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第百十一話:聖域に新たな風! 突然の来訪者がもたらす、意外なニュースとは?

波乱の部屋割り決定戦を終え、聖域にようやく平穏が訪れるかと思われた夜。

しかし、奏多を巡る争奪戦はヒロイン間にとどまらず、聖域の全住人を巻き込んでカオスを極めていた!

翌朝、寝不足でフラフラの仲間たちを前に、奏多は環境改善という名の「庭園都市計画」を断行する。

そんな平和を取り戻そうとする矢先、聖域の門を叩く影があった。

第百十一話、聖域に舞い込む新たな風。デーモン族の商人が告げるのは、世界の情勢を左右する意外なニュースだった。

激動の夜が明けようとしていた。

俺たちは明日への活力を養うべく眠りにつくはずだったが、その夜は一筋縄ではいかなかった。

「奏多様! 今日は私の部屋で一緒に寝ましょう! シルヴィアさんと一緒に寝るなんてずるいですから! 私だって純粋な乙女なんですから!」

ルミナの強引な誘いに抗う術もなく、俺は彼女の部屋へと連行された。その後の展開については、……まあ、聖域の壁は厚く、防音対策も万全だったとだけ言っておこう。

ところが、その裏では地獄絵図が繰り広げられていた。

ゴング率いるゴリラ軍団は、深夜だというのに「ウホウホッ!」と奇声を上げ、まるで修学旅行生のようなテンションで館中を走り回っていた。極めつけは、ビー率いるミツバチ軍団と、バチ率いるオオスズメバチ軍団の抗争だ。両者は部屋の中で壮絶な威嚇合戦を始め、隣の部屋で安眠を妨害されたヴィオラが、たった一人で血眼になって仲裁に走る羽目になっていた。

レオとミケは部屋中をドタバタと駆け回り、グリズとシロはクマ同士の相撲大会を始めて館の床をミシミシと鳴らし、ササマルに至っては階段の段差を転がって遊ぶという奇行に走っていた。

翌朝、俺とルミナ以外の全員が、パンダのような隈を目の下に作ってフラフラとリビングに集まってきた。

「……ごめん、みんな。俺の管理不足だ。流石にこの館の中じゃ狭いし、個々の習性もバラバラすぎる」

俺は溜息をつきながら、みんなの憔悴しきった顔を見渡した。

「庭にみんなの住む場所、最高の小屋を建ててあげるから……ね? 引っ越してくれる?」

俺の提案に、みんなは救われたような表情で頷いた。

早速、作業が始まった。動物たちの室内部屋は即座に撤去され、広い庭にそれぞれの生態に合わせた快適な小屋を新設する。ミツバチとオオスズメバチの巣は、互いに干渉しないよう、庭の東西の端へと完全に隔離して移設された。

ようやく聖域が落ち着きを取り戻し、庭で汗を拭っていたその時だった。

「侵入者か? ……いや、武装はしていない。客人のようだな」

門番アイギスの冷徹かつ冷静な声が響く。庭の入り口に、一人の男が立っていた。

漆黒の肌に小さな角、そして知的な銀縁眼鏡をかけた男。彼は慌てた様子で両手を挙げた。

「おっと、デカいゴーレムですなぁ! ご安心を! 私は侵入者ではなく、客人でございます!」

「……ん? アレは?」

ヴィオラが目を輝かせて駆け寄る。

「アレはデーモン族だわ! 珍しい!」

俺は記憶を辿る。かつて魔将ゼノスが蔑んでいた、人間側へ寝返った種族。

「デーモン族って……ゼノスが言ってた、人間へ寝返った連中か?」

男は深々と頭を下げた。

「その通りです。私達は魔王軍から離脱した悪魔の子孫。祖先が人間に機密情報を提供し、勝利に貢献した功績が認められ、今では人間社会と共生しております。私の名は**『ヴァル・ガザール』**。アズラク・ガウル王国で商いを営んでおります」

ヴァルは整った身なりを正し、聖域を丁寧に見回した。

「今回は皆様の館の噂を聞きつけ、取引に参りました。特に……そちらで生産されている『館のコーヒー』は、エリュシオン王国の王族の間で伝説的な好評を得ていると聞きまして!」

「ああ、あのコーヒーか!」

「羨ましい限りです……。かつて我が国もコーヒーの産地として栄えておりましたが、魔王軍との死闘に加え、科学技術を振りかざす帝国からの侵略的脅威に晒され、供給網はズタズタに。今や貧乏な国に成り下がってしまいました」

リリアが切なげに目線を伏せる。

「……私の故郷とは離れているけれど、同じエルフの領土でも似たような状況です。帝国は世界中の資源を食い尽くそうとしている……」

「仰る通りです。ですが、今は希望があります! エンジェルたちのセレスティア王国での食糧危機を解決したのがこの館だと聞き、我がアズラク・ガウル王国も、この聖域と手を取り合いたいのです!」

ヴァルは少しだけ声を潜め、不敵に微笑んだ。

「それと、面白そうなニュースもネタとして持って参りました。平和的すぎて意外かもしれませんが……帝国の内情、そして『ある計画』についてです」

平和的すぎて意外なニュース?

帝国の侵略が続く中で、一体どんな情報が……。俺たちは息を呑んで、ヴァルの次の言葉を待った。

第百十一話、いかがでしたでしょうか。

突然のデーモン族の商人、ヴァル・ガザールの登場!

エリュシオン王国やエンジェル王国との繋がりが、経済的な取引を通じてさらに強まっていきます。

そして、彼が持ってきた「平和的すぎて意外なニュース」とは一体何なのか? 聖域に吹く新たな風は、平和への道標となるか!?

次回:

「帝国の意外な弱点? 商人ヴァルが語る、平和すぎる重大ニュース!」

お楽しみに!

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