千春の初恋④
午後の綱引き、ダンスと私はあからさまにロンのことを無視していた。
どのみち私よりもズット綺麗で、ズット色気がある彼女さんのハーフパンツから延びる、私よりズット魅力的な生足にスリスリしながら鼻をのばしているに違いないのだ。
もー知らない。
どんなに謝っても、どんなに困った私を助けてくれたとしても、ロンは野生のエロ犬だ!
最後の競技はスウェーデンリレー。
女子はそれぞれ50m⇒100m⇒150m⇒200mと走りバトンをつなげる。
短距離の得意な里沙ちゃんは2走目の100m。
そして私はアンカーとして200mを走る。
小学校の時は走るのがあまり得意ではなかったけどロンと一緒に散歩するようになって走るのが苦にならなくなり、早くなった。
第1走者が団子状態でゴールに帰って来た時、バトンを受け取った里沙ちゃんに他のクラスの走り終わった第1走者がぶつかって来て里沙ちゃんがバトンを落してしまった。
しかもそのバトンを他のクラスの第2走者に蹴られてしまい、里沙ちゃんは慌てて取りに行って一所懸命走ったけど結局最下位で3走にバトンが渡った。
トラックの反対側で待機している私は、そんな里沙ちゃんを励ますことも宥めることも出来ず、ただ泣いている里沙ちゃんを見ているだけだった。
3走が頑張って順位を挽回してくれて3位で私にバトンが渡った。
「千春頑張れ!」この声援は、兄の声。
「千春ちゃん頑張れ~!」これは、彼女さん。
「ワン!」……これは知らないエロ犬の遠吠え。
エロ犬の遠吠えをやり過ごしたけど、私の担当は200mなので、もう一度やり過ごす必要がある。
正直「嫌!」
バトンを受けて半周(50m)で2位に上がったけど1位の選手はどうやら陸上部らしく中々差が縮まない。
ワンと言う知らないエロ犬の遠吠えを無視して2週目に入る。
もう前の選手との差は3m。確実に私の足音を気にしてペースが乱れているのが分かった。
そしてもう1mくらいになった時、前の選手は足がもつれて転倒して、私はとっさにジャンプしてよけようとした。





