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第百十五話:通信革命の初陣! 王国同士を結ぶ、聖域からの最初の一声!

通信革命の火蓋は切って落とされた。聖域で育まれた「生存のための技術」が、いま現実の距離を無力化し、戦乱に喘ぐ世界を繋ぎ直そうとしている。

ハトとカラス、生物としての適性を熟知した奏多の的確な判断が、アヴァロン、ガルドランディア、そしてエリュシオンを結ぶ絆の回線を開通させた。

ついに鳴り響く、世界を変える「最初の一声」。それは、帝国の支配を覆す静かなる革命の産声だった。

聖域の朝は、いつも通り爽やかに明けた。しかし、その空気には昨日までとは違う、張り詰めた期待感が満ちている。検証を終えたスマートフォンを手に、俺たちは確かな手応えを感じていた。ゼノたちが率いるアヴァロン王国の商隊も、今頃はエリュシオン王国に到着し、王族との交渉という重要な局面を迎えているはずだ。

そんな時、ヴァルが神妙な面持ちで俺に歩み寄ってきた。

「奏多殿、ヴィオラ様から伺いました。……この聖域には、空を支配する魔物――いえ、賢き鳥たちがいるそうですね。ハト、そしてカラスと呼ばれている者たち。彼らの力を貸していただきたいのです」

「スマートフォンを、王国まで届けさせたいのか?」

「はい。群れで行動し、かつ長距離飛行に長けている彼らなら、アヴァロン王国とガルドランディア王国にある商人ギルド本部まで、極めて迅速に配送できるはずです。届けば、向こうの本部から必ず連絡が来るはずですから!」

俺は少し思案した。ポポ率いるハトの群れは、確かに優秀な偵察部隊だ。だが、彼らの運搬能力は体重の10%未満、わずか30gから50g程度が限界。200g近くあるスマートフォンを背負わせれば、飛び立つことすら叶わない。ポポたちに無理を強いるのは、聖域の管理者として避けるべきだ。

「……ポポ率いるハトたちは、偵察任務に特化している。重い荷物の運搬は酷だ。だが、レイ率いるカラスの群れなら話は別だ。彼らには独自の知性があり、長距離の荷運びにも耐えうる頑健さがある」

俺は空を仰ぎ、黒き翼の主たちを呼んだ。

「よし、レイ! お前たちに頼みたい。この『スマートフォン』を、アヴァロンとガルドランディアの商人ギルドまで届けてくれ」

俺は念のため、スマートフォンの使用方法を記した手紙を端末の防水ケースに添えた。レイは「カァッ!」と鋭く、そして力強く応えると、仲間たちと共に端末をくちばしで優しく、かつしっかりと咥えた。漆黒の翼が羽ばたき、カラスの群れが聖域の空を黒い帯となって駆け抜けていく。それは、分断された世界を繋ぐ希望の使者だった。

それから数時間後、空がオレンジ色に染まる夕刻のことだった。

静寂を破るように、俺の手元と、聖域の通信室に置かれた端末から、同時に呼び出し音が響いた。

「こ、これはアヴァロン王国の商人ギルドからか……!?」

エリュシオン王国の拠点で端末を開いたゼノが、驚愕に目を見開く。通話機能が繋がり、向こう側からアヴァロン本部のギルドマスターの声が飛び出してきた。

『ゼノ! 聞こえるか! 突然、漆黒の怪鳥からこんなものが届いたが……これはすごい! まるで隣で会話をしているようだ! 帝国の通信魔導具に匹敵する、いや、それ以上の明瞭さだぞ!』

同時に、俺の手元の端末も震えた。

『よう、人間! 俺はガルドランディア王国の商人ギルドのギルドマスター、ドランゴだ! 突然の通信失礼する! 漆黒の翼を持った鳥が、貴様の名前が書かれた手紙と共にこれを置いていったんだ!』

ドランゴというそのドワーフの男は、重厚な笑い声を響かせた。

『噂には聞いていたが、まさか帝国が流出させたという最新魔導具『スマートフォン』の再現に、これほど早く成功する奴がいるとはな! 世界各地で再現が試みられているが、どれもこれも起動すらままならん代物ばかりだ。だが、貴様のところから届いたこれは……完璧だ! さて、この端末を介して、我々はどんな商談を始めようか?』

俺はスマートフォンを握りしめ、かつて現世で感じたような、しかしそれ以上に重い「繋がり」を実感していた。

「ドランゴ、ゼノ、聞こえるか! これが聖域と、そして俺たちが築く新しい世界の通信網だ!」

帝国が監視を強め、諜報活動を激化させる中で、俺たちは帝国の技術を越える「協力のネットワーク」を完成させつつある。分断の歴史が、たった一つの音色によって終わりを告げようとしていた。この一声は、間違いなく歴史を変える最初の波紋となるだろう。

第百十五話、いかがでしたでしょうか。

カラスたちの知略と、商人の連携。ついにスマートフォンが世界を結びました!

豪快なドワーフのギルドマスター、ドランゴの登場で、ガルドランディア王国との貿易も加速します。しかし、通信網の成功は、帝国の耳にも届くはず……?

次なる展開は、この便利なツールの普及がもたらす、意外な波乱とエリュシオン王国の反応です!

次回:

「通信革命、拡大中! アヴァロンとエリュシオン、聖域の絆が全土へ!」

お楽しみに!

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