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生命の行方・第一部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第8章・トラウマ、そして最大の事件
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ため込んでいた苦しみ

俺は、いつも以上にぼーっとしていた。

「兄貴、どうしたんすか?」

今日は由季がいないのでカイは一人だ。

「ん……?うん……」

今の俺には全く覇気がない。最近、変にいろんなことを考えすぎてるせいだと、自分では思ってる。

「悩みがあるなら俺にって言うか、俺たちに相談してくださいよ!気持ちが楽になると思うっす!」

「うん……でも、俺の話ってぶっちゃけすごい重い話なんだ」

「それなら三人で聞きます!これで三分の一の重さっす!」

「三倍の重さになったりして……」

激しくテンションの低い俺は、一言で空気が重くなる発言をしてしまった。

「兄貴……、これは末期症状っす……!いますぐ吐き出して楽になっちゃいましょう!」

カイはその空気の重さをはねのけ、俺を大部屋に連れていく。


引っ張られるまま、大部屋に連れてこられ、三人に周りを囲まれた。

「まず、兄さんの一番の悩みをお聞かせ願おうか」

セルの言い方は極道っぽくて少し怖い。

「俺の、一番の悩み……?」

一番悩んでいること……?俺、自分が何で悩んでるのかわかんないよ……。

「……まあ、何でもいいから心の中の重石みたいなもんを適当に出しゃあいい」

セルの言葉は短いが、重い。

俺はうつむいたままつぶやいた。

「……俺、警察に捕まってもおかしくないくらいの罪を犯してるんだ……。でも、誰も俺を責めることはない……」

「???それだったら別に悩む必要ないっすよね?」

カイは首を傾げている。

「だからこそ……マサヤは悩んでるんだね?」

キースの言葉にさらに首を傾げるカイ。

「キース、俺には意味がわかんねんすけど」

カイの言葉をスルーして、キースは言葉を続ける。

「自分では悪いことをしてると思ってるんだ。でも、誰も責めないからだんだん感覚がなくなっていく。でも、ある時急にその悪いことを思い出してしまうんだ」

俺が言いたかったことはまさにそれだ。キースすごい。

「……そう、そうなんだよ……。俺は本当にこのままでいいのか……、それが不安で仕方ないんだ……!」

俺は体だけじゃなく、心もぼろぼろだったんだ。

とても苦しくて、辛い。

このまま放っておいたら俺の心はつぶれてた。

「兄さん……、泣きたかったら……泣いて、いいんだぜ?」

かっこいい……、セル超かっこいい……。

「いや、大丈夫。俺は泣かないよ」

ここで泣くわけにはいかない。俺は顔を上げ、三人を順番に見た。

「大丈夫?本当に?」

キースは心配そうに俺を見返す。

「……うん。吹っ切れた訳じゃないけど、なんか、しゃべったらすっきりした」

「そりゃよかった。兄さんがヘコんでると調子狂っちまうもんな」

「僕たちは君が何をしたかとかは知らないけど、それでも友達だからね」

「そうっすよ。今度は俺に連れてこられないで、自分で悩みを打ち明けに来てください」

「うん、……ありがとう、そうさせてもらうよ」

三人の言葉は、俺のぼろぼろだった心を、癒してくれた。

聞いてもらうだけでも、心は軽くなっていくんだ。



何も解決できていないけど……でも、心の整理はできた。あとは自分と向き合えればいいんだ。

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