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第百四十二話:守護者の遺志! アルト、真実の地図が指し示す次の目的地へ!

激戦を終えたダンジョンの最深部で手に入れた水晶は、古の賢者エルドラドが遺した封印の地図であった。聖域の館に戻った彼らを待っていたのは、管理人の奏多、そして館に隠された「真実」への道標。

佐藤蓮たちが魔神との契約で虚飾の力を貪る一方で、アルトは恩義という絆を力に変え、前代未聞の冒険へと乗り出そうとしている。水の魔神マーリドが告げた「真の管理人」としての解放、そして館を再興するための五つの素材。

勇者アルトたちの新たな旅立ちの日、聖域の穏やかな時間は、唐突な破滅の足音によって遮られようとしていた。

「……これが、守護者が託した真実の欠片。この水晶の中に、僕たちを導く答えがあるんだ」

アルトは震える手で、深淵の守護者グリム・ヴェインが消滅の瞬間に遺した水晶を掲げた。彼は迷わず、腰のウエストポーチからボロボロになった古ぼけた羊皮紙を取り出す。かつての冒険で手に入れながら、解読できずにいた謎の古地図。

水晶をその羊皮紙にかざした瞬間――淡い光が地図の空白をなぞり、鮮やかな光の線が大陸全土を駆け巡った。

「……こ、これはすごい……! 文字が、隠されていた地形が浮かび上がってくる……!」

リナとミアも息を呑む。地図が指し示していたのは、この世界に隠された「賢者エルドラドの最後の手紙」が眠る場所だった。

その日の夜、聖域の館。

暖炉の火がパチパチと音を立てる中、アルトたちは無事の帰還を報告していた。

「無事に生還できて何よりだ。で、ボス戦はどうだった?」

俺が問いかけると、アルトは以前よりも数段落ち着いた、晴れやかな顔で答えた。

「はい! エンシェントグリフォンとも完全に意思を通わせることができました。何より、この1ヶ月で学んだことは一生の宝です。動物たちと触れ合い、命の温かさを知ることで、勇者としての覚悟が決まりました。本当に、風間さんには感謝してもしきれません!」

「それはよかったな。……で、これからどうするんだ?」

「僕たちは明日からこの森を抜け、エリュシオン王国へ向かいます。この地図が、その王国を起点とした更なる旅路を示しているんです」

別れの言葉を前に、僧侶のミアが少し不安げに尋ねる。

「あの……奏多様。この館の敷地内では、不思議な気配を感じます。……ここには、精霊やもっと高位の存在がおられるのでしょうか?」

俺が微笑んで答えようとしたとき、マーリドが光の精霊としての姿を維持したまま、ふわりと空中を漂いながら姿を現した。

『私のことだな? 何か用かな?』

アルトは急いで、手に入れた地図をマーリドに見せた。

「この地図なんですけど……何か心当たりはありますか?」

マーリドが地図に触れた瞬間、その光の体が激しく波打ち、館全体が鈍く振動した。

『……こ、これは!? ……奏多、この勇者たちを頼った方がよさそうだ! 運命が、我々の想像を遥かに超える速度で動き出そうとしている』

「……どういうことだ? まさか、この地図に何が書かれているんだ?」

俺が問い詰める間もなく、研究室から戻ってきた考古学者シルヴィアが、珍しく険しい表情で駆け寄ってくる。

「どうしたの……? ……その地図、まさか……本物なの?」

「あ、あなたは星の探求者の異名を持つ伝説の考古学者、シルヴィア様!?」

アルトが驚愕の声を上げる。シルヴィアは苦笑して頷いた。

「知ってくれて嬉しいわ。でも今は挨拶をしている場合じゃないわね。間違いないわ……この地図は、賢者エルドラドが残した『最後の手紙』の隠し場所を記したものよ!」

俺は背筋が凍るような感覚を覚えた。

「最後の手紙? もしかして、前に俺が読んだあの古書に記されていた……世界が滅びる直前に遺された予言の手紙のことか?」

以前、日本語で書かれた謎の古書を紐解いた際、その内容に戦慄した記憶が蘇る。

マーリドは深刻な面持ちで俺に向き直った。

『奏多、よく聞け。基本的に私からの許可を得ない限り、お前はこの館の敷地内から一歩も外へ出ることはできん。この聖域の管理人としての絶対の鎖だ。だが、この勇者たちが、世界に散らばる「五つの聖なる素材」を集めれば、お前は真の管理人としてこの呪縛から解放されるだろう』

「いや待ってくれ!? 勇者とはいえ、彼らだってまだ発展途上だぞ。流石に全部集めるなんて無理をさせるな!」

アルトは力強く立ち上がった。

「……それ、引き受けますよ! ここで世話になった恩返し、そして僕たちに『力』の本当の意味を教えてくれたことへの感謝です。僕たちが必ず集めてみせます!」

俺は呆然とした。

「いいのかよ……?」

『頼れ。勇者アルト、お前のその心意気、天晴れだ。今から五つの素材の名前を言っておく。どれも特定の高難易度のダンジョンにしか存在しない』

館の空気が引き締まる。アルトの旅は、単なる帰還から、世界の真理を解き明かすための過酷な遠征へと姿を変えた。その瞬間、聖域の外から、尋常ならざる殺気が館を襲った。

第百四十二話、いかがでしたでしょうか。

賢者エルドラドの手紙、館を強化するための五つの素材、そして奏多の解放。物語は一気に加速していきます。

しかし、旅立ちを目前にした聖域に、黒い影が忍び寄る……!

次回予告:

「旅立ちの朝に響く凶兆! アルト、魔王軍幹部の強襲を迎え撃て!」

お楽しみに!

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