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第七話:響け、管理人の第一歩!館の魔力がもたらす新たなる来客

館の修繕へと乗り出す奏多。そんな中、マーリドより「召喚した魔獣の経験値が召喚主に還元される」という世界の理を教えられる。奏多が館にいながらにして強くなれる可能性が示された直後、屋敷の結界を破り、一人の謎の少女が倒れ込んできた。

彼女は一体何者なのか? 館に訪れた最初の「客人」との出会いが、奏多の運命を加速させる!

館は輝きを取り戻した。大理石の床は鏡のように磨き上げられ、庭には命の息吹が満ちている。だが、俺たちの生活はまだ始まったばかりだ。

この屋敷は確かに美しいが、数百年という月日は、目に見えない場所を確実に蝕んでいた。雨漏りをする天井の継ぎ目、軋む床板、緩んだ扉の蝶番。屋敷という巨大な装置を維持し続けるには、メンテナンスが必要不可欠だ。

「よし、今日からは『修繕』のフェーズだ。レオ、ミケ、それにみんな。手伝ってくれ!」

俺の召喚できる相棒は、全部で10種類。

ゴールデンレトリバーの『レオ』、三毛猫の『ミケ』、ハムスターの『ハム』、インコの『ピー』、ウサギの『ラビ』、クモの『スパイ』、カタツムリの『カタ』、モグラの『モグ』、ヤギの『ゴロ』、そしてミツバチの群れ『ビーたち』。

彼らは俺の魔法レベルに完全に適応しており、今は館の構造を隅々まで把握している、熟練の職人たちのようなものだ。

「まずは二階の客間の床板だ。スパイ、糸で固定してくれ。モグは土台の補強を頼む!」

指示を飛ばすと、相棒たちが阿吽の呼吸で動き出す。クモのスパイが放つ強靭な糸は鋼鉄のボルト以上の強度を誇り、モグが地中から地盤を押し上げて歪みを修正する。俺は彼らの力を借り、魔法で木材を加工し、一つずつ丁寧に床板を張り直していった。

その作業の最中、空間が揺らぎ、光の球体となってマーリドが俺の前に浮かび出た。

『奏多よ、順調なようだ。だが、忘れてはならぬことがある。屋敷の管理は維持だけではない。お前自身の「格」を上げねば、やがてこの館の全魔力を制御できなくなる』

「格を上げる? どうすればいいんだ」

『召喚術師としての経験だ。ダンジョンを攻略し、魔物を討伐し、ギルドから依頼を受けて名声を築く。そうして得る経験値こそが、お前のスキルを強化し、この館をより強固な結界で守る鍵となる』

俺は思わず作業の手を止めた。

「待ってくれ、マーリド。俺はこの家から一歩も出られない契約なんだろ? なのに、どうやってダンジョンを攻略して魔物を倒せっていうんだ? 矛盾してるじゃないか」

マーリドは、まるで初歩的な疑問を口にした子供を諭すように、ゆらりと光を揺らした。

『ふむ、説明が足りなかったか。お前が直接赴く必要はない。お前が召喚した魔獣たちが稼いだ経験値は、契約を通じて自動的に召喚主たるお前へ還元される』

「……なんだって?」

『この世界の召喚術師たちは、自身が最前線に立つ必要はない。使い魔に戦わせ、集めた魔力と経験値を吸収し、己の魔術基盤を強化する。それがこの世界の理だ』

俺は驚愕した。つまり、俺がここで相棒たちを見守り、彼らが外で活躍すれば、俺自身のレベルも上がっていくということか。

レオたちが森で狩りをすれば、俺の魔法は強くなり、館の結界も広がる。この屋敷は、俺が強くなるための「心臓部」として機能しているのだ。

「なるほど……。なら、まずはレオたちに、森の周辺の魔物退治を頼むべきか」

相棒たちの顔を見渡す。レオが頼もしげに吠え、ミケが器用に前足を舐める。彼らになら、外の世界を任せられるかもしれない。

そんな矢先のことだ。

屋敷の結界が、微かに震えた。

誰かが、この屋敷の境界線を越えようとしている。魔獣ではない、もっと小さく、そして切迫した気配。

「誰だ!?」

俺は修繕の手を止め、玄関へと走った。レオとミケを引き連れ、重い扉を開ける。

そこには、ボロボロになった服を纏った一人の少女が倒れていた。

銀糸のような髪は泥に汚れ、手には奇妙な紋章が刻まれた杖を握りしめている。彼女は魔力に対して極めて敏感なたちだったのだろう。森を彷徨ううち、この館から溢れ出す濃厚な魔力の奔流に導かれ、死に物狂いで辿り着いたのだ。

「おい、大丈夫か!?」

俺が駆け寄り、彼女の華奢な肩を支える。

少女は力なく目を開けた。その瞳には、深い恐怖と、わずかな希望の色が浮かんでいる。

「……ここ……は……」

「ここは俺の家だ。安心しろ、追い出したりはしない」

彼女は俺の顔を確かめるように見つめると、安心したようにそのまま意識を手放した。

彼女の杖には、見たこともない紋章が彫り込まれている。それは、この森の周辺では見かけない、遠い国の魔法使いの印のようだった。

レオが彼女の顔を心配そうに舐める。

マーリドの冷ややかな声が、屋敷の奥から響いた。

『……呼び込んでしまったな。この娘、ただの迷子ではない。彼女の纏う魔力の残り香、あれは「追われている」者の印だ。奏多、お前はまた、厄介な火種を拾い上げたぞ』

俺は少女を抱き上げ、客間へと向かった。

修繕中の客間はまだ完璧ではないが、彼女を休ませる場所は作れる。

管理人の生活は、ますます静かとは縁遠いものになりそうだ。だが、不思議と恐怖はない。

「厄介だろうとなんだろうと、俺の家に来た客だ。……しっかり休ませてやるさ」

俺の「管理者」としての新しい一歩は、この謎の少女との出会いによって、大きく踏み出されたのだ。

第七話、いかがでしたでしょうか。

ついに「召喚術師」としてのシステムの詳細が明らかになりましたね。

そして登場した謎の少女。彼女の正体と、彼女を追う者の影……物語が一段とヒートアップしてまいりました!

次回:

「目覚めた客人は逃亡者? 少女が語る、森の異変と追手」

お楽しみに!

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