25 同郷
「そういえば、固有パターンが検出できなかった人がいたと聞いたんですが」
「ああ、あなたもでしたね。数日前にギルドで保護したのですが…」
「保護?」
なんでも、王都の近くで発見した時、相当錯乱していたらしい。
『鑑定』で魔法が使えないことがわかると、更に情緒不安定になったようで。
で、ギルドが用意した宿に軟禁状態らしく、扱いに困っているみたいだ。
「何かお手伝いできるかもしれません。会わせてもらえますか?」
「構いませんが、魔法を見るたびに驚いて暴れようとするんですよ、その人」
「おおう…。とりあえず、少し話をしてみますよ」
ギルドの紹介で同じ宿を取ることにした僕らは、ギルド職員と宿に向かった。
部屋を取った後、保護された人の部屋を訪ねた。職員がノックをする。
「えっと…いらっしゃいますか?」
「来るな!また変な首輪か何かを俺に付けさせる気だろ!」
うん、『聴取』するまでもなく、空気振動で伝わるそれは紛れもなく日本語。
同郷確定。しかしこの様子、素直に喜べないなあ。間違いなくトラブるな。
ドア越しで話しかけてみるか。お手伝いできるかもって言っちゃったし。
「あのー、日本からやってきた人ですよね?」
「!?俺のことがわかるのか!?ここはどこだ!?どうなってるんだ!?」
「説明しますから、開けてもらえますか?」
そう言うと、ドアが開く。25歳くらいのスーツ姿の男性が現れる。
「…確かに、日本人のようだな。お前は、魔法が使えるのか?」
「使えませんよ。この世界に来た時、イメージが届きませんでしたか?」
「イメージ?何だそれは?って、やっぱりここは異世界なのか…」
ありゃ、届かなかったのか。よっぽど忙しいのかなあ、かのお方。
「『いせかい』って、何ですか?うまく『聴取』できなかったんですが」
「もしかすると、『くーかん』や『にじげん』に関係あるのか?」
「あー、うん、もうちょっとこの人と話してから説明するから」
あっちにもこっちにも説明することになるのか…めんどい。




