第四十一話:館の一角に楽園を! 魔道具『ガイア・ジェネシス』設置大作戦!
コーヒーの種がない? ならばダンジョンから略奪してくるまで!
ポポと動物たちが制圧したのは、過去の冒険者が誰も生還できなかった「嘆きの迷宮」。
まさかのレベルアップと召喚枠解放で、館の戦力はさらに盤石に!
ついに始まる、館でのコーヒー栽培計画!
「ガイア・ジェネシスがあれば、どんな環境でも作り出せる!」と息巻くヴィオラの熱意に対し、俺は現実的な問題を突きつけた。
「いや、肝心のコーヒーの種がなけりゃ意味ねーだろ? 倉庫にあったのは焙煎された豆ばかりで、栽培用の生豆や種なんてそう都合よく転がってるわけねーだろ?」
俺がそう言った、まさにその直後だった。
館の外、鬱蒼とした森の奥から、大地を揺るがす咆哮が響き渡った。
「ギャオォッ!!」
館の門を軽々と飛び越えて現れたのは、黄金色の翼を羽ばたかせる幼龍ハルだった。その巨大な影を見た商人たちは、何事かと顔を上げ、腰を抜かした。
「うわああぁぁぁーーーっ!!!!」
「こ、コイツは……伝説の聖竜『バハムート』の幼体!? 絶滅危惧種どころか、神話の存在だぞ! まさか、この館でその姿を生で拝むことになるとは……!」
ゼノが顔を青くして後ずさりする中、広間の空間がゆらりと揺らぎ、水の魔神マーリドの声が優雅に響いた。
『何? ビー達とポポ達が退屈しのぎに森を探索していたら、面白いものを見つけたとな? ……ほう、管理者の召喚獣たちは、ただの散歩では終わらせなかったようだぞ』
どうやらアイギス以外の動物たちが総出で森へ繰り出し、戦利品の報告役としてハルが真っ先に帰還したらしい。
「クソーーッ!!! 行くのなら声をかけてほしかったわ!!! どんな連携で森を探索していたのか、せっかくの調査シーンを記録したかったのに!!!」
ヴィオラが地団駄を踏む傍らで、ルミナが目を丸くした。
「……アレ? 皆様、何か大きな袋を持って戻ってきていますわよ。一体、何を……?」
その瞬間、俺の脳裏にシステムメッセージが鮮烈に浮かび上がった。
『レベルが30に到達しました。召喚枠が新たに5個解放されました』
空き9枠、合計16種。まさかの大規模アップデートだ。
「ま、まさか! まさかそんなことが……!」
ポポたちの群れが、ひときわ大きく重そうな皮袋をくわえて飛んできた。俺はポポから例の魔道具を取り外し、戦況ログを確認すると、背筋が凍るような映像が再生された。
彼らが突撃していたのは、過去数百年にわたり、挑戦した冒険者が一人も帰還していないという超高難易度ダンジョン『嘆きの迷宮・茨の回廊』だった。映像の中では、強力な植物系ボス『深淵の魔樹・エントリオン』が蔦を振り回し、周囲を固める『マッド・オーク』の群れ、猛毒を噴き出す『毒蜘蛛ヴェノムスパイダー』、鉄の硬度を持つ『鉄殻甲冑兵』、霧の中で呪いを撒く『ミスト・レイス』、さらには『狂乱の食人花』や『影の暗殺者・シャドウアサシン』など、総勢数十種類の魔物たちがひしめき合っていた。
だが、そんな地獄のようなダンジョンも、レオやキングたちの前では無力だった。グリズの重厚な一撃が魔物を吹き飛ばし、キングの俊敏な爪撃が鎧を切り裂き、狼たちの連携が戦列を崩す。ダンジョンは一方的な「蹂躙」の場と化していたのだ。
持ち帰られた戦利品を確認したヴィオラが、悲鳴に近い声を上げた。
「これ……『嘆きの迷宮』の深層ドロップ品じゃない! 冒険者ギルドがSランク指定しているあの死地を、ただの遊びで制圧してくるなんて……!」
袋の中には、高純度のポーション材料に加え、一際神々しく黄金色の輝きを放つ「コーヒーの種」が入っていた。さらに、砂糖の原料となる『精霊のサトウキビ』、最高級の織物になる『極光の絹』……商人ゼノは、戦利品を手に取り、震える声で呟いた。
「あ、あり得ない……。コーヒー豆や砂糖、絹などは、ダンジョンの深層にある財宝として稀に見つかることはありますが、これほどの鮮度と量は……。この館の動物たち、一体全体どんな化物なのですか……?」
商人たちが畏怖と尊敬の念で俺たちを見つめる中、俺は即座に『ガイア・ジェネシス』の設置を命じた。
「よし、善は急げだ。ヴィオラ、設置場所を指示してくれ! 館の庭に、最高のコーヒー園を造るぞ!」
水の都の魔道具と、ダンジョンの至宝が組み合わさる。
異世界の僻地であるこの館に、世界最高品質のコーヒー栽培園が爆誕した瞬間だった。
第四十一話、いかがでしたでしょうか。
動物たちが「暇つぶし」でダンジョンを蹂躙する展開、最強の管理者の面目躍如ですね。
次回は、設置した「ガイア・ジェネシス」が引き起こす、ある意外な副作用と、コーヒー栽培の様子を描きます。
次回:
「芽吹きの楽園! 伝説のコーヒー豆を育てる魔法の庭」
お楽しみに!




