11 飛行
魔法は割と万能だが、物理的な現象を長時間持続させるのは難しいらしい。
それが、一瞬一瞬はわずかな魔力しか使わない威力のものであっても。
「ずっと『加熱』し続けられるようになるわけではないさ。毎日やっていても」
「たとえば、こんな感じ?」
空気イスをやってみせたら、おばちゃんにバカウケした。
「そっかー、だから馬車を使っているんだ」
「ああ、そうね。風魔法とかで何十分も押し続けることは難しいだろうねえ」
「風魔法…風魔法か…」
飛行機の模型の翼の形状はなんとなく覚えていた。成形魔法で作れそう。
エルハルトに頼んで木材を加工してもらった。試行錯誤で。なんか死んでた。
投げ飛ばした試作グライダーは見事飛び、断続的な風魔法で制御できた。
「面白いが、これの巨大版には乗りたくないな。空中での魔力枯渇が怖い」
この世界の人達にとって、魔力枯渇は小さい頃に一度は経験するらしい。
覚えたての時に調子に乗ってぶっ放し、しばらく使えなくなってトラウマに。
…魔力皆無の僕へのみんなの扱いが更に理解できたような。
「ただ、知覚系は発動し続けることができるし、遠隔発動も慣れればできる」
「?」
「別の使い方ができるってことさ。試してみよう」
小さな物資を、1時間ほどで数十キロ遠くの場所に運ぶことができた。
もっとも、『遠視』を使って風魔法で制御し続けるのはやはり疲れるらしい。
自動車を運転しているようなものかな。
「もう少し大きくすれば、近隣の街や村への荷物運搬に使えそうです」
「リムさんでも飛ばせそう?」
「ええ。ギルマスに相談してみます」
各地の冒険者ギルド間の運搬用に使ってみることにしたようだ。
伝書鳩のようなものはあったらしいが、荷物は無理だったので喜ばれた。
革新的というほどではないけど、異世界人としてようやく役に立ったかな。
「小さなグライダーで結晶体をやりとりする人も出てきたみたいですよ」
「ああ、家に居ながら気軽にイメージをやりとりできるって流行ってるな」
え、メッセージアプリみたいな使い方?知識チートで負けてるじゃん…。




