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花火の夜に④

 早く里沙ちゃんたちが帰ってこないかな。

 と、言っても仕掛け花火もまだ始まっていないのに帰って来る訳はない。

 相変わらず二人組の男は、私の前から離れずにニヤニヤしながら奇妙な言葉を掛けて来る。

 正直、怖い。

 さっき、私の袖をつかんだ男が今度は私の手を取って引っ張ろうとした。

「キャッ」

 怖くて小さな悲鳴を出しそうになったとき「ワン!」と言う大きなロンの声が響いて、ロンは立ち上がって男の手に飛び掛かった。

『噛んじゃ駄目!!』

 頭で咄嗟に思ったけど、言葉には出なかった。

 ロンは男の手に飛びついて鼻で男の手を上に弾き上げ、もう一度「ワン!」と吠える。

 驚いて飛び上がった男に、なおもロンは飛び掛かって吠えた。

 そして、もう一人の男にも威嚇するように吠えた。

 ロンの気迫に怯んだのか、二人の男は「クソ犬!」と、ロンを侮辱して去って行った。

 暫くボーっと見ていた私は、急に今まで我慢していた怖さが込み上げてロンに抱きついて泣いた。

「ロン!ありがとう。怖かったよぉ~」

 言葉を出せるまで少し時間が掛かった。

 まだ込み上げる嗚咽のなかロンを抱いたままの私の耳に、駆けて来る二つの足音が聞こえた。

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