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さようならロン。また会う日まで。  作者: 湖灯
*****中学校編(ロンとオーボエのはじまり)*****

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中学最後の大会⑦(千春の吹奏楽コンクール県大会)

 いよいよコンクール当日。


 十日前に行われた市の大会を突破した私たちが目指すのは、この大会を突破して全国大会に出場すること。


 演奏する楽曲もそのために手が加えられた。


 お父さんもお母さんも応援に来るけど、ロンだけ来ない。


 茂山さんの好意で留守中、カフェであずかってもらうことになっている。

 里沙ちゃんのソフトボールの試合と違って、ホールの中なのでロンは連れて入れない。


 それでもロンは絶対に応援してくれているよね!

 ロンの頭をなでていたら、いつものようにペロリとキスされて、それだけで心がウキウキしてがんばろうという気になる。


「ありがとうロン!いってきまぁ~す!」

 ロンに手を振って玄関を出ると、ロンからも「ワン!」という激励の挨拶が帰って来た。

 真夏の空は今日も快晴だ!


 六時半に学校に着くと、もう何人も来ていて楽譜の確認や、音を出さずに指の練習をしていて、その中には当然江角くんの姿もあった。


 譜面をにらみつけるようにしている江角くんに「おはよう!」と声をかけると「あっチョット……」と、意味深に呼び止められ何か注意されるのだろうと恐る恐る近づくと江角くんは譜面から目を離さないまま「やっぱ、いい」と断ってきて、変な感じ。


 七時に大型バスが到着した頃には部員も全員そろっていて、楽器の積み込みを始めた。

 木管は楽だけど打楽器や大型の金管はケースが大きくてたいへん。


 譜面台の数を数えているときに、見慣れない部員が搬送を手伝っていることに気がついて見ると里沙ちゃんだった。


 里沙ちゃんはドラムの搬送を手伝ってから、私のところに走って来て「おはよー!みんな早いんだね」って言ってきた。


「今来たの?」

「うんチョット遅刻かな?」


「えっ・でも、部員じゃないから遅刻なんてないよ。それに手伝ってくれてありがとう」

「……うん」


 なぁ~んか、この前の見学といい今朝のお手伝いといい里沙ちゃんの行動は怪しい。


 ひょっとして、お目当てが他にいるのかも……と考えたとき、ハッと閃いた。

 里沙ちゃんが以前言っていた片思いの相手。


 江角くんを私にすすめようとしてきた修学旅行や、その江角くんがソフトボールの試合を見に行ったような口ぶりだったこと……。


 きっと、里沙ちゃんの片思いの相手は江角くんに間違いない!


『ふんふん♪たしかに自由奔放な里沙ちゃんでも、あの江角くんには打ち明けにくいよねぇ~』

 と思いながら離れたところにいる江角くんの様子をうかがってみると、さっきから私たちのほうをたまにチラッと見ている。


『意外と江角くんも初々しいところがあるじゃない』


 そう思ってみると、今まで目が合わないようにしていた江角くんと目が合っても余裕の笑みで返すことができた。


「ねえ千春。なんでニヤニヤしているの?」

「んっ?な、なんでもない」


 どうやら私の今の顔はニヤニヤしているらしい。


「里沙。今日応援に来てくれる!?」

「あったりまえでしょ!」


 里沙ちゃんは顧問の先生にあらかじめことわって、雑用を手伝う代わりに一緒にチームと同行する約束を取り付けたらしい。


 さすが積極的な里沙ちゃん!

 そのまま江角くんにアタック!?


 そして里沙ちゃんを乗せてバスは会場へと出発した。

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