星空のメロディー④
ロンが居ると言っても、江角君と二人というのは大分気まずいのではないかと少し経ってから気が付いた。
気が付くと妙に意識してしまい更に気まずさが倍増していく。
なんか気の利いたことでも言って笑わせてくれたなら、この気まずさも解消できるのに、相手があの生真面目な江角君ではそれも期待できない。
かと言って私もそんなことが言える人ではないので一歩一歩登るごとに足が重くなって行くのが分かる。
「ロンって言うのか、その犬」
「えっ。えっ、ハ・ハイッ!」
急にぶっきらぼうな声で話しかけられて正直、怒られたのかと思ってビビった。
「何歳?」
「五歳…いや、六歳!」
「どっちなんだよ」
「人間の歳で言うと五歳なんだけど、犬とかは普通数えで歳を言うから、それだと六歳」
「面倒くさいな。なんでそんな風習があるんだ?」
「し、知らない。……ゴメン」
つい謝ってしまった。
「鮎原に謝られても……って別に鮎原のせいじゃないだろ」
「・・・」
「・・・」
会話が途絶える。
江角君との会話は、いつも盛り上がることもなく消滅してしまう。また一歩一歩気まずさが圧し掛かってくる。口笛を吹いたりできる気安さもないので辛い。
「か……」
江角君が、またなにか喋りかけた。
「?」
「賢いな」
褒められて少し嬉しくなった私は口が軽くなって中間考査は悪かったけど、七月の期末考査は大分頑張って過去最高順位になったことを報告した後「でも、江角君には全然敵わないわ」と付け加えて話を返した。
江角君は困惑した顔を向けて
「いや、鮎沢じゃなくて犬の事なんだけど」
ちょっ、調子に乗った私が馬鹿だった。超恥ずかしい!





