28 世界
僕は結晶体を取り出し、リムさんにあの光の鑑定結果を記録してもらう。
その記録をエルハルトに共有してもらう。ついでに、同席のギルド職員も。
僕も『感知』しようとしたら、思念量が膨大でできなかった。うーん。
「どう?たぶん『空間』や『次元』の概念が絡んでいると思うけど」
「転移…この世界から別の世界に送られたのがわかりました」
「制御方法はわからないが、そうだな、『世界』の存在はわかった」
意外にも、異世界転移はこの世界の魔力で行われたらしい。
ただ、誰がその魔力を保持して転移魔法として発動したかは不明。
とりあえず、僕の異世界転移について一通り説明する。
「神様、なのでしょうか。その、イメージを送ったという方は」
「創造神の割には万能ではないので、次元を超えた管理者、程度かな」
MMORPGの開発・運営、と例えるほど何か出来ている感じがしない。
ゲームマスターのレベルかなあ。ユーザとして降臨するかはともかく。
と、いうのが、イメージを受け取った時の僕の印象だ。
「いずれにしても、膨大な魔力量が消費されていたな」
「制御手順が判明しても、私達では何十人いても発動できません」
「でも、影響を少なくするため、この世界の魔力を蓄積していたらしい」
魔力を含めて介入できるが、歪みが拡大したら本末転倒だ。
『気長に』というのは、そういうことらしい。魔力蓄積は神の領域かな。
ただ、僕がそう願ったせいか、その魔力でロトさんが送還されたようだ。
「ん?ということは、シルが望めば既にいつでも帰還できたのか?」
「えっと、うん、そうみたい。蓄積は1か月ほどで終わるらしい…」
そう言った直後、リムさんが僕にがばっと抱きついてきた。
「…いつまでも、居ていいんですよ。ううん、居てほしい」
「そうだな。気の済むまでこの世界で暮らしてくれ」
「いいのかなあ…」
再び、家族友人のみんなゴメンなさい。僕は帰還したくないらしい。
ロトさんも、拳銃なんか持ち込んでなかったらうまくいってたのかな。
ちょっとピントが外れたことを考えながら、リムさんの横顔を眺めていた。




