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中級受付嬢 サラの色気


夕暮れ時、懐かしい場所に返ってきた。

たった3泊だったが、内容が濃すぎたため、懐かしくハヤトには感じられた。


引取所に寄る

『おぅ、今日は何じゃい?』

「天上雲茸を持ってきました。」

『んん?これはまたぁ、ただでさえ出回らんのに一級品じゃの。よぅこんなの譲って貰えたのう。』

「人徳ですかね?」

半分は食べよう。テイクアウトで



小銀貨4枚を払い、フォルディアの門をくぐる。


『やーハヤト君、その子達は?』

「カンデラ平原で野盗を倒して救出してきた。」

『救出された!』『格好良かった!』『凄い!』


はしゃぐ子供達。囚われの乙女を悪漢から助けて帰還したのだ。詳細は誤魔化す。秘密がバレると勇者協会に討伐される。


『そっか、凄いね。絵本の勇者みたい。』


門番のトールが、格好良さげなポーズをしてくる。勇者のマネか?サマになってるのが悔しい。


「勇者は、勘弁してくれ」

『あは、現実知っちゃうとね。』


『こらっトール!仕事中の発言は気をつけろ!勇者協会は。』

『す、すいません。』


失言して上司に怒られるトールに手を振り、少女達と冒険者ギルドに向かった。



ギルドに入ると、視線が痛い。

めっちゃ痛い。

ダメージ0スキルを超えてゴリゴリと精神ダメージが。

何故なら、3人の少女を連れているから。服もエドナの婆ちゃんがくれた汚れていないのを着ている。怪しさ全開だ!

ヒソヒソ声が痛い。

(草むしり野郎、ついに)(別格のヤバさだな)(事案ですよ)



今日はマリエラさんは、休みだ。

仲間は、いない。


中級受付嬢のサラさんのカウンターに向かう。

あぁこの人には、大人の色気がある。すらっとしていてスタイルが良い。もちろん美人だ。


『あら?マリエラのお気に入りだね。どうしたの?ぼく?』

「依頼の達成を」

((ハヤト、ダメ!このオンナやばい))


色気を感じてクラクラする。ローズが少し大人の武器に珍しく焦ってる。ハヤトやハヤト君ではなく、僕と呼んでくるのは斬新だ。

平静を装い、[天上の雲茸]の納品カードを出す。


『へぇ、やるじゃない?査定凄いわ。次からはお姉さんが相手してあげてもいいわよ?で、その子達は?』

「まだ、Eランクなので。こちらも依頼達成です。1枚は代金受理済で」



[迷子の捜索]4枚を出す。


それを確認し少女と見比べ、固まるお姉さん。照合が終わったようだ。


ふるふると震えだし、ガバッと手を開いたかと思うと、ぎゅゅうと抱きしめられた。

頭を形の良い胸で、ホールドする。

((ちょっ!ハヤトから離れなさい!))


一瞬だった!2人の間にはカウンターがあり、やや離れているが、さすが中級受付嬢!攻撃範囲が広すぎる。


少し強めに抱きしめられ、むにゅむにゅでは無く、柔らかいがしっかりとした。

分からん!いい匂いも相まってクラクラする。


気付けば、天国にいた。

死んでもいい。むしろここで死にたい。


『ありがと、本当にありがと』


感謝するサラのその表情は、泣いているのか笑っているかよく分からない。

大人の表情に、ドキリとした。


少し遅れて、ギルド内が、どよめく。まるでその室内が生きてるかのように。

憧れの高嶺の花の中級ギルド嬢。いつも澄ました余裕のある彼女のそのリアクションに呼応するかのように。



次の瞬間!


ハヤトに絶大なヘイトが

とは、ならない。状況判断をミスる冒険者は長生き出来ないのだ。


つまりは、[迷子の捜索]のクエスト票の争奪戦が始まった。俺もその胸にホールドされたい!いや、違った子供達の未来を取り返したい。高潔な冒険者の心は、1つになった。



争奪戦から共同戦線という実に前向きな結論に達して、にこやかに握手する冒険者達。あぁ美しい!先程まで醜く殴り合ってた面影は、そこに無い。


『ぼく?お礼に遊んであげてもいいわよ?』

「か、考えておきます。」

((う、浮気者ーーっ))


周りのヘイトが痛い。

ヘイトを集めるのは盾使いの哀しき宿命。

盾は使わないが、彼の本質は盾に近い。




と、ここまでは良かった。

オールグリーン!全ては正常だ。


次の瞬間、道を踏み外す。


ハヤトは気付かないが、ダグラスの手紙を受け取った時、絶壁の淵に立たされている。

今立っているその崖の下は深く、落ちたら無敵スキルなど一切の関係なく命を散らす、死の名所。

勇者協会の利権を潰すその手紙は危険極まりない。


無関係を装うため、ハヤトの馬車に乗らず、平原で無残に野垂れ死んだダグラスの決断により、半歩だけ余裕があるそんな状態。


無言で手紙を渡せば、危険極まる崖を通り抜けられるそんな状況。


そんな状況だった。

迂闊にも無敵ゆえの気の緩みで失言する。


「そう言えば、ダグラスさんからの手紙を預かってきました。」


『!』『!?』

不穏な空気が流れる。冒険者の中の幾人か、特に風貌が悪い人達のヘイトとは違う視線が注がれる。皆知っているのだ、ダグラスがヤバイ依頼を受けた事。勇者協会へ有益な情報を密告すると見返りがある事を。もし、ダグラスの手紙なら、密告の見返りで今夜の晩飯は豪華になり、手紙を渡したヒョロい青年は死ぬ。


鞄をごそごそ漁り、差し出す手紙と鍵。


受付嬢は、手紙を受け取った一瞬、コンマ何秒かだけ顔が引き攣るが、何時もの余裕の顔。誰も気付けない。サラには、情報戦に限定してならSSランクの力がある。

ゆっくりと、差し出し人を確認し、


『なんだ?ダガースウからじゃない。納品手続きをとっておくわね』


神フォロー

これで、無関係!ついでにウインク!


だが、野生の危機感を忘れたヒョロは囀る。

愚かにも。

ウインク魅力的だなと、サインをスルー


「いえ、ダグラスさんでした。」



『ぼくぅ?ちょっとオシオキかな。お部屋においで』


叱られたが、ゾクゾクしてしまう。嗚呼、もう僕は駄目かもしれない。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] ダグラスさん『隠れて渡せ!』って言わないから……。 または信用できる第三者とか……。
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