里沙ちゃんが家に来た③
里沙ちゃんと2階でおしゃべりしていたら、小さくチャカチャカとロンが遠慮がちに階段を上がってくる音が聞こえた。
里沙ちゃんは話に夢中になっていて気がつかない。
ドアを前足で擦って部屋に入るおねだりをするのかな……と思っていたけど、ドアを擦る音は聞こえなくて、どうやら部屋の前でおとなしくしているみたい。
1時間くらい2階でおしゃべりをしていて、帰るときにドアを開けたらロンは部屋の前にはいなくて、階段を下りると玄関できちんとお座りをしていた。
「わー賢い!」
里沙ちゃんがロンを褒めて抱きついたが、ロンは飛びかかるわけでもなく、かといって嫌な顔をするわけでもなく、本当に賢い犬を頑張っているようだった。
里沙ちゃんに二人でバイバイをして、ロンの頭を撫でて顔を近づけて「お利口さんだったね!」と頭をなでた。
ロンは「エヘン!」と言わんばかりに胸を張っている。
台所にいるお母さんにことわってロンの大好きな、おやつをご褒美にあげることにした。
ロンの前に座って、袋からおやつを取り出してロンに「お手、おかわり」をさせてから「よし!」と、食べてもいい合図を出した。
ロンは大喜びで、おやつに飛びつく。
……かと思っていたら、なんと私に飛びついてきた。
いつもどおり、私は仰向けに転ばされて、いつもどおりロンが私の上に馬乗りになる。
そして、いつもどおり私の顔を舐める。
いつもは嫌だったけど、今日のロンは私のために賢い犬を頑張ってくれたし、大好きなおやつよりもご褒美に私を選んでくれたのだからニコニコと我慢してあげた。
もちろん私も嬉しかった。
でも、やっぱり途中で息ができなくなり、ロンにどいてといってもどいてくれなくて、最後はいつも通り足をバタバタさせて救援を求めた。
「もー!ロンのエロ!」
起き上がるなりロンを怒ってしまった。
夜中に兄と一緒にロンの散歩に出た。
夜空がとてもきれいで、小高い丘の上の原っぱでしばらく私たちは夜空を眺めていた。
最初一緒に星を見上げていたロンの顔が、いつのまにか私の横顔を見上げているのが分かった。
ロンにとって私が一番星なのかなってちょっと自惚れて、もっとロンが好きになった。





