真夏のクリスマス⑩
いよいよクリスマスイブ当日!
家族みんなで冬景色仕様のクリスマスの雰囲気から真夏仕様に変更する。
兄が白い雪に見立てた綿に絵の具で青色の部分を加え波に見立てる。
私がその上にサーフィンしているサンタさんや、ヨットの飾りつけ(これは、お父さん作)
お父さんは、扇風機を押し入れから出してきてくれて、しかも普段使ったことなんてないのにショップの展示品みたいな”吹き流し”まで付けてくれた。
お母さんはテーブルクロスを夏用のレースに替えて、カーテンも夏用に替えてくれた。
それからクリスマスパーティー用の食事もメインにパエリア。
プはガスパチョ。
それにクリスマスの定番、鶏肉の骨付きモモ肉!ケーキもお母さん特製のフルーツいっぱいのタルトケーキ。
そして私が作ったロンのケーキはサツマイモのベースに、生クリームに見立てたプルーンヨーグルトを塗り、その上に梨、イチゴ、刻んだ柿とバナナ。ベースの下には彩でレタスを敷いて、ケーキの天辺にはモミの木に見立てたブロッコリー。
準備の間は家族が交代でロンの世話をしてクリスマス会場となる居間に近づけない。
そして家族みんなで浴衣に着替えて。
あらかじめ兄が美樹さんに連絡していた時間にあわせて相互通信のリアル動画(テレビ電話みたいなもの)の準備をして、秒読み、そして接続。
向い側に置いていた液晶画面にニュージーランドにいる美樹さんと、そのステイ先の家族が映る。
屹度向こう側には私たちが映っている。
クラッカーを鳴らすとロンがビックリするので、手に持った蜘蛛の糸(歌舞伎で使うやつ)を振って口でパンパンと言ってから
「Merry Christmas. Miki and Sanders family!」
私は美樹さんにロンのために作ったケーキを見せ、トッピングは茂山さんからヒントをもらったことを告げた。
ンは相変わらずテレビに映る美樹さんの顔や声などお構いなして、私が美樹さんに見せているケーキを持つ手に飛びついてきて何度も落としそうになる。
一通り美樹さんに見てもらったので、みんなで乾杯をする間までロンを我慢させていたら、よだれの量が半端じゃない。
やっと「よし!」と声を掛けると物凄い勢いであっと言う間に食べ終わって美樹さんも、サンダース夫妻も大笑いしていた。
画面に映っているサンダースさんの家で飼っているシェパードのジョンは物凄く賢そうなので少しだけ恥ずかしかったけど、そのサンダースさんからロンが凄く賢くて魅力的な子だと言ってもらえて嬉しかった。
リアル動画も終わって、パーティーも終わった。
私はお母さんと一緒に片付けと洗い物をした。
やっと部屋に上がって美樹さんに連絡しようとしたら、先客あり。
兄のあと、やっと美樹さんと繋がって話ができた。
美樹さんは少し鼻声で、有難うって笑っていた。





