血と微笑み
「それで、ただ俺に会いたかっただけでこんな愚かな計画に乗ったのか。心の傷は残ってないか、プリミ司教」
血の匂いが苛立ちをわずかに鎮めてくれた。椅子に深く腰を据え、領主としての姿勢を装った。内心を見透かされないように。
「ずいぶん変わったわね。小さい頃はもっと可愛かったのに」
「何年も経てば人は変わる。この乱世で守りたいものを守るなら、手段は荒くて当然だ」
「これはイミタート人の戦争よ。あなたには関係ないはず」
「俺を怖くないのか」
プリミが手を伸ばし、頬に触れようとした。私はその手首を掴んで止めた。
「さっきのは一瞬の恐慌よ。わたしはあなたに会うために来たの。こうなることは、ある程度覚悟してた」
「ほう。つまりおまえの中では、最初から俺は殺人鬼だったわけか」
「違う、そういう意味じゃない。ただ……改めて知りたかっただけ、あなたのことを」
「何年も前の人間のために、命懸けで陰謀に加わったのか。何が目的だ。友人だから、それだけか」
「あなたの評判を聞いたから。みんなが噂してた。セナトール伯爵は優れた軍事能力を持ち、若くして威厳を備えている。すべての戦いを勝利に導き、部下の貴族には敬意か恐怖を抱かせている。だけど敵には残忍で、勝利の裏には常に血が流れていると」
「悪くない評判じゃないか。何が問題なんだ」
手を叩いて、風聞への満足を示した。
「わたしが知っていたあなたは、そんな人じゃなかった。あの頃のあなたは明るくて、可愛く——」
「可愛いって言うのをやめてくれ。もうその二文字は聞きたくない」
「ごめんなさい。そんなに嫌なのね、もう言わない。あの……帝都でしか出回っていない噂だけど、ヒルヴァ司教から聞いたわ。宮相のお嬢さんと親しくしてるって。婚約寸前だとか」
「俺の私生活にそこまで関心を持つとは、光栄の至りだな。おまえに何の関係がある」
「前にも婚約があったでしょう。エルバと。あなたの従姉の」
「そんな何年も前に破棄された話のために、こんな馬鹿な真似をしに来たというなら、今まで生き延びられたのは純粋に家門の庇護のおかげだな」
「婚約の破棄は、エルバの意志じゃなかった。一度も」
「だから何だ。わざわざ大老遠くから、他人の事情のために来たのか。おまえが男だったら、とっくに喉に剣を突きつけて、無駄口を減らして要点を言えと迫っているところだ」
「エルバだって辛いの。今もずっと辛い思いをしてる。あなたにとても会いたがってて、仲直りしたいって。でもあなたに送った手紙は一通も返事が来ないし、会いに行く暇もなくて」
「あの迷惑な紙屑のことか。全部まとめて火炉に放り込んで燃料にしたよ。辛いだと? 母の死を、母が最期に遺してくれた無実の妹に押しつけるような愚かな一族に、何を惜しむ」
「仲違いの原因は、それだったの……。それは知らなかった」
「ほう。何も知らずに友人のために取りなしに来たと。やはり聖女の座は、ヴィエルヤよりおまえの方が向いていたようだな。ふふ」
「エルバのためだけじゃない。わたし自身が、あなたに会いたかったの」
「ほう。じゃあおまえの話を聞こうか。俺に会って、何がしたかった。子どもの頃に一度会っただけだろう」
「覚えていないかもしれないけれど、あなたが言った言葉がずっと心の中にあった」
「言葉?」
「わたしはグネイア家の娘。前任聖女の姪。生まれた時から運命は決まっていた。成人したら教会に入り、家門の勢力を継ぎ、司教まで上り詰め、聖女の座を競う」
「それが俺と何の関係がある」
「あの頃のわたしは、本当に苦しかった。先の見えた孤独な未来。選択肢なんてない。そんな日々の中で、あなたが現れた。あの時あなたが言ってくれた言葉が、ずっと残ってる」
「何て言ったんだ」
「あの頃のあなたは、天真爛漫な笑顔でこう言ったの。——未来は決まってなんかいない。たとえ教会に入ることになったからって、どうってことない。競争し、待ち、主導権を自分の手に握っている限り、いつか変えられる日が来るって」
「……」
「あの時わたし、泣いちゃったの。あなたよりずっと年上なのに、あなたを抱きしめて、あなたに慰めてもらった」
「それだけのことか。俺は誰にでもそういうことを言ったかもしれない。単に、運命というものが嫌いなだけだ」
「そうかもしれない。でもわたしにとっては特別だった。ずっと支えになってきたの。頑張る力。生きる理由」
「結局うまくいかなかったじゃないか。聖女の座はヴィエルヤのものだ」
「そうね。でもエルバは成功したわ。まだ片付けなきゃいけないことは残ってるけど、もうすぐあなたたちは再会できる」
「あんな女と再会なんかしたくない。ヴィエルヤに頼んでおまえの罪を赦免させる。その代わり、俺のところには二度と来させるな」
「エルバは止まらないわ。わたしも。あなたを助けたいの」
「おまえの罪をすべて差し出せ。それが俺への最大の助けだ」
プリミがもう片方の手を伸ばし、再び頬に触れようとした。両手とも掴んで止めた。まるで人形を弄ぶような格好になった。
「もしそれであなたが喜ぶなら。司教の職は剥奪されるでしょうね。これでわたしの願いも一つ叶ったことになるかしら。これからあなたの傍にいさせてもらえる?」
「だめだ。かといって、このまま家門に送り返すのも面倒だな。そんなにエルバの名前を出すのが好きなら、エルバのところに送ってやる」
「それって、心配してくれてるの?」
「違う。そっちの方が都合がいいだけだ。さっきおまえの目の前で大勢を殺しておいて、今おまえの身を案じるだと。何の道理がある。昔の知り合いだからか。若いからか。それともグネイア家だからか」
「そうかもね。でも、変わっていないところもあるみたい」
「何がだ」
「あなたが言った通りよ。大切な人に対して——」
プリミが穏やかに微笑んだ。つい先ほど、彼女の目の前で部下が同志や支持者を虐殺したばかりだというのに。奇妙で、厭わしい女だった。
だが——その微笑みには、かすかな聖潔が宿っていた。彼女の笑みを見ていたら、なぜか自分も奇妙に笑い出していた。
まるで精神に異常をきたした人間のように。




