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里沙ちゃんが家に来た②
ロンが私のほうばかり気にしていることに気が付いた里沙ちゃんは、それが気に入らないのか、ついにロンの両頬を手で押さえて正面から向き合う体制になった。
この大勢だと100パーセント前足を肩に掛けられて押し倒される。
もう殆ど諦めにも似た心境で、転ばされた里沙ちゃんの上に馬乗りになったロンをどうやって速やかに引き離すか考えるしかなかった。
そして次の瞬間……。
「キャッ!」
里沙ちゃんの小さな悲鳴に一瞬目を瞑ってしまった私は、開いたその光景に驚いた。
ロンは里沙ちゃんの頬をペロッとひと舐めしただけで、あとはそのままおとなしく座ったままでいた。
里沙ちゃんも挨拶代わりに舐めてもらって満足したらしく、ロンの頭を撫でると立ち上がった。
それから里沙ちゃんと私は2階の部屋に上がった。





