ため込んでいた苦しみ
俺は、いつも以上にぼーっとしていた。
「兄貴、どうしたんすか?」
今日は由季がいないのでカイは一人だ。
「ん……?うん……」
今の俺には全く覇気がない。最近、変にいろんなことを考えすぎてるせいだと、自分では思ってる。
「悩みがあるなら俺にって言うか、俺たちに相談してくださいよ!気持ちが楽になると思うっす!」
「うん……でも、俺の話ってぶっちゃけすごい重い話なんだ」
「それなら三人で聞きます!これで三分の一の重さっす!」
「三倍の重さになったりして……」
激しくテンションの低い俺は、一言で空気が重くなる発言をしてしまった。
「兄貴……、これは末期症状っす……!いますぐ吐き出して楽になっちゃいましょう!」
カイはその空気の重さをはねのけ、俺を大部屋に連れていく。
引っ張られるまま、大部屋に連れてこられ、三人に周りを囲まれた。
「まず、兄さんの一番の悩みをお聞かせ願おうか」
セルの言い方は極道っぽくて少し怖い。
「俺の、一番の悩み……?」
一番悩んでいること……?俺、自分が何で悩んでるのかわかんないよ……。
「……まあ、何でもいいから心の中の重石みたいなもんを適当に出しゃあいい」
セルの言葉は短いが、重い。
俺はうつむいたままつぶやいた。
「……俺、警察に捕まってもおかしくないくらいの罪を犯してるんだ……。でも、誰も俺を責めることはない……」
「???それだったら別に悩む必要ないっすよね?」
カイは首を傾げている。
「だからこそ……マサヤは悩んでるんだね?」
キースの言葉にさらに首を傾げるカイ。
「キース、俺には意味がわかんねんすけど」
カイの言葉をスルーして、キースは言葉を続ける。
「自分では悪いことをしてると思ってるんだ。でも、誰も責めないからだんだん感覚がなくなっていく。でも、ある時急にその悪いことを思い出してしまうんだ」
俺が言いたかったことはまさにそれだ。キースすごい。
「……そう、そうなんだよ……。俺は本当にこのままでいいのか……、それが不安で仕方ないんだ……!」
俺は体だけじゃなく、心もぼろぼろだったんだ。
とても苦しくて、辛い。
このまま放っておいたら俺の心はつぶれてた。
「兄さん……、泣きたかったら……泣いて、いいんだぜ?」
かっこいい……、セル超かっこいい……。
「いや、大丈夫。俺は泣かないよ」
ここで泣くわけにはいかない。俺は顔を上げ、三人を順番に見た。
「大丈夫?本当に?」
キースは心配そうに俺を見返す。
「……うん。吹っ切れた訳じゃないけど、なんか、しゃべったらすっきりした」
「そりゃよかった。兄さんがヘコんでると調子狂っちまうもんな」
「僕たちは君が何をしたかとかは知らないけど、それでも友達だからね」
「そうっすよ。今度は俺に連れてこられないで、自分で悩みを打ち明けに来てください」
「うん、……ありがとう、そうさせてもらうよ」
三人の言葉は、俺のぼろぼろだった心を、癒してくれた。
聞いてもらうだけでも、心は軽くなっていくんだ。
何も解決できていないけど……でも、心の整理はできた。あとは自分と向き合えればいいんだ。




