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アレックスに肩を貸してもらいながら、僕たちは森の中をゆっくりと歩き始めた。
彼の体は予想以上にがっしりとしていた、逞しい体は僕の体重など感じさせないほど安定していた。
粗雑な見た目とは裏腹に僕に歩調を合わせてくれる
時折、地面から顔を出す木の根に足を取られそうになると、すぐに腕を回して体を支えてくれた。
「転ぶなよ」
何度も確認してくれる、そのたびに僕は小さく頷くしかなかった。
しばらく進むと、アレックスが前方に視線を向ける。
「あそこで一度休憩だ」
指差す先には太い倒木が横たわっていた。
僕は腰を下ろし、息を吐く。
アレックスはすぐに僕の足元に膝をついた。
「具合をみるぞ、何か違和感を感じたら伝えろ」
僕が頷くのを確認して、彼は丁寧に足首から膝、太ももへと触れていく。
指先が筋肉の張りを確かめているのが分かる。
特に問題はない、先ほどよりもずっと体が軽く感じる。
「大丈夫そうです」
ゆっくり立ち上がると、アレックスが顔を上げて聞いてくる。
「もう大丈夫なのか?」
「ええ、これくらいなら何とかなりそうです、肩を貸して頂きありがとうございます」
僕の言葉にアレックスは頷き、立ち上がって膝についた土を払う。
「だがもう少し休んでから出発するぞ」
アレックスが僕の肩を軽く押して倒木に座らせる、もう歩けると伝えようとした瞬間、僕の目の前に水筒が差し出される。
「俺は特に急いではいない、お前も急ぎの用がないなら、焦ることもないだろ」
アレックスの言葉に特に反論はなかった、差し出されて水筒を受け取り口に運ぶ。
常温の水が喉を通る、今になって自分は喉が渇いていたのだと実感した。
感謝と共にアレックスに水筒を返した。
「そういえば、お前は何であそこにいたんだ。
この森は安全とはよく言われるが、それでも一般人が一人でいるのは変な話だ、見たところ護身用のナイフすらないみたいだが?」
受け取った水筒を一口飲んでアレックスは口を開いた。
なんでと問われても正直困る、僕も何故ここにいるのか、どうやって来たのか全く思い出せない。
答えに窮して唸る僕を見てアレックスは察したように手を振った。
「ま、無理に答えなくていい、人に言えない事は人間生きていればいくつかできるものさ」
気にしないことにしたアレックスはもたれていた木から体を離した。
「ここからは少しペースを上げていこう、余裕があるとはいえ日が暮れる前には町に入りたい
足は問題ないだろう?」
頷いて立ち上がる、水を飲んだのもあるのか体は先ほどよりも少しだけ軽い気がした。
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アレックスが渡してくれた木の枝を簡易的な杖代わりにして歩いていると、視界が少し明るくなっているのを感じる、先ほどよりも森に差し込む日光が増えてきていた。
「森から抜けるぞ」
言葉の通りほどなくして視界が開けた。
森を抜けた先には見渡す限り、草原がひろっがている。
「ここからは平原だ、向こう、見えるか?」
アレックスが指さす先にはまだ遠いが城壁のようなものが見えた。
「街道から少し外れてしまったな、日も傾き始めているが今からでも間に合うだろう、まずは街道に合流しよう」
視界の塞がる森から一気に広がった視界、呆けていた僕の肩をトンと叩きアレックスは歩き始める。
今になって彼が少し力を抜いているのがわかった、たぶん森の中はそれなりに危険な場所だったのかもしれない、これだけあたりを見渡せるのなら脅威も少ないのだろう。




