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さようならロン。また会う日まで。  作者: 湖灯
*****中学校編(ロンとオーボエのはじまり)*****

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星空のメロディー⑦(甲本くんのスティックさばき)

 オープニングは江角くんのトロンボーンと伊藤くんのトランペットによる「見上げてごらん夜の星を」で始まり、金管の澄んだ音色が夜空に吸い込まれていくように、皆、空を見上げて聞いていた。


 打楽器とチューバ担当者はさすがに登山道なので楽器を運べなくてかわいそうだったけれど、それでも音楽魂を発揮させ、タンバリンやカスタネット、それにオカリナなんかで演奏に参加していた。


 そのなかで圧巻だったのはドラムの甲本くんで、なんとバチだけ持ってきて、あとは現地調達の石や木や草をたたいてしっかりリズムにしていた。


 私は江角くんから渡された楽譜を胸に抱きながら、司会の伊藤くんに呼ばれるのをずっと待っていた。


 今は美緒と和樹くんと福田さんの三人による「コンドルは飛んで行く」。

 楽器はクラリネット、フルート、そしてファゴット。


 順番的には次が私で、そしてそのあとに全体で「ムーンライト・セレナーデ」を演奏して終わりになるはず。


「コンドルは飛んで行く」の物悲しい響きが山々を渡って行くように終わった。


 さて、いよいよ次は私かな。ケースから取り出していたオーボエをぐっと握ると、司会の伊藤くんが「ムーンライト・セレナーデ」と言った。


『あれ!?私は??』


 呆然と立っていた私の背中を江角くんが優しく押して、皆と一緒に前に並ぶ。先に演奏していた美緒たちに笑顔で迎えられる。


『まあ、いいか。私のほかにもまともに参加できていない人もいるのだから』と気持ちを切り替えて用意をする。


『んっ?なかなか始まらない』と思っていたら、伊藤くんから「副部長!音合わせの音!」って催促されて慌ててB♭の音を出すと他の楽器もあわせてチューニングをそろえた。


 もうこのチューニングのB♭を出すのも最後かと思うと、なんだか涙が出そうになってくる。


 皆の音がそろって、一瞬静まったあと甲本くんがバチを鳴らして合図を送り、いよいよ最後の曲「ムーンライト・セレナーデ」が始まった。

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