動画を見ていたらいつの間にか落ち着いていまして。猫の可愛さは正義です」


宮永は少し面白そうに笑っている。


宮永「そうですね、子猫とか子犬とかかわいいですもんね」


理科「はい」


宮永「突然知らない人と住むことになって不安でしたけど、少し安心しました」


理科「私も宮永さんと話せて少し安心しました」


宮永「それはありがおうございます。ところで朝倉さんはここに来てからずっと部屋にいましたか?」


理科「? はい、そうですが」


宮永「そうでしたか」


理科「…あのそれが何か?」


宮永「いえいえ、何でもありませんよ」


何でもないと言っている割に少し視線が不自然なようにも見えるのだが…何かおかしなことを言ってしまったのだろうか…。


理科「そろそろ着きますよ」


宮永「あらそうなんですか」


そして理科が食堂に着くと、既に他の10人は食事を摂っていた。全員が同時ではないが、入ってきた理科と宮永を見るとすぐに目線を逸らす。


理科あれ…


前回までなら明坂・茅野辺りが宮永の姿を見たら何かしら声をかけてくると思ったがそうでもなかった。


この3人は普段交流がないのか? と思っていると


宮永「朝倉さん案内ありがとうございました。また機会があったら話しましょう」


理科「はい、こちらこそ」


食事をしている10人は完全に無言ではなかったが話し声は少ない。初日ならこんなものでこれからは話すことが増えるだろう。


理科は自分の席に置かれていた食器を手にとり、先に米を右半分に入れてカレーが入っている鍋からおたまで適量を左半分に入れて席に戻る。


隣には伊藤と清水がいる。


伊藤は理科と目があうが特にこれといった反応は示さないで無言で食べている。


清水は理科と目があうと少しニコッとした。ここで清水に話しかけるが迷ったが、話さないことにした。


さっき宮永に来てから部屋で動画を見ていたと言っていたのに、ほとんど接点のない清水と話すと何か食い違いを産ませてしまうかもしれないと思ったからだ。清水も何かしらの考えがあってか理科には話しかけないで無言で食べている。


主に話をしているのは椿・奈那子・楓で、時々椿が他の人に話を振ってその時に誰かが答えて会話を回している。


理科にも話を振られ答えると椿は満足そうに頷いた後にさらに会話を回していく。


理科(ほとんど初対面の人ばっかりのはずなのにあんなに会話を回せるなんて…すごい)


もしかしたら既に何人か接点があるのかもしれないのだが、次々と会話を繋げていくのは簡単ではない。


そして各自食事を摂り終わったら、部屋に戻っていく。すでにお風呂に入れている準備は整っているようで先にお風呂を入れた柊姉妹が入ることに。


お風呂の広さは小さな浴場施設で8人程度なら同時に入れる程度の広さだ。仮に誰かと一緒になったとしても距離を取って入ればそこまで不満はないと意見が一致し、各々入りたくなったときに入ることに。


理科は最後の方に入ろうと考えてそれまではエントランスに置いてあるゲームで暇を潰すことにした。


一緒にゲームをするのは楓、瀬奈、明坂を入れて4人だ。この4人でババ抜きをすることになった。


なぜこの人選かというと、理科が1対1で話したことがほとんどない人と話してみたいと思ったからだ。


椿はさっき話したし、奈那子は前回でもそれなりに話している。伊藤と清水は言わずもがな、星名とも話していて、宮永ともさきほど話した。緋色とも数は少ないが1対1で話したことがあり、茅野は前回緋色と一緒に料理をしていた時に味の感想を求められ答えたことがあるので今回は除外した。


よって残ったこの3人を選んだわけだが


楓「…」


明坂「…」


瀬奈「…」


空気が死んでいた。


それもそうだ。普段人と話しをしていない人が、いきなり関わりが無い人を複数人誘いゲームをするなんて…。流石に無謀だっただろうか…。


最初は明坂もゲームが好きだと言って楽しそうにしていたが、楓と瀬奈の早く終わらせたい感が充満し、明坂のテンションも地についてしまっていた。もう3人のカードを見る目が完全にどうでもいいことを早く終わらせたいと言っている。


楓「あがりです」


瀬奈「私も」


明坂「…」


理科「あはは…私と明坂さんだけになりましたね。これは負けられないぞ~」


楓「…」


瀬奈「…」


瀬奈「…」


理科(辛い。誰か助けてくれ)


自分なりに場の空気を温めようとしたが、3人の見る目が辛い。


理科(もうやめて、そんな支離滅裂なことを言っている人を見るような目で私を見ないで)


理科の手にはカードが2枚。明坂が1枚。楓と瀬奈は中央に寄せていたトランプをそれぞれ集めて整理している。


理科「ま、まけませんよ~」


理科なりに身体を揺らして挑発して明坂を見るが


明坂「…」


瀬奈「…」


楓「…」


もういっそ早くこのゲームを終わらせてくれ。そう願いながら明坂が理科の持っているカードを一枚取り出す。そして取ったカードと持っていたカードを見比べて


明坂「上がりよ」


カードを2枚下に落として見せる。理科の手に残っていたのは憎たらしい笑顔で派手な服を着ているカードだけだった。


楓「…あの…もういいですか?」


瀬奈「私も。降りていい?」


明坂「…」


明坂は無言でカードを楓達の集めたケースに入れて理科を見ている。


理科「あはは…皆さんありがとうございました。もう解散して大丈夫ですよ」


そういうと3人はそれぞれ短くお礼を言いながら理科の元を去った。これで少しでも好感度が上がればいいが…


理科(あまり期待は持てなさそうだよね…とほほ)


慣れないことをするんじゃなかったと若干落ち込むが、いつ殺されるか不明な以上苦手でもなんでもできることはやって少しでも生存確率を上げるようにしないと立ち直る。


もし1度茅野達に殺されなければ、3人の対応と場の冷たさで心折れている可能性が高かった。しかし1度殺されたから分かるのだ。


能力持ちを複数敵対すると完全に殺されると。いくら〈予感〉を駆使しても実際に理科の身体能力が上昇しているわけではないので、組み付きをされた時点でほぼ逃げることは出来ない。


前回でなんとなく思っていたことで、楓もなんだかんだ冷酷な部分が少しあると感じていた。そしてこのゲームで全く理科のフォローをしてくれなかった。明坂も最初は楽しみにしていたが、途中から投げやりになっていたところがあった。


このことから2人とも怒らせると警告なしで攻撃してくる可能性が高い…そう感じた。奈那子と使命が共通して外に出かけたときに楓に何かと警告されたことがあったが、あれはどちらかというと他の誰かの案に乗ったという感じで自分の意思という感じは薄かったように思える。


瀬奈は少しだけ愛想笑いをしてくれたが、1度だけ笑っただけだった。他の人達と比べるとまだ心が温かい人だと感じるが、それでも容赦なく攻撃してきそうな印象はある。


結局全員警告なしで攻撃してくるのではないか…そう結論付けてトランプを元の場所にしまう。


清水「どうだった、あの子達とのゲームは」


理科「心折れそうでした」


清水「よく耐えたわね…」


背中から話しかけてくる声に振り向かず返答する。


清水「良かったら一緒にお風呂入らない? 裸の付き合いなんかどう?」


理科「それは…」


同性同士でも自分の裸を誰かに見られるのは嫌だと思い断ろうとしたが、清水の表情を見ると少し気持ちが沈んでいるように見える。その沈んだ表情が伊藤と揉めた時のことを思い出させる。


理科「…わかりました、いいですよ」


清水「…じゃあ少し経ったら行こうか、あと私達2人だけみたいだし」


理科「そうですね」


さっきの3人はパジャマ姿で理科だけ部屋着だった。


理科「あ、もしかして私だけ部屋着だからあんな空気に…」


清水「多分だけど絶対違う」


理科「多分と絶対を一緒に使わないでください」


清水「…まぁ楓と来夏の場合、ゲームに付き合わせた時点で上出来だと思うわ。あの2人は本当に占いとファッションしか興味がないから…。どうやって誘ったの?」


理科「お風呂の時に話しますよ」


あまり早く話すと、話すネタが尽きてしまう。もう少し自分に会話の引き出しがあったらな…と落ち込みながら清水と一緒にお風呂場に向かう。








服を脱いでハンドタオルを片手にお風呂に入る。中は広く確かに8人同時でも問題なく入浴を済ませることが出来そうだ。清水は理科の隣にいて理科を見ている。


見ているのは理科の顔ではなく、顔から少し下の方を見ていた。


清水「むぅー…」


妬ましそうな声で理科のある部分を見ていた。それに気づいた理科はどう反応を返せばいいのか戸惑い悩んでいたが


理科「さぁ、まずは身体を洗いましょう」


清水の視線から逃れるように空いている椅子に座りシャワーを浴びる。


清水「…」


清水は無言で理科の隣に座って理科と同じようにシャワーを浴びてからシャンプーを手で泡立てて頭を洗い始める。


理科もシャンプーを先に手で泡立ててから頭を洗う。普段は目を開けて洗うのだが、同性とはいえ他人の身体を見るのは抵抗があり目を閉じて洗うことに。


清水「朝倉さん、なんで目を閉じているの? いつも洗う時は閉じる人?」


理科「いえ、閉じない人です」


清水「じゃあなんで…」


理科「そういう気分になったので」


清水「…」


それ以上は聞いてこなかった。多分まとまな返事をしてくれないとでも思ったのだろう。


頭を洗い終わったら今度は身体…首・胸・へそ・背中・二の腕と洗っている時、清水の方から視線を感じる。なんだろうと思って清水を見ると、さっきと同じところを見ていた。流石にそこをジロジロと見られるのは嫌だなと思い、清水のほうに背中を若干向けて見えないようにすると


清水「朝倉さん、どうすれば朝倉さんくらいに大きくなるかな…」


白い泡が胸のある場所2つに乗っていてへその周りや二の腕にも若干ついている清水がさっきから見ている箇所を見て羨まし気に呟く。流石に何度も同じ所を見られ、そんなことを言われたら無視するわけにもいかず


理科「沢山食べて寝ること…ですかね?」


清水「…私小食じゃないし、毎日6~7時間寝ているけど?」


言っていること違うじゃねーかと間接的に言ってきた。


理科「それは…体質とかの問題もありますし…あとは運動するのも大事かと」


清水「朝倉さんは普段運動をするの?」


理科「…」


無言で清水に背中を向ける。


清水「…」


理科「ひゃ!」


突然背中を指先でなぞられて声を出してしまう。びっくりして後ろを振り向くと、いたずらに成功した子供のようにニヤッと笑いながらまた指先を理科に近づける。


理科「ちょ、ちょっと」


清水「…」


理科「無言で指を近づけないでくださいよ~」


清水の指を遠ざけるように彼女の手首を掴んで遠ざけようとしたが


清水「おりゃ」


指を出したり抜いたりを早く繰り返していると、速さについていけず清水の攻撃を許してしまう。そして彼女の指先は理科の少しだけ尖っている箇所に当たってしまう。


清水「あ…」


気まずそうな声を上げて理科を見つめてくる清水。


理科「…」


清水の指が当たっている場所を見ると、桃色の突起の所に彼女の指の腹が当たっていた。


理科「…」


清水「ちょ、ちょ、朝倉さん。無言でくすぐらないでよ! あ、あはは」


くすぐったそうに身をよじって理科の攻撃から逃げようとするが、彼女の細い腰を両手で押さえて座らせた状態で清水の身体をあちこちまさぐる。


清水「や、やめ、あはは!」


風呂場には楽しそうな笑い声が響いていた。





身体を洗い終わった後に湯船につかり、談笑しながら安らぎ頃合いを見計らって湯船から出る。


塗れた身体をバスタオルで拭いて下着を履いて寝間着を着る。着替えた後に髪を乾かそうとドライヤーを髪に当てている間、鏡越しに裸の清水が移った。清水が先にドライヤーで髪を乾かした後に理科が髪を乾かしている。


彼女の裸を見ないように視線を下に向けながら髪に手を当てて乾かしていると


清水「背も高くてスタイルが良いから可愛い下着付けられるでしょ…いいな」


理科「私の履いている下着はお洒落とかよりも機能重視ですから…」


清水「最近は機能重視でもお洒落なやつも多いわよ?」


理科「んー、でもそこまで下着に気を使っているわけではないですし…」


清水「じゃあさ」


可愛い寝間着を着た清水が笑顔で理科の目を見る。裸ではなくなったので理科も清水の目をジッと見る


清水「今度一緒にかわいい下着を買いに行かない?」


理科「え、えぇ…う~ん、いや…でも…あぁ」


確かに清水の言う通りかわいい下着は1つくらいあった方が良いかもしれないという考えと、そんなものを買うよりは本とか買って見解を広めた方が良いという考えが衝突していた。


清水「…だめ?」


鏡越しではなく、本人を見て答えようと振り返ったら上目遣いで理科を見ていた。


理科「……いつかで」


清水「うん、約束ね」


理科「はいはい」


清水「はいは一回」


理科「はい」


清水「指キリしましょう」


とてもニコニコとしながら小指を差し出してきた。断る理由も無いので大人しく清水の小さな指に自分の指を絡ませる。


清水「破ったら本気で怒るから」


さっきまでのニコニコ顔から星名並の無表情で理科を見つめる。その無表情が今日の保健室の先生に襲われた時のことを思い出し、身体が少し震えるが


清水「指切った! 今日はおやすみ! また明日ね~」


笑顔で入る前に来ていた服を入れた手提げ袋を持って脱衣所から出て行った。理科1人だけ取り残される。


理科「…あんな笑顔で言われたら断れないよ」


理科と話したくても、自分のせいで死んでしまうかもしれない状況に巻き込んでしまったと自分を責めて理科と接触しないでいた彼女の表情はとても辛そうで落ち込んでいたものだった。あの表情は見ていて気持ちの良いものではない。


それがあんなに無邪気に笑っていたら…断るものも断れなかった。そのまま脱衣所の電気を消して歯磨きを済ませ自分の部屋に戻る。寝る前にスマホを取り、ベッドで仰向けになりながらスマホを持った手を上に伸ばして操作する。


チャットを確認していたが特に誰からも書き込みが無かった。


確認しているとスマホが上から落ちてきて自分の顔に当たる。何事かと思って目を開けて辺りを見渡すが


理科「あぁ…半分寝ていたのか」


原因が直ぐに思い辺り、スマホを机の上に乗せて部屋の電気を消して布団にもぐる。


目を瞑った瞬間にすぐに眠気が襲ってきた。そしてそのまま睡魔に流されていると意識を手放した。


今後もよろしくお願いします。

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