衝撃の再会
俺が病院内を散歩していると、ロナさんやニコル先生、さらにリディナ先生など、この病院の職員の大半が慌ただしくしていた。
「どうかしたんですか?」
たまたま近くにいた看護士さんに聞く。
「実は、ウィンストン先生が休憩時間が終わっても帰ってこないの。普段寝坊することは多くても、こういうことに関してはすごくまじめな人なんだけど……」
俺と話してたのは昼前だ。それから先生には会っていない。
「う~ん、すみません。心当たりがないです」
「じゃあ、もし暇だったら探してみてくれる?」
「いいですよ」
「見つけたら教えてね」
「はい」
一応いろんな人に話を聞いたが、ウィン先生は見つからなかった。
疲れたので一旦自分の病室に戻ろう。
部屋の前まで行って、中に誰かがいることに気づいた。
(誰だ……?俺の部屋を漁ってる……?)
がちゃ!と思いっきりドアを開けた。そこには2人の人間が俺の部屋を漁っていた。そしてその1人が、俺には信じられない人物だった。
「由季……!?」
「来たか、MSAAA……!今ここでお前を処分する!!」
処分……だって!?俺は器として扱われた上、使えなくなったらもう用無しってことなのか……。
「くそ……。俺は、ずっと実験台ってことかよ……」
「ふっ、よくわかってるじゃないか。せめて、自分の血のつながった妹に息の根を止めてもらえ。いけ!YK01!」
由季はもう由季ではなく……ただのコードネームで呼ばれていた……。
「由季……、それは、とてもさみしいことだよ……」
「ああ、ひとついい忘れていたことがあったな。お前が一番信頼している人間、そいつがどうなっていると思う?」
男はニヤリと唇を歪める。一瞬のうちに、看護士さんの言っていた言葉を思い出した。
(ウィンストン先生が休憩時間が終わっても帰ってこないの)
「まさか……!?」
「今頃もしかしたら死んでいるかもなあ?巻き込んだお前が悪い。お前が殺したようなものだ」
頭の中が真っ白になった。そんなこと信じてたまるか!
「嘘だ!嘘だ嘘だ、嘘だぁっ!」
やばい。だめだ、そんなことしたら!
俺の冷静な部分は逆上している俺を押さえることは出来なかった。
男に殴りかかろうとする俺。だが、男と俺の間に由季……いや、YK01が割り込んだ。
トスッ。と言う軽い音がしただけだった。だが、俺の胸にはナイフが深々と刺さっている。
「ユ……キ……」
俺は倒れた。目の前にあったナースコールを咄嗟につかむ。
YK01は俺の胸からナイフを引き抜いた。大量に出血している。本当にこのままじゃ、死ぬ……。
「YK01、あれを探せ。」
(あれって……なん、だ……?)
YK01は抜いたナイフを再度俺の体に突き立てる。
「がっ……!あぁっ……!!」
ビクン、と体がはねた。肋骨を砕こうとしているらしい。だが、抵抗は出来ない。……すでに瀕死の状態で、意識すら保てない状況に陥っているから。
外がばたばたし始めた。二人は焦って窓から飛び出していく。
自分はまたも瀕死の状態なのに、なんだか変に冷静だった。




