表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12人の少女 最終計画  作者: ヤマネコ
異変
62/164

2020 9/7(8)

理科「うわあぁあ!」


理科は目を覚ます。勢いよく身体を起こすとバキバキと音が鳴った。最後に見た光景は保健室から突き落とされて背中から落ちて悶絶して直ぐに目の間にトラックが走ってきて、タイヤがとても近く…数ミリ程度まで顔に近づいてきたことまでしか覚えていない…。


理科「……」


思い出して息が荒くなる。過呼吸だ。部屋で騒いでいると扉から母が入ってきた。


母「理科!? どうしたの!? 何声をあらげて…」


理科は「ひゅー…ひゅー」と呼吸をしているのを見た母が理科の傍に駆け寄り


母「理科、ゆっくりと息を吸いなさい。10秒以上かけて」


返事をする余裕もなく、言われた通りに少しずつゆっくりと呼吸をし始める。最初は2秒、3秒で吐き出すが、少し経つと5秒、7秒と時間を空けて呼吸をして10秒、13秒と呼吸をしていると収まってきた。


母「…大丈夫?」


無言で首を縦に振ると母は心底安心したようにほっと息をつく。


母「どうしたの…急に…怖い夢でも見たの?」


理科「…あれ」


部屋を見渡すとそこは自分の部屋だ。だが明らかに異質な点が2点ある。


それは…


母「どうしたの? 病院行く?」


理科「…」


母「理科? ちょっと?」


母が理科の顔から少し離れたところで手をワイパーのように振っている。数秒間見つめ合う。


見間違えるはずがない。小さなころからここで一緒に暮らしてきた母だった。母の左手薬指を確認するが指輪は付けていない。間違いなく母本人だ。


母だと認識できたその瞬間母に抱き着く。力強く、絞め殺す勢いで母の腰に腕を回して抱き着く。


母「えぇ? 何なの~」


母はとても困ったような顔でいたが、何かあったことは察知したようで理科の背中を擦る。その間部屋には理科の鼻水を啜る音しか聞こえなかった。










母「…落ち着いた?」


理科「…うん」


母に抱き着くのをやめて、腕を離す。最後に母を思いっきり抱きしめたのはいつだろう…少なくても小学低学年あたりだろう。それ以来にあんな強く抱き着いた記憶がない。


久しぶりに抱きしめた母の身体は、少し細くなっていて自分よりも背が低かった。


母「それで…どうしたの?」


理科「…なんでお母さんがいるの?」


母「え、いたら悪かった? 出て行くね」


理科「そういう意味じゃなくて…」


母「?」


理科「ほら、私のこと忘れていたでしょ?」


母「…何言っているの?」


理科「何って…数日前に帰ってきたときに覚えていないって?」


母は理科を見て口を開けている。まるで何を言っているのか分かっていない様子だ。


母「理科寝ぼけているの? 数日間に帰ってきたって…あんたどこにも泊まりに行っていないじゃない…」


理科「え…そんなはず…」


理科がそんなわけないと言おうとしたが母に表情を見て言うのをやめる。母の表情は、本当に何を言っているのか分からないときにする顔で嘘偽りがないときだ。


母「…調子悪いなら寝ていなさい。もうすぐご飯が出来るから」


母は部屋を出て行く。そしてもう一つ異なるところ…それは


この前まであったもう1つの扉の方を見るが


理科「…あれ」


そこに扉が無かった。どういうことかさっぱり分からず、この前まで使っていた扉があった場所をペタペタと触るも何も起きないし開かない。時間を確認しようと目覚まし時計を確認すると9/7の午後8時を指していた。


扉があったところ付近・扉のなかった壁を触ってみてもただの壁だった。首を傾げてスマホを取り出そうとするが


理科「…あれ」


ポケットに入れていたはずのスマホをゴソゴソと探すが見つからない。ベッドの下に落としたのかと思い、ベッドから降りて下を見てみるが埃しか見当たらない。もしかしてカバンの方かなと思ってカバンを開けるが


理科「ない…」


肌身離さず持っていたスマホが無かった。自分の左手薬指を見るが


理科「ない…」


伊藤と同じ青色の指輪が無くなっていた。


理科「シナリオクリアしたってこと…? それとも死亡したから解放された?」


何が何だか全く分からないが間違いなく言えることは


理科「とにかく解放されたってこと? 良かった~~」


死亡して解放されるとは思わなかったが、とりあえず解放されて満足だった。ルンルン気分で部屋を出て久しぶりの実家の食卓を見るととても懐かしい気分になった。


父「おー理科、手を洗ったか?」


理科「お父さん…」


母以上に久しぶりに父の姿を見た。数日前に訪れた時は母が対応してので父の姿を見ていない。父は理科を見て不思議そうな顔をしていた。


父「な、なんだ? 俺の顔に何か付いているのか?」


自分の顔をペタペタと触って母の方を見るが


母「安心しなさい、いつもの腑抜けた顔よ」


父「それはどういう意味だ?」


母「さっきから理科の様子がおかしいのよ…寝ぼけているみたい」


父「そうか…?」


父が戸惑いながら理科を見ている。懐かしくて思わず笑ってしまう。理科が笑うと両親は本当に訳が分からない顔をしていたが、理科に気にせず食事を摂り始める。


理科も食卓の椅子を引いて3人で食事を摂り始める。この前まで同い年のあの子達と食べて居たことを思い出すが、それを忘れるように頭を振り払う。


もう自分は何も関係ない。あんな物騒なことに巻き込まれたくないと思い、いつも以上に両親と話す。


両親は昨日の理科や一昨日の理科のことを語っていて、話を聞いていた時は何を言っているんだと思っていたが、とりあえず聞き流していた。


食事を終えて風呂に入る。久しぶりの実家のお風呂はとても安心できた。


風呂を出て歯磨きをして部屋に戻りパソコンを起動すると、見慣れないアドレスからメールが来ていた。


知らないアドレスからのメールは無視するタイプの理科はこれを無視する。


そして安心しながらも不安を胸に抱えながら布団に入り電気を消す。またあんなことを巻き込まれるのではないか…。


あれこれ考えても仕方ない。とにかく眠ることを考えて目を瞑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ