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霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?  作者: ピラフドリア


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第52話 『地下大激突』

霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?




著者:ピラフドリア




第52話

『地下大激突』




 車両の中から私達は外の様子を見守る。中佐の指揮のもと、奥の車両から全身を鋼のアーマーで包んだ兵士達がゾロゾロ出てくる。




「凄い装備ね……」




「ああ、まるでSFだな」




 彼らの装備を見た私達に、後ろで腰に手を当てて威張った様子の大佐は自慢げに説明をする。




「あの装備は私の祖国にいるヒーロースーツのベースに作ったものだ。あらゆる衝撃を耐えることができ、どんな環境であっても使用者を守る」




「中佐さんは使わないんですか?」




 彼らを指揮して作戦を指示しているが、中佐は今までと同じ服装のままだ。




「精密な機械だからな。俺やイザベラは乱暴すぎて相性が合わない」




 部隊を指揮している人たちがそれで良いのか……。

 中佐は兵士を連れて戦場へ向かう。戦場は地下道の先で、すでに銃を持った兵士達が前線で戦っている。




「レイさん。あの人たち大丈夫でしょうか?」




「最新装備がどうのって言ってたから大丈夫じゃない? あの化けネズミを倒してくれるみたいだし」




 私は頭に乗っている黒猫に目線を向ける。




「猫よりも優秀ね」




「あのサイズのネズミと戦えるか!!」




 私達が見守る中、アーマーを着た兵士達はネズミ達の元に辿り着き、戦闘を始めた。

 腕から炎を出したり、ガトリングガンを撃ったりしてネズミを制圧していく。




 このまま行けば、攻めていたネズミを全滅させられる。作戦は順調に進んでいた。




 ……はずだった。




「よし、この調子で全滅させろ!! ……ん、一匹大きいのがいるな」




「他の個体の二倍くらいありますね」




「ボスネズミか? なら、この俺…………」




 アーマーを身に纏った兵士の一人がネズミに突っ込もうとした時。ボスネズミから何かが飛んできた。




「え……」




 兵士は突っ込もうとしていた仲間の姿を見る。しかし、その仲間の姿は変わり果てたものだった。




 上半身が吹き飛び、下半身は力を失って地面に倒れる。




「何が起こって……っ!?」




 次々の他の兵士たちもやられて行く。




「これはバズーカだって耐える強靭なアーマーなんだろ!? なんで、なんでネズミの毛なんかに負けるんだよォォォォォ…………っ!」




 ボスネズミは毛を逆立たせると、針のように伸びた毛を兵士達に向ける。そして皮膚を動かし毛を弾丸のように発射していた。




 ボスネズミの毛はまさに巨大な槍。二メートル以上ある槍が豪速球で兵士たちを貫く。どんなに硬い装備であっても貫通し、兵士たちを次々と串刺しにしていく。




「このままだと防衛ゾーンを突破されるぞ!!」




 アーマーを着た部隊が半壊し、全線が崩壊する。防御の薄くなった場所をネズミ達が攻め出して防衛ゾーンは地獄のような状態になった。




「あのボスネズミだ。あいつが現れてからネズミ達の統率が纏まった……」




「少佐!! このままでは防衛ゾーンを突破されます!!」




「分かっている。……お前は中佐に報告に行け」




「少佐は……」




「俺はここで足止めをする。急げ!!!!」




 部下に報告を任せ、残った兵士を連れて少佐が突撃をする。

 狙うはネズミの親玉。ボスネズミを倒すことができれば、統率が乱れると予想した少佐は、仲間と共にボスネズミを目指す。




 仲間達がやられて行く中、少佐だけはどうにか生き残り、ボスネズミの前まで辿り着いた。しかし、突撃で無理やりたどり着いたため、仲間と共にネズミの群れに入り込んだ状態。

 生き残る方法はただ一つ、ボスネズミを倒すことだ。




 少佐はアーマーに付けられた火炎放射器でボスネズミを丸焦げにしようとする。だが、ボスネズミは高く飛び上がり炎を躱す。




「早い!?」




 そして落下しながら尻尾で少佐の首を貫いた。









「中佐!! 前線が!!」




 前線で戦っていた兵士の一人が後方にいる中佐の元に戻ってきた。




「ああ、分かってる……。このままでは全滅だ」




 用意を済ませていた中佐は全部隊に伝達する。




「撤退だ!! この拠点を破棄し、別の拠点に移動しろ!!」




 命令を終えた中佐は私達のいる車両の中へ入ってくる。




「君たちは私と一緒に地上を目指す。こっちだ」




 早足で進む中佐の後ろを私達はついて行く。車両の外には小さめの装甲車が来ており、それに乗り込むように指示された。




「大丈夫なのかな?」




「どうせこいつらについてくしかないんだ。さっさと乗るぞ」




 装甲車に乗り込むと運転席には中佐が座る。隣にいた装甲車には大佐と数名の兵士が乗り込んだ。




 装甲車が発進し、基地を捨てて地下道を進む。後ろからはネズミの群れが追いかけてきているようで、ネズミの声と足音が聞こえる。

 私達が怯えているのを勘付いて、中佐は運転しながら呟く。




「安心して欲しい。あなた達は地上に帰す。あの化けネズミとはそれから決着を付け直す」




 三台の装甲車が地下道を進む中、前を走る車が前方に何かを発見し、他の装甲車に無線で報告する。




「前方に何か……あれは!?」




 無線が途切れたと同時に、前を走っていた装甲車がひっくり返る。そしてひっくり返った装甲車にネズミが飛びかかる。




「っ!?」




 残った二台は急いで装甲車を止める。そしてライトで前方を照らした。




「先回りされていたか…………。急いで出ろ、この装甲車を襲われる!!」




 中佐が私達のことを押して装甲車から出させる。

 ネズミの群れは装甲車の移動先を予告して先回りしていたようだ。




 倒れた装甲車から兵士達が出てきて、ネズミの群れと戦っている。彼らがネズミを引きつけているうちに、私達は走ってその場から離れる。




 もう一台の装甲車から降りた大佐とその部下達とも合流して、地下道を中を全力で進む。




「こっちだ。この先に行けばシャッターがある。それを下ろすんだ」




 しばらく進み駅のホームが見えてきた。しかし、それと同じくして後方の銃声も止み、ネズミ達の足音が近づいてくる。




「このままではシャッターは間に合わないな……」




 大佐はそう呟いた後、部下達と共に立ち止まり武器を構える。




「中佐。その一般人を連れて先に行け」




「大佐……?」




 立ち止まりそうになった中佐を、大佐は叫ぶような大声で責める。




「止まるな!!!!」




 中佐は振り返りたい気持ちを押し殺し、私達を先導してホームへ連れて行く。

 ホームにたどり着いた中佐がレバーを引くとシャッターが降り始める。




「大佐!! 急いで!!」




 銃でネズミの群れを牽制しながら後退する大佐達。しかし、もうネズミの群れは目と鼻の先まで来ている。




「間に合わん、シャッターを閉めろ!!」




「でも!!」




「命令だ!!」




 中佐は動けないでいる私達を目線の端で見て、覚悟を決める。レバーを下ろし、シャッターを下ろした。




 シャッターが閉まり、大佐やネズミの群れが見えなくなる。一応、これで助かったのだ。

 私達は息苦しさから解放されたように、腰を落とした。




 ホッとしている私達だが、中佐はそんな私達の元に駆け寄ると立ち上がらせる。




「立て、さっさと行くぞ!!」



 中佐に腕を引っ張られて無理やり連れていかれる。

 駅のホームを歩きながら楓ちゃんが中佐に質問する。




「ここのホームから地上に出られるんじゃないんですか?」




「いや、ここからは出られない。ここは駅と言っても自衛隊が地下道の経由する中間ポイントとして使っていたもので、地上に出るためには他の駅まで行く必要がある」




 中佐の話ではさっきの襲撃でルート変更をしたことで、迂回ルートになってしまったらしい。

 ここからは遠回りで三駅ほど同じような地下施設を通過して、元々の目的地だった地点を目指す。




 駅から離れてまた線路の上を歩いて行く。




「自衛隊がこの地下道使ってたってどういうことなんだろう?」




「さぁな。俺に聞かれても分からんぞ」




 黒猫に聞いてもなぜだかわかるわけもなく、その会話が聞こえた中佐は、前を歩きながら話してくれる。




「この地下は自衛隊や国家主席が秘密裏に移動するための経路だったんだ。だからそのために迷路のように入り組んで多くの場所に繋がっている。しかし、数十年前に奴らが現れて、ここは廃墟と化した」




「あのネズミですか……」




「彼らは地上に出ることはないが地下に入り込んだものは必要以上に攻撃する。地上に出れば追っては来ない、後少しで君達は地上に出られる」




 線路の上を進み、しばらく経った。駅も一つ越えて、地上は見えないが、近づいていているという実感がある。




「待て、止まるんだ!」




 駅が見えてきたところで黒猫が叫び声を上げた。そして耳を前方を向けて先の音を探る。




「……いるぞ」




「いるってまさか……」




「ああ、あの化けネズミどもだ」




 駅のホームからネズミの尻尾が飛び出してくる。




「引き返すんですか!?」




 リエが浮遊しながら私の肩に捕まり、さらに私は楓ちゃんの後ろに隠れる。

 中佐はハンドガンを構えると、ネズミのいるホームに向けた。




「…………来ない……な」




 これだけ私たちが近くにいるというのに、ネズミは襲ってくるはなく。尻尾を上下にフリフリしている。

 耳を立てて音を聞いていた黒猫は、その状況と先から聞こえる音から




「寝てるんじゃないか……」




「まさか……そんなぁ?」




 私はそんなことないだろうと呆れていると、中佐は足音を殺して先に進む。私たちも追いかけようとしたが、手でそこで待っているように指示された。

 しばらくしてネズミの様子を見てきた中佐が戻ってきた。




「猫の言う通り。寝ていたぞ」




「マジか……」




 驚く中、中佐は冷静に作戦を指示する。




「起こさないようにホームを越える。ネズミは一匹だけだ、起きなければどうにかなる」




 作戦と呼べるものではなかったが、これしか方法もないため、大人しく従う。

 足音を立てないように慎重に、慎重〜に進んでいく。




 ネズミのすぐ隣を通り抜け、ホームの通り抜ける。駅を抜けるまではどうにかネズミが起きずに助かった。

 このまま何事もなく進む、そう思っていた。




「おい、…………起きたぞ」




「そんなわけないでしょ。足音立てるとか、何かあるとか、そういうフラグ要素やってないんだから」




「そうじゃなくて、普通に起きた」




「え?」




 黒猫に言われて私達が振り向くと、ネズミは寝ぼけた様子で起き上がる。

 フラフラとしながらも起き上がったネズミは、鼻を動かして匂いを嗅ぐ。




「まさか、まさか……ね」




 ネズミはホームから線路に降りると、匂いを辿ってコチラを見た。




「み、み、見つかったァァァァァ!!!!」




 私達は全力疾走する。足場の悪い線路の上を、猛スピードで走り抜ける。




「追ってきてる。追ってきてるぞ!!」




 頭の上で黒猫が早く走れとばかりに、頭を肉球で叩いてくる。

 しかし、私は馬じゃない、叩かれたって早くはならない。




 っと、足っているはずが私の足が浮き、動きが止まる。服の後ろが持ち上げられて私は二メートルほど宙に浮く。




 振り向くのが怖いがゆっくりと振り向くと、そこにはネズミの顔があった。




「レイさんと師匠が捕まったァァァァァ!!!!」




 地上で楓ちゃん達が頭を抱えている。中佐はハンドガンをネズミに向けて撃っているが、ネズミはダメージを受けてる様子はない。




 ネズミは口を開けて私と黒猫を口に近づける。このまま食われてしまう。

 しかし、私達は喰われずに、口の前まで運ばれてネズミの動きが止まった。




「こいつ、寝ぼけてるぞ」




 ネズミは目を瞑りうとうととしている。寝起きで眠いため獲物を捕まえて、口の前で寝てしまったようだ。




「今だ。急いで脱出しろ、レイ!!」




「そう言われたってどうすればいいのよ!!」




 足をバタバタさせてみるが脱出できる気配はない。そうこうしているうちに、ネズミはまた起きて口を開け始めた。

 今度こそ、食べられる!!!!








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