山の上のキャンプ場①
中学生活最後の大会が終わり、事実上部活動も終わった。
あとは受験勉強に励むという名目だけど、いまいち実感がわかない。
それよりも、人生初の告白を受けてしまったことで憂鬱な夏休み。
しかも相手があの江角君だとは……。
確かに江角君は我が校一のイケメンで成績も優秀。
狙っている子も多い。
それだけにバレたら今後の学校生活が今まで通りじゃなくなる可能性も考えられるし、なにより私自身が江角君の事をどう思っているのかさえ分からないありさま。
普通、告白されたらどうするのだろう?
そこが、もっとも重要な問題で頭が痛む。
私だって結構可愛いほうだと自惚れてはいたけど、まさかこの歳で告白されるなんて……。
ドラマや漫画の世界にでも紛れ込んでしまったような気分。
宿題を広げたまま手も付けずに考えていたら、後ろにいたロンが「くだらない」と言わんばかりに大あくび。
気分転換にロンと一緒に散歩に出ると外は満天の星空。
「山に登ったら天の川が見えそうね!」
と、ロンに言ってみたものの、現実主義者のロンは知らんぷりで道端に生えている草の臭いを嗅ぐのに忙しそう。
「つまんないなぁ~」
ため息交じりに呟くと、草の中に鼻先を突っ込んでいたロンが私を見上げた。
私がしゃがんで顔を近づけるとお座りをして確りと私の目を見つめたあと甘えるように頭を摺り寄せてくれた。
気まぐれだけどいつも私のことを気遣ってくれているロン。
「そうだ!山小屋に行こう!」
山小屋なら屹度ペット同伴でも大丈夫なところが沢山有るはずだ。
急に閃いた山小屋行きは憂鬱だった私の心に灯をともした。





