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ロストメモリー  作者: 島山 平
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藤田剛の記述(1)

 亡くなった山岡有紀子は、死の直前から、精神状態が不安定になっていたようだ。母親を殺害され、恋人が自宅のアパートから転落死し (おそらくは自殺)、その男性は彼女の母親を殺害した犯人の容疑者であった。

 それらがこの一ヶ月以内に起きていたため、彼女の精神が崩壊してしまったのも不思議ではない。この世に居場所がなく、飛び降り自殺をした可能性は極めて高い。職場であるアピタの屋上から飛び降りたのは、母親殺害の容疑者である中村修平の勤務先だったからかもしれない。

 唯一、彼女の死を自殺と断定してはならない原因が一つだけある。亡くなった山岡有紀子の持ち物から、二冊の日記が発見されたからだ。ざっと目を通したところ、そのうちの一冊は、二人の人物によって書かれたものと推測できた。二冊の日記の内容が一連の事件にも触れられていたため、これから注意深く確認していくことにする。

 

 山岡有紀子の所持していた二冊の日記は、いったい何を示すのだろう。そもそも、自殺するつもりだった彼女が、日記を所持していた理由がわからない。その一方で、日記の中に遺書に当てはまる内容が含まれている可能性もある。一連の事件を解決するためには、これらの日記を注意深く読み通す必要があると思われる。

 私が最も気になる点は、なぜ山岡有紀子は、日記をカバンに入れた状態で自殺したのか、ということである。そこに、何かしらの意志が隠れているように思えてならない。日記の内容にとらわれて真実を見逃さぬよう、客観的に読んでいくつもりだ。


七月九日 藤田剛

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