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星空のメロディー⑧
優しい繰り返しのあるリズムを三年間一緒に頑張って来た仲間たちと奏でながら、吹奏楽部に入れて良かったと思った。
いつも確りしている部長の江角君の横で、頼りない副部長として一体何ができたわけでもなく。
ただ、おろおろするばかりだった。
演奏をしながら、皆の奏でる音を聞いていると思いを惜しむような純粋で汚れのない音が空に登って行くのが分かる。
それは甲本君のバチや、他の打楽器担当者の持つタンバリンやカスタネット、マラカスと言った楽器の音色からも十分伝わってくる。
ここに来て良かったと心から思った。
演奏しているのは三年生だけだけど、下級生も含めて思いは一つになれたと実感した。
最後のメロディーが空に溶けて行ったあと、目から涙が零れ頬を伝う。
私と同じように涙を拭ってくれている下級生も何人かいた。
これで……これで吹奏楽部としての最後の演奏が終わったのだ。
私はハンカチで涙を拭きながら、片付けを始めようとしていた。





