第E10話 『脱獄計画』
霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない? 番外編
著者:ピラフドリア
第E10話
『脱獄計画』
孤島にある監獄。そこに一人の囚人がいた。
男の名はダツゴク・シタロウ。いくつもの監獄を脱獄して来た脱獄のプロだ。
孤島にある監獄に幽閉されたが、彼はまたしても脱獄を企てていた。
……ふふふ、この程度の檻で俺を捕らえた気になるとは。この監獄に送られて半年、ついに脱獄用の穴が完成した。
後はタイミングを見計らって脱獄するのみだ。
すでに脱獄の準備が整っていたダツゴクだったが、そんな彼に事件が起きる。
「ダツゴク。今日はお前のルームメイトを連れて来た。入れ!!」
看守に連れられて檻に入れられた男性。彼の左手には蟹のハサミがついており、頭には髑髏マークの付いた帽子を被っている。
「囚人番号0056。クラブ船長だ。よろしく」
「海賊ゥゥゥ!?」
ダツゴクの檻に新たに入って来たのは、海賊風の男性だった。
「看守さん、なんでこの人、カニ手なんですか!! それに帽子って!? 外部からの持ち込みはダメなんじゃ!?」
「あー、こいつは特別だ」
看守の頭から黙々と煙が出て来て回想に入る。
「え!? 頭から湯気!?」
「クラブ船長のカニ手を取り外したら泡を噴いて倒れたんだ。帽子も同様だ」
「回想入る必要ないくらい、あっさりした説明!! てか、なんで泡含んだよ!!」
「なんでかなぁ〜?」
看守は言葉を合わせて首を傾ける。クラブ船長は返事するように首を傾けると、
「なんでだろぉ〜」
「ノリ良いな、あんたら!!」
新しいルームメイトが出来た。だが、ダツゴクには問題がある。
……どうする。穴がバレれば密告される可能性もある。今すぐに脱獄すべきだが、警備が少なくなるのは火曜日の夜、3日後の夜だ。
それまで耐えられるか……。それともこいつも仲間にするか。
ダツゴクは悩み。そして
1日だけ様子を見ることにしよう。
ダツゴクは一日。新入りの様子を見ることにした。決断はそれからでも良いと考えたのだ。
だが、
「ガハハハ!! 穴見っけ!!」
速攻見つかってるゥゥゥ!?
看守がいなくなり、檻の中でベッドの下を巡った海賊が早くも見つけてしまった。
ダツゴクは思わず、海賊に飛びつき口を塞ぐ。
ダツゴクは穴を掘っていた時に出た尖っている石を手に取って、海賊の首に突きつける。
「新入り、俺は半年間ここで脱獄するために用意をして来た。お前に選ばせてやる。ここでやられるか、それとも仲間になるかだ」
海賊は凶器を突きつけられているのに、表情は大きく変化することなく。冷静な様子だ。
ダツゴクはゆっくりと口から手を退けて答えを聞く。
「そうか。なら、もう一つ選択肢を増やしてくれ」
「なんだと」
「俺の仲間になれ」
「はぁ!?」
突然の勧誘。捕まった海賊に勧誘されるとは思ってもいなかった。
「ガハハハ!! 脱獄をするつもりなんだろう。俺も同じだ。だが、ダツゴクをした後やることはあるのか……」
「それは……」
ダツゴクは冤罪で捕まり、人生を狂わされた。脱獄を何度も繰り返すうちに、脱獄自体が目的になっていた。
海賊は左手を前に出す。
「俺のところで働かないか。ダツゴク・シタロウ。俺の野望にはお前の力が必要だ」
「なぜ、俺の名前を……。あんた、まさか!?」
ダツゴクは理解した。なぜこの男が監獄にやって来たのか。
ダツゴクは手を出す。
「分かった。まずは脱獄してからだ。それからあんたの仲間になるかは決めよう」
ダツゴクの出した手に握手をする。
「よろしくな。ダツゴク」
「痛い痛い!! ハサミで握手するな!?」
海賊のクラブ船長と協力して脱獄することになった。決行は三日後。それまで何もなければ、良かったのだが……。
「新入りの怪人百目です」
向かいの檻に新しい囚人が入れられて来た。
ドロドロした液状の身体に無数の目がついた怪物。囚人服は上手く着ることができないのか、羽織っている状態だ。
「なんで!?」
半年間。向かいの檻には誰もいなかった。
しかし、決行が近づくとこうして、ルームメイトが増えたり、向かいの檻に目だらけの化け物がやって来たり、どうなっているのか。
「船長、どうする?」
「ガハハハ!! 穴は完成しておるのだ。警戒すべきは決行日のみ、任せておけい!!」
船長は大笑いして自信満々の様子だ。ダツゴクは船長には何か作戦があるのだろうと、任せることにした。
そして決行日の前日。
船長はダツゴクにある話を始めた。
「これのカニ手は脱着可能だ。だが、このカニ手を取ると俺はショックで倒れてしまうんだ」
「なんで!? ってツッコミたいが、それが計画となんの関係が?」
「俺のカニ手には睡眠ガスが仕込まれている。だが、取り出すためにはカニ手を外す必要があるんだ」
「なんで面倒な場所に……」
「決行日。その時は任せたぞ」
「え? 何が?」
船長は答えることなく、そのまま寝てしまった。そしてついにやって来た決行の時。
日が落ちてから、二人は脱獄の準備を始めた。
必要なものはすでに袋に詰めて穴の中に放り込んである。後は百目を無力化するだけだ。
「どうするんだ、船長……」
どんな作戦を用意しているのか。ダツゴクが聞くこうとした時、船長はカニ手を外した。
「船長!?」
「後は任せた……ぞ」
カニ手をダツゴクに託して、船長は泡を噴いて倒れる。
カニ手の中からは睡眠ガスの入ったカプセルが出て来た。
「これを使えば良いってことか」
カプセルを開けて百目の檻の中に投げる。あっという間に檻の中はガスで充満して百目は眠ってしまった。
「よし、今のうちだ」
ダツゴクは脱獄のために穴の蓋を開ける。そして倒れている船長を見た。
「…………連れて行けば時間がかかる。置いていけば…………」
迷ったダツゴクだが、決断して船長を穴の中に押し込み連れて行く。
かなりの時間が経った。すでに脱獄のことはバレて監獄の中は大騒ぎだろう。
穴から出れたとしても外は海。用意していたボートも見つけられているはずだ。
「悔いは…………」
穴の奥から光が見えてくる。やっと穴から出ることができた。
「やっぱり、ボートは没収されたか……。しかし、看守がいないのはなんでだ……」
ボートはなく、看守もいない。だが、これでは脱出の手段がない。
「……俺を見捨てなかったか」
泡を噴いていた船長は、カニ手を嵌めると正気に戻る。
「なぜ、俺を見捨てなかった。見捨てていれば、ボートを没収されずに済んだ」
「……なぜだろうな。俺にも分からない」
その時、島の端から船がやって来た。帆には髑髏のマークを掲げ、船員達がこちらを見つけて叫んでいる。
「おー! 来たか、お前達!!」
船長は手を振って海賊船に答える。
「まさか、あんたの仲間か!!」
「脱獄を始めて、俺を引きずって脱獄したらこの時間になるだろうと予想を立てていたのさ」
海賊船と合流し、二人は船に乗り込む。船に乗り込むと休む暇もなく、看守達の乗った船が追って来た。
「急いで出航しろ!!」
船を動かし、看守達から逃げる。
「俺が先にボートで逃げてたらどうなってた……」
「さぁな。ボートが没収される前なら、脱獄はできてただろうな。この船に乗ることはなかったが」
船長はダツゴクに左手を出す。
「どうだ。脱獄はした。決めてもらうぞ! 仲間になるか?」
ダツゴクは少し考えた後、
「分かった。俺のことを必要としてるんだろ。任せとけ」
ダツゴクは船長と握手をした。
「よろしくな!!」
「痛い!!」




