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第百十八話:聖域の叡智! 帝国を凌駕する、新型魔導回路の設計図!

聖域での生活が始まってから、季節は巡り、三ヶ月という月日が経過した。

館の敷地内は、動物たちが自らの意思で作り上げた「マイホーム」が建ち並び、もはや聖域というよりは、調和のとれた小さな動植物園のような様相を呈している。

だが、その平和な風景の裏で、森の地下に築かれた秘密工場では、歴史を塗り替えるための技術的革命が着々と進行していた。

デーモン族とドワーフ族が命を懸けて議論し合う、新型スマートフォンの設計図。それは単なる通信機ではなく、この世界の生存戦略そのものとなる――。

俺が異世界転生され、この館に住むようになってから、もう三ヶ月経過していた。

館の敷地内では、動物たちが自らの手で作り上げた「住処」が完成していた。

ハムやラビといった小動物たちは、可愛らしい屋根付きの出入り口を持つ複雑な地下通路を掘り上げ、そこを安息の地としている。この世界の生物たちは、現世の動物よりもはるかに高い知能と魔獣としての潜在能力を持っているようだ。

ヴィオラはタコのオクトの生態観察に没頭しており、リリアとエーリエはイヌ科であるレオとルナ率いるオオカミ達の散歩を楽しんでいる。エリスが自室で筋トレに励めば、インコのピーとオニヤンマのヤンマがその動きを興味深く見守り、ルミナは庭でウマのクロとヤギのゴロに癒やしの時間を捧げていた。シルヴィアが古い書物を読めば、その背後からパンダのササマルがひょっこりと顔を出す。

そんな平和の只中、俺はテレパシーを通じて、虹色の鱗を持つ若いドラゴン、ハルに指示を出していた。

「ハル、今日のダンジョン探索だ。無理はするなよ」

ハルは誇らしげに翼を羽ばたかせ、一人でダンジョンへと向かっていく。かつては敵対関係にあったドラゴンの幼体が、今では俺の意志を理解し、最高のパートナーとして育っている。

マーリドが俺の肩で小さく笑う。

『ふむ、その調子だ。ハルも完全にお前を主人として受け入れているな』

「そうだな。でも、俺たちにはもう主人とペットという関係を超えた、深い絆があるんだよ」

だが、俺がそうして安穏とした日常を送っている裏で、館から遠く離れた森の地下に築かれた秘密工場では、血の滲むような開発作業が続いていた。

ドワーフの工匠たちとデーモン族の技術者たちは、100枚にも及ぶ設計図を机の上に広げ、熱い議論を交わしていた。

彼らの目的は、単なる通信機ではない。世界各地で同時多発的に発生している「帝国による技術隠蔽」に対抗し、失われた知識を人々の手に取り戻すための「世界の叡智を集約する端末」の構築だった。

「素材が足りん! この魔導回路を安定させるには、『星銀石』が必要だ!」

「ガルドランディアのギルドへ緊急クエストを投げろ! 予算は青天井だ!」

彼らは故郷へ情報を送る魔導具を駆使し、ガルドランディア王国の冒険者・商人ギルド、そしてアズラク・ガウル王国のそれらへ、極秘の調達要請を送りつけた。突然の要請に、両国のギルド内は大騒ぎとなっているはずだ。

彼らが導き出した【新型スマートフォンの新機能案】は、もはや通信機の域を超えていた。

『万能料理&調合レシピ帳』: 聖域の魔力野菜や希少薬草を組み合わせ、栄養学と錬金術を統合。調理やポーション作成時の失敗をゼロにする。

『世界事変ライブニュース』: 各地のギルド掲示板をリアルタイムでクロールし、魔王軍の動きや治安情勢を瞬時に把握する情報網。

『魔力最適化ナビ』: 持ち主の魔力量に応じて端末の消費電力を自動調整。魔力の薄い僻地でも動作を保証する。

『ダンジョン・マッピング・クラウド』: 一度攻略したダンジョンの構造を全保有者で共有し、迷宮攻略の安全性を劇的に向上させる。

多言語翻訳機能ルーン・コンバーター』: 古代文字や異種族の言語をリアルタイムで共通言語に変換。外交・交易に革命をもたらす。

「これがあれば……帝国という巨大な独裁の壁に、決定的な風穴を開けられるはずだ」

ドワーフのモルガンが、酒瓶を片手に熱く語る。デーモン族の技術長バルバスがそれに頷く。

彼らの視線の先には、帝国が「ゴミ」と断じた技術を、人類の希望へと昇華させるための次世代回路が描き出されていた。

聖域の平和と、地下工場での狂気じみた開発。

この二つのバランスが崩れる時、世界は帝国による支配から解放され、新たな通信の時代へと突入するだろう。その新型機が完成したとき、世界はどう動くのか――。

第百十八話、いかがでしたでしょうか。

地下工場で進む、世界の知識を集約する端末の開発。ハルとの絆も深まり、聖域はさらに強固なものへ。

帝国の監視をすり抜け、世界を繋ぐ希望のネットワークは、いよいよ完成に向けて最終局面を迎えます!

次回:

「ついに完成! 世界を繋ぐ『新型スマートフォン』、その驚愕の性能とは!?」

お楽しみに!

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