16♤お見舞い(episode圭吾)
今日は、有桜の高校時代の友達の高崎美海さんがお見舞いに来ていた。
有坂家と高崎家は昔から交流があり、昔から彼女の事は知っていた。
高崎さんは、俺の高校の後輩だった。正確には小学校から一緒だ。
有桜から高校時代の同級生が来ると聞いていたのでまず彼女を見て有桜が自分の後輩だと言うことに驚いた。
有桜ほどの美貌の持っている女の子に気付かないなんてことあるんだろか?高崎さんからは「その当時有坂先輩は水川さんと付き合ってましたから他の女の子に目がいかなかったんじゃないですか?笑」と言われた。でも何とか俺の記憶の中を探しても有桜の姿が出てこなかった。
俺は、有桜の高校時代を知らない事が残念な気持ちでいっぱいになった。
仕事の電話がかかってきたので書斎で仕事をする。
すると高校時代の一条隼人から電話がかかってくる。
「もしもし」
「圭吾。志帆の歓迎会の準備はどうなってるんだ?」
「その事ならちゃんと部下に任せている。」
「志帆の歓迎会なのになんでお前が準備しないんだ?志帆は大事な恩人だろ?」
「恩人でも関係ない。今は仕事が忙しいんだ。」
「用事がないなら切らせて貰うよ」
「待て待てって……サプライズを準備してるから楽しみにしといてくれ」
「ああ。わかった」
ふぅとため息をついた。正直、隼人と話すと疲れる。
志帆と別れて8年経つのに今だにくっつけようとするのはなんでだ?
しかもあいつは志帆の事が好きなはず。何が、したいんだ?まぁどうでもいいか。
仕事が一段落ついたので、有桜達の所へ戻る。リビングの扉に手をかけた時に聞こえてきた。
「子供何人欲しいの?」
「3人かな?旦那に似た可愛い子が欲しい」有桜も子供のことを考えてくれてると知り嬉しくなる。
2人の話が終わるまで……とまの前で待っていた。
せっかくなので晩御飯にも大崎さんを招待した。
高屋さんも「 さすが奥様のご友人ですね。教養もありやさしい気配りのできる方です。」と言う。友人の彼女を、褒めるのは遠回しに有桜の事を褒めるということだ。妻を褒められて喜ばない夫はいない。
高校時代の有桜の事を聞きたくて、大崎さんを見送りすると言ってついて行く。
そんな俺の気持ちを見透かしたのか大崎さんが言った。
「有坂先輩、本当は私から有桜ちゃんの事聞きたかったんでしょ?」
「バレてたか……そうなんだ。俺は有桜の事何も知らないなぁって思ってね。色々教えてくれると嬉しい。」
「そうですか。初めに聞きたいんですがそれは契約妻の事を掌握したいから聞きたいんですか?それとも愛する妻だから純粋に聞きたいんですか?」
「やっぱり契約の事知ってるよね。理由は後者だ。俺は今、有桜の事愛してる。彼女とは本当の夫婦になっていきたいと、思っている。」
「それなら安心しました。私も有桜ちゃんには幸せになって欲しかったんで、」
彼女から聞いた高校時代から結婚するまでの有桜は俺が想像した以上に壮絶だった。
高校に通いながらほぼ毎日アルバイトをしてお母さんの入院代を稼いでいた。授業中以外は居眠りをしていたが教師もクラスの皆も彼女が頑張っていたのを知っていたので何も言わなかったそうだ。それでも成績は毎回学年3位に入ってたそうだ。
賢くても驕らず、絶対辛いはずなのにいつも明るく優しい彼女に皆が元気を貰っていたそうだ。
でも1度だけ、突然授業中に泣き出した事があった。その日は朝、主治医から母親の状態が悪くなったと連絡があったそうだ。もし母親が死んでしまったらどうしようと不安になってしまい、思わず泣いてしまったそうだ。教師も授業中だったが、中断し1度病院へ電話するように伝えた。涙がとめどなく出て止まらないため、代わりに教師が主治医に事情を説明し母親の様子を聞いてくれ安心だと分かり皆が安堵した事もあったそうだ。
「有坂先輩、本当に有桜ちゃんはいい子なんです。先輩が本当に好きなら有桜ちゃんを絶対に幸せにしてあげてください。あの子はお母さんの事があってから自分の幸せを諦めている所があるんです。先輩がそんな有桜ちゃんの気持ちに寄り添ってくれることを願ってます。」
「わかった。絶対に有桜を幸せにするよ。」
「ありがとうございます。もし有桜ちゃんを傷つけたり裏切ったりしたら私が許しませんからね」
「承知した」
迎えが来たので車に乗って彼女は帰って行った。
有桜の笑顔の裏には沢山の涙があるんだろうなと思い胸が張り裂けそうになる。
有桜の事は大好きだ……愛している。こんなに愛した女性は有桜が初めてだと思う。
有桜を絶対に俺が幸せにしたい。
そう思い家に入ると有桜の笑顔が見えた。俺の大好きなあの笑顔だ。これを大切にしていきたい。護っていきたい。
【有桜、愛している。】
ぎゅーと抱きしめて有桜の柔らかな匂いと温もりを感じる。
必ず俺が幸せにするから。そんな事を思いながら二人で抱きしめてベッドに横になった。
有桜も幸せそうな顔をして寝ている。
電話がかかってくる。
「もしもし」
「おー圭吾。忙しい時に悪い」
「潤也なんだ?」有桜が起きない様に小さい声で話す。
「もしかして横で有桜ちゃんが寝てんのか?」
「そうだ。だから要件だけ言ってくれ」
「水川の歓迎会の時に隼人がするサプライズの事、お前知ってるか?」
「あぁ。なんかサプライズを用意してるって言ってたな。内容は知らないが」
「龍馬を連れて俺に言いに来てたんだけど、内容聞いたらお前びっくりするぞ!」
「なんだ?」
「水川さんとお前の結婚式をするそうだぞ。」
「は?!俺は有桜と結婚してるのに何言っているんだ?」
「お前達は身内で結婚式をしたから外部にはお前はまだ独身って事になってるんだよ。だからこの歓迎会でお前と水川が公認の仲だって外部にも見せつけるつもりだそうだ」俺と有桜の結婚式を大々的にしなかったのは有桜の意向があったからだ。有桜から身内だけの式がしたいと言われて少人数でした。その時は契約結婚だからかと思ったが、きっとお母さんが入院していたからだろう。
まかさ身内だけでしかしてないのがここで仇になるとは……
「何とかお前の方でサプライズを潰せないか?有桜がまだ少し療養しないといけないから傍にいたいんだ。」
「OK!俺の方で何とかしてやるから、お前はしっかり奥さんに寄り添ってあげろよ」
「わかったよ。」
電話を切り、更に有桜を抱きしめキスをし眠る。




