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修学旅行②

 いよいよ明日が修学旅行だと思うとロンのことが心配で堪らない。

 兄はまだ研修中で東京の官舎住まいだし、お父さんは仕事の帰りが遅い。

 そこに私が修学旅行に行ってしまうと、お母さんの負担が半端じゃなくなるし家事で忙しいお母さんでは、甘えん坊のロンは屹度退屈で仕方がないはず。

 もしも万が一、退屈で仕方がないロンが散歩のときに急にそれを発散させたらと思うと気が気ではない。事故に合ったらどうしよう……。

 私がこんなに心配しているのにロンときたら私が着替えの服を取りに行ったり、洗面用具を取りに行ったりで家の中を移動するたびに嬉しそうに私の顔を見上げて着いてくる。

『明日、どこに連れて行ってくれるの!』

 なぁ~んて能天気に考えて、ウキウキしているのに違いない。

 夕ご飯の前にロンと散歩に行ったのに、夜にもう一度ロンを連れ出した。

『ちゃんとロンが分かるまで説明してあげなくては』と思ったから。

 朝と併せて今日三回目の散歩にロンは大喜び。

 その笑顔が私には痛い。

 公園のベンチに腰掛けて一緒に星を見上げた。

 ニュージーランドに行く前の美樹さんと一緒に座ったベンチだ。

 一緒に星を見上げたのに暫くしてロンを見ると、いつものように私の顔を見上げている。

 私はベンチから腰を下ろしてロンと同じ顔の位置に向きなおって打ち明けた。

「明日から、私は三日間お家を空けるのよ。明日はいつもより早く出かけなくてはいけないけど早起きして一緒に散歩に行けるけど、そのあと家を出て行ったら夕方になっても夜になっても帰ってこれないの。そして二日目は朝も夜も居なくて、三日目の朝も居ないの。やっと三日目の夜に帰ってくるけど、その間お母さんを困らせないようにおとなしくしていてね。お母さんは私と同じで力が弱いから散歩中に急に走ったりしちゃ駄目よ。ロンはお利口さんだから我慢できるよね」

 ロンはじっと私の目を見て、おとなしく話を聞いていてくれていた。

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