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里沙ちゃんの秘密

「ゴメンね千春。実は私も隠していることがあって……実は、それで、千春とロンに嫉妬していたの」

「嫉妬……。嫉妬ってことは、もしかして ” 恋 ” ! 」

 驚いて私が聞くと里沙ちゃんはコクリと頷いた。

「誰?誰?誰??」

 お湯を掻き分けて里沙ちゃんに急接近し過ぎて体がくっついた。

「今は……まだ、教えられない」

「え~里沙らしくなぁ~い」

 確かにいつもハッキリしている里沙ちゃんらしくない。

「でも、嫉妬って・なんで?」

「だって、こんなに楽しい修学旅行なのに千春はロンのことばかり考えて離れ離れになっていることを悲しんでいるでしょ。それに屹度ロンも同じだろうし。でも、私の彼は全然違うんだろうなと思って。あっ『彼』と言っても、打ち明けたわけでもなくて、まだ私の片思いだから千春とロンの関係が余計に羨ましくて」

「へぇ里沙が、しおらしく片思いだなんて考えられない。好きになったら直ぐに打ち明けそうに見えるのに」

 素直な感想を言うと

「私も、そう思っていた」

 と里沙ちゃんは笑わずに言った。

「屹度彼も里沙の事、チャンと見ている気がするな」

「だと好いんだけど……」

「屹度そうよ。いや絶対そう!」

「なんで言い切れるの」

 里沙ちゃんは照れたように笑ってそう言った。

「ほら月!」

 私は綺麗なお月様を指さした。

「綺麗でしょ?!」

「うん」

「私たちが、この綺麗な月を見て何かを感じるように、屹度似たような感性を持っているはずの好きな相手なら、同じようにこの月を見て何かを感じようとするはずだと思うの。そして遠く離れ離れになっても、お互いにこの同じ月を見ることにより思いが通じる。空もそう。星もそう。同じものを見て、それが鏡の役割をして思いを相手に伝えるの」

「すごい。千春って恋の詩人みたい」

 思わず里沙ちゃんに抱きつかれた。

 普段から、冗談で抱きついたり抱きつかれたりすることは有っても、お風呂の中で抱きつかれたのは初めてだった。

 女同士とはいえ、さすがに里沙ちゃんの意外とボリュームのある胸の膨らみを意識せずにはいられなくて、私も少しは”人”に恋でもすれば大きくなるのかなって思ってしまった。

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