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三角の包囲

木剣が腕に従って下から上へと振り上げられ、肩の上に乗った。深く息を吸い込み、剣を高位の構えに切り替える。大きく踏み込んで跳躍し、跨ぎ斬りを繰り出した。フレディは先ほどの私の防御を真似て、上体を後方に傾け、幅広い木剣の腹で受け止めた。木剣同士だから金属の澄んだ音はしない。代わりに、重い木と木がぶつかる鈍い音が響き渡った。


もはやじゃれ合いではなかった。畳みかける攻撃の連続。木剣が二人の手の中で絶え間なく振るわれ、構えを次々と変えながらぶつかり合う。——最終的に、横薙ぎの一撃がフレディの手を捉え、木剣を弾き落とさせた。


「ごめん、大丈夫か」


フレディが少し痛そうに手を押さえているのを見て、慌てて木剣を捨てて駆け寄った。


「大丈夫よ、小安。でも今回負けたのは護手をつけてなかったからだからね。次はもっと正式にやりましょう。副手と盾をつけたら、小安もあの女もまとめて叩きのめしてやるんだから」


「本当に大丈夫か? 手がちょっと赤くなってる」


手を伸ばし、打たれた箇所をそっと撫でた。


「平気だってば。こういうの、怪我して当然じゃない。むしろ小安の方よ。わたしが怪我するたびに謝ってくるけど、わたしだってしょっちゅう小安に怪我させてるのに」


「いいんだよ、戦場に出れば怪我はつきものだし。——さて、約束通り負けたんだから、もうチェルシーを攻撃しようとするのはなしだぞ」


「わかったわよ。今回だけ。——その代わり、一緒に狩りに行ってくれる?」


フレディが唇を尖らせ、私の手を逆手で握り返した。二人の手が重なり合い、ぶらぶらと揺れる。


「狩りか。そうだ、絶対気に入るものがあるんだ。教会から聖グラディスの長剣をもらったんだよ。——あれ、どこに置いたっけ」


「出城する時に飾っておくって言っておいて、結局馬車に放り投げてたじゃない。教会が知ったら教籍を剥奪されるわよ。あなたが馬車で寝てる間に、元の場所に戻しておいたけど」


「左様でございます、殿下。殿下にお供した侍女よりアンシラに報告がございました。すでに保管させておりますが、今お持ちいたしましょうか」


「ああ、持ってきてくれ」


「かしこまりました。あなたたち、殿下のお言葉を聞いたでしょう。聖遺物を取ってきなさい」


「なんで自分も行かないで、こっちに来たんだ」


「セリン殿下がご不在ですから。セリン殿下に代わって、アンシラが殿下をお見守りしなければ」


「アンシラの言う通りね。わたしも小安を見張らなきゃ」


「ふん。せっかくだから、ちょうど三角形にあなたを囲んで、呪ってあげるわ」


こうして——アンシラ、フレディ、チェルシーの三人が、それぞれ異なる角度から私を取り囲んだ。本当に、正三角形のように。


——


「ヴィエルヤお姉ちゃん、終わりました? もう行っていいですか? この誓約、すごく変だったんですけど」聖像の前からゆっくりと立ち上がった。周囲の燭火が投げかける光と影が三角形を描いて私を取り巻いている。大人になった私にはあの時何が起きたのかまるで思い出せないが、幼い頃の私はこの「誓約」が何であるか、知っていたようだった。


「終わったわ。えらい、えらい。お姉ちゃん、ご褒美をあげたいな。アンビティ弟は何がほしい?」


聖女がまた嬉しそうに頭を撫でてくる。相変わらず聖女らしさの欠片もない。遊び好きな少女そのものだ。


「家に帰りたいです」


「あ」


その一言を聞いた瞬間、聖女の手が宙で固まった。表情も一緒に凍りつく。


「あはは……女神様、こうなるとは聞いてないんですけど……」


聖女の小さな呟きが耳に届いた。


「あの、本当に、本当にもうお帰りになりたいの? 総教会堂に残って、お姉ちゃんやエダ妹と遊ぶのは考えない?」


聖女が必死に表情を立て直し、平静を装おうとしている。だが明らかに、失敗していた。


「でも僕、他の人にも遊ぶ約束をしてしまったので。もう一晩も泊まってますし」


「あと一晩だけ。一晩だけでいいから」


「……わかりました」


「やったー! げほっ、ちょっと興奮しちゃった。——じゃあこうしましょう、お姉ちゃんからプレゼントをあげる」


聖女はそう言いながら、どこからともなく水晶球を取り出した。天然の白水晶を研磨したもので、この上なく滑らかで、一筋の裂け目もない。


「どう? これはとても標高の高い山岳地帯で採掘された上質な水晶よ。前の世紀に教会に献上されたもの」


「献上品をこんなふうに人にあげていいんですか? 理論上は聖教の所有物では」


客観的に言えば、この水晶球は確かに美しかった。磨き抜かれて透き通り、光を反射している。だがなぜか——この水晶球に対して拒絶感があった。まるで球の内側から、目が私を見つめているような。


「大丈夫。お姉ちゃんは女神に認められた聖女だもの。受け取ってね、絶対よ」


「……わかりました」


手を伸ばして水晶球を受け取った。影が光を遮断し、冷たい感触が掌に伝わる。触り心地はとても良い。——だがそれでも、あの不気味な感覚は消えなかった。まるで眼球を撫でているような。帰ったらすぐに家に置いておこう、と心に決めた。


「じゃあエダ妹のところに戻りましょう。あの子もずっと待ってたわ」


聖女がまた楽しそうに笑った。だがその笑みの中に、何かが引っかかった。何かを成し遂げたような——企みが実った時の色。


「一日経ったら帰れるんですよね、ヴィエルヤお姉ちゃん」


「もう、まだ少ししか経ってないのに。そんなに急がないで。お姉ちゃんが食べちゃったりしないから。少なくとも今は。女神が予約済みだし。——さあ、行きましょ、行きましょ」


聖女がまた意味不明なことを言いながら、せかすようにして部屋へ連れ戻した。小さなエダはちょうど部屋の中をそわそわと行ったり来たりしていた。私と聖女が戻ってくるのを見て、急いで駆け寄ってきた。


「聖女お姉ちゃん、戻ってきた。あの——」


エダが手を動かし、何か言おうとした。だが途中で止まり、言葉が続かない。


「どうしたの、エダ。何か言いたいことがある?」


「な、なんでもない。ただ……一人が、ちょっと怖かっただけ」


エダが俯いた。金色の髪が頬にはらりと落ちかかる。紫色の瞳に、恐怖と寂しさがうっすらと滲んでいた。


「大丈夫だよ。ちょっと出ていっただけじゃないか」


歩み寄って、エダの顔を両手で包んだ。自分の頬を彼女の頬にそっと押しつける。少しでも怖さと孤独を溶かせたらいい、と思いながら。


エダが反応した。小さな手が再び私を抱きしめ、頬を懸命に擦りつけてくる。柔らかくて滑らかな肌が触れ合う感触。——心地よかった。


「エダ妹、アンビティ弟、気分転換にチェスでもどう? 頭の体操にもなるわ」


「いいですね、ヴィエルヤお姉ちゃん。聖タク兵棋はありますか?」


「聖女お姉ちゃんがそう言うなら、やる」


「もちろんあるわよ。お姉ちゃんのところには色んな棋があるの」


そう言いながら、聖女はまるで前もって予想していたかのように——聖タク兵棋の盤と駒を取り出し、卓の上に並べた。


「あの、エダ。ルールは知ってる?」


「知ってる。……が、教えてくれた」


「教えてくれた」の前に、明らかな長い沈黙があった。——教えた人物は、おそらく父親か母親なのだろう。

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