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第百九話:聖域の夜は、誰の隣で過ごすのか!? 部屋割り決定戦、開幕!

DIYによる館の復興作業が、いつしか「誰が奏多の隣で眠るか」という頂上決戦へと変貌を遂げた!

マーリドの無責任な提案により、聖域は空前の部屋作りコンテスト会場と化す。

シルヴィアの余裕、ルミナの執念、そして空気を読まない動物たちの大乱入!

混沌を極める中、奏多の平穏は一体どこへ消えたのか!?

第百九話、聖域の夜は誰の隣で――部屋割り決定戦、開幕!!

「お前たち、いい加減にしろ!」

俺の抗議は、聖域を包み込む熱狂の渦に飲み込まれて霧散した。

きっかけは、俺の肩で小さく光るマーリドの、あまりにも無責任かつ道楽的な提案だった。

『お前たち、どうしても奏多の隣で眠りたいというのなら……まずは自分たちの部屋の「快適度」で勝負してみるが良い! この私と、審判役のプシューケーが、厳正に審査をしてやろう!』

「ゴラァァァッ!! 勝手にルールを作るな!!」

俺の怒号などどこ吹く風。ヒロインたちはその言葉を「神の啓示」とばかりに受け取り、瞳に情熱の炎を燃やし始めた。

「うふふ、勝負となれば話は別よ。ルミナちゃん、あなたには負けないわよ?」

シルヴィアが妖艶に微笑みながら魔力を操り、寝室の設計図を魔力で空中投影する。その隣ではリリアとエーリエが顔を見合わせ、二人で一つの夢の空間を築こうと意気込んでいる。

「よくわからないけど……負けられないですね、エーリエ!」

「はい! 私たちの歌声が一番心地よく響く、癒やしの空間を作ってみせます!」

しかし、事態はさらに悪化する。館の外で作業していたはずの面々が、我先にと館内へと雪崩れ込んできたのだ。

「なんでお前らまでアイツらと一緒に館の中に入ってまで参加してんだよ!!」

俺の叫びも虚しく、レオ率いる動物たち、特にゴングが率いるゴリラ軍団が、まるで見知らぬ土地へ修学旅行にやってきた馬鹿騒ぎのテンションで館内を練り歩き始めた。彼らは「部屋=面白い場所」とでも認識しているのか、柱を勝手に飾ったり、蔦を勝手に這わせたりと、館の構造をメチャクチャに改造し始めている。

「ウホッ! ウホウホッ!!」と主張するゴリラたち。

それに乗じて、ヴィオラが「その構造、力学的欠陥があるわよ! もっとこう、複雑な動線にすべきよ!」と口を挟み、エリスが「いいや、騎士の寝室は質実剛健であるべきだ!」と割って入る。

もはや館は、修復現場ではなく、欲望と混沌が渦巻く「愛の迷宮」と化していた。

そんな阿鼻叫喚の嵐の中、俺はふと、館の庭の片隅で静かに作業する二つの影に気づいた。

かつて聖域の空を支配した誇り高きドラゴン、ハルである。彼女の巨大な寝床は、先日の魔王軍との激戦で無残にも砕け散っていた。

しかし、彼女は荒れ狂うヒロインたちや騒ぐ動物たちを冷めた目で見つめ、アイギスとともに、黙々と、一つずつ石を積み上げていた。

「……ハル」

アイギスがハルのために調整した特殊合金のフレームに、ハルが自身の熱で温めた石を丁寧に埋め込んでいく。火花を散らすことも、叫ぶこともない。ただ、自分たちが休むべき場所を、以前よりも少しだけ頑丈に、そして穏やかに作り上げている。

俺はその姿を見て、思わず深く溜息をつき、同時に安堵の笑みがこぼれた。

「……ああ、お前たちだけはまともだ」

「……演算完了。ハル様の身体構造に合わせて、最適な硬度と温度を維持します。……奏多殿も、あまり無理をなさらぬよう」

アイギスが淡々と告げる。

ハルは俺の視線に気づくと、小さく「グルル……」と喉を鳴らし、自分の寝床の隣に小さなスペースを空けた。それは俺のために、いつでも休める場所を確保してくれているという合図だった。

館の中では、今この瞬間も「奏多の隣の権利」を賭けた激しい舌戦が繰り広げられている。

だが、この聖域の片隅に流れる静寂は、この騒がしい日々の中でも守るべき「聖域の日常」そのものだった。

「さて……まずはあの騒ぎをどうにかして鎮めるか」

俺は袖をまくり、再び戦場……もとい、館の中央へと歩み出した。

果たして、聖域の部屋割りは、誰の勝利に終わるのか。そして、この騒動は夜通し続くのか。俺の心は決まった。今日はもう、みんなを寝かせるために、全力で奔走するしかない。

第百九話、いかがでしたでしょうか。

ヒロインたちの恋のバトルと、動物たちの謎のハイテンション。そして、そんな中で静かに絆を深めるハルとアイギス。聖域は今日も賑やかです!

部屋割り決定戦は、予想外の結末を迎える……!?

次回:

「部屋割りの結末! 聖域の夜に誓う、それぞれの絆と明日の約束!」

お楽しみに!

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