表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/64

act9:それぞれの思いと「青春日和」

お待たせしてしまいました。act9です。今話は日常回となっております。

誰もが先を読めるとは思うのですが。ちせつな作者の脳でめい一杯考えて

今回も書きました。それでは、どうか楽しい時間を!


おいっす。声が小さい?ならばもういっちょおいいいいいーっす!さあ夜の

いけない大人の時間と言えばあ密会でしょ!何?このあちしが持つ無敵の

チンチクリンボディじゃたかが知れている?よぉし、チミには特大威力の

板垣烈震流をプレゼントするからそこを動くなよ…Behind you!


…やーいやーいだまされたー、ん、何か後ろに


<しばらくお待ち下さい>


ハッ!あちしは一体何を…じゃない、流石に茶化しすぎもよくないかにゃ。

皆の脳内にも定着しただろう3バカ君達が支給された毛布でくるまり寝た頃、

私はお姉様こと中佐に話を持ちかけるのでござるよ。


「中佐、あの軍人さんとすり変わってたテロリストとかと通じてない?」

「それは何を思って言ったんだ、軍曹?」


あ、外れた―と思ったけど顔の張りが強くなってるね。当たらずとも、と

言う所かな。実際あの准将の部下である時点で中佐はね。ある意味私は

ついていると言っていいのかな。この人が相手で。これが少将様だったら

難攻不落になってた筈だし。気を落とした顔もうるわしい…と言ってられる

場合じゃない。私は隊長であり、気とウマが合う人との会話を思い出した。


『ベルちゃん、ちょっといい?』

『ニフアル隊長?一体何用で?』

『うん、今度君に頼みたいこと出来ちゃったのよー、おk?』

『ドロドロビウム30本市場占領ですか?嫌ですよーあの悪夢の再来はー』

『ドロドロビウムはオレっちの正義!今度は9本でいい!…と、それはまた

いずれ頼むと言う所で置いとくとして…少し真面目な話な、上層部に探りを

入れといてほしいのよ。少佐や中佐辺り…後は』

『それはいいですけど…何で私なんでしょう?』

『今度中佐とは話を設けられる期間を作るつもりだから、さ。この前あった

定期魔力検査で例の機龍、与えられるでしょ?それの試運転がてら、ね』

『あ、はい…って言っても何か信じられないんですけど。あれは私自身も』

『でもその矢を立てられるのは君しかいないんだわ。軍の都合で悪いけど

受け取ってね』


正直な所逃げたい。私自身命かけるとかごめんだし、何か突いちゃまずい

ヤブから蛇を出しちゃったなんて事しても誰も助けてくれないもの。それに

帰りを待ってくれる街の人もいる。あとは後ろにいる最近どちらも不安定で

見てないと危ない2人もいる事だし。


…でもだからって何もしないでまごまごしてたら私にとっての大切な人達も

いなくなるかもしれない。ならとことん探らないと。―ここからは厳しいけど

しのぎ合いだ。


「あなたの上司はアナファルジャからの裏切り者であり、いくつか不可解な

行動が目立ちます」

「単刀直入に言うな。かつての対戦で確かに私の上司である准将は敵国である

アナファルジャ出身だった。しかし…」

「この帝国でかつてドールモート等と並ぶほどに有名で強力な力を持つ武将

イェスが最後の戦果を上げた街にて改心、当時圧倒的な力を持つ初期試作の

ワイヴァーンへ搭乗。自らの故郷から東に位置する、帝国未統一地域の制圧を

直接成し遂げた。…上層部専用の機龍へとチューナップされた初期試作機を

未だ自分の半身のように駆り、その騎士道然とした精神や、今も残党駆逐に

前線で指揮を振う勇士で他隊の人望も厚い。…確かに私の上司も信頼を置ける

人物のようですがそうである故に、何か手の平を返す恐れが怖いんですよね」

「そこまで調べているなら早い話ではないかな、軍曹?物証すらないのに

あの方を此度の話とつなげるには余りにも強引で、論理すらない」

「あの、中佐…私が言ってるのは今回テロリストが軍に侵入していたのとは

別として…」


そんな私の言葉にもお姉様は首を横に振り、こう言う。


「確かに私の上司はどこか企んでいるように見えることもあるだろう。だが

あの方にはあの方なりの考えと言うモノを持っているのだ。私はそれだけは

信じていいと思っている」

本当にまじめに、心からそれは言っているようだった。そうだから本当に

相手が悪すぎる…なんて弱音が吐けない。見ると結構中佐…ううん、あえて

ここはお姉様と呼ぶとしよう。情に訴える方法でもいいかも。だって私も

仮にも特務隊の皆も通じてだけど、もう同じカマの飯を今晩食べた後だ。


「せめて1つだけ。1つだけ聞いて下さい」

「それを聞けないと言ったら?」

「まだ早いかもだけど…この調査が終わって特務隊解散、にならないなら

意地でも言います。中佐を今のままにしてたらいけない気がするから」

「大きく出るじゃないか、軍曹…いや、この場合はイタガキと言った方が

いいか?」

「それ位この子達は未来あると思ってますし、私も。…そうですね、私個人で

お願いしたいことです」

「そう……だな、そうでありたいと私も思う。…して、内容は?」

「考えてません!!(ガクガン!!)」

「(プルプル)…痛いじゃないか」

「す、すみません中佐……本当にすみません……ププ」


気持ちは分かりますけど大人げなく殺気出すのはやめてくだしあ!

嫌怖いですモノホンの殺気でございますわパルベアのとっつぁん並だべさ!

だって今せいだいにこけて椅子に頭ぶつけたお姉様可愛かったんだもん!

可愛いは正義!異論は認められない!!くり返す、異論は認められない!!

…うん、アプローチはこの辺りで終わり…とする前に!


「中佐…今した話とは少し関係無いですが。お姉様にお願いがあります」

「だからそれはやめろと「あえてやめません」今貴様がしているドヤ顔に

私の―聖遺物:アルク―を叩きこみたいのだがどうだろう」

「せめて慈悲を!話だけでも!」

「言ってみろ」

「ドロドロビウム市場制圧また頼まれそうなので手伝って下さい」

「頼む出所を叩けばいいのだな」

「そうでございます」


お姉様の関節技はおっぱいSUGEEEEEEEEE!で切り抜けました。

意味が分からない?ポニテちん程じゃないけどうちのお姉様はでかいよ。


一応きっかけは作った。さて、サイはどう転がるかだけど…お姉さんも他に

もう少し頑張らにゃ!!



「皆ー!ただ今ー!!」

近くの丘でベルクの機龍から駆けだし、都市の門を通過するなりセルアは

大きな声を出した。文字通り跳ねながら自身をアピールするセルアの方へ

誰もが振り向く。元気に腕を振ったセルアを目にした小太りなもの売り達が

目を丸くし次のようなことを口走った。

「「「キャーオジョウー!?おーい、お嬢がお帰りだぞー!!」」」

そんな

「花が…我らの花が…」「パイか!?」「またでかくなってやがるぞ!」

「あれは…あれほどの重力にひかれぬ魂が…!」「あるわけがにい!!」

「姉ちゃんが帰って来たってー!?」「あらあら」「皆に知らせなきゃ!」

「「「「「「「「で、仮装してる軍服どうしたん?」」」」」」」」

「今仮装とか言った皆、お座り。イバラの網で抱いてあげるから」


「でね、そういう事であたしゼス君達についてく為に軍人になりましたっ」

商業都市テルラスクの最北東にある屋敷へセルアとエルゼスは案内された。

ヒビキはアスカレナやベルクと共に1人都市を囲む門壁へ向かうそうだ。

この都市の軍人も今の方策ではさいている警備担当の軍が少ないらしいが

どうなっているかは一応確認したいそうだ。


「なーる。おーい、そこのボウズ」

「―?」

「こっちゃ来い来い」

「…」

エルゼスは目を細めた笑顔の男に対し、距離を置くように上半身をそらし、

壁に預ける姿勢を取った。そんなエルゼスを見た男はこめかみに青筋を見せ

こう言う。腕全体の筋肉がモリッとふくれ上がった姿はヒゲをたくわえた

―アルオグ:ゴリラ―だった。

「おし、あんにゃろ今からこのオレ様が持つペンチのハイスラで「ゼス君に

一体何をしようとしてるのおじさん?」お、オウ。少しあのボウズと話を

しようとだな」

セルアにジト目を向けられ、言い訳するように身振り手振りを意味も無く

動かす男を見てエルゼスは内心で思った。


(俺の所でいうアエルードのおっさんか)


エルゼスが見ている中、2人の会話は続く。

「おじさん。おじさんには感謝しているよ?」

「お、おう。何だ、改まって」

「だからね、あたしの大好きな人に何かあったらあたしも黙ってないんだ。

それだけの事を―ティスフィーブル:あの学校―で学んできたから。何か

とんでもないくらい流された結果、今軍人なんてやる事になったけど」

「…後悔はしてないんだろう?お嬢」

「うん。もう誰かに守られてばかりなのは嫌だったから。色んな事学んで

戻ってきたつもりなんだ。すぐに行く事にもなるけど」

自然な顔のセルアの言葉に男は苦虫をかみつぶした顔をする。エルゼスは

そんな表情から、男がセルアを案じているからこそしたのだと分かった。

エルゼスの口から自然とこんな言葉が飛び出す。

「セルアは…思われてるんだな。少し安心した」

「え?」

「もし俺らに付いて来なくても―」


パン!

乾いた音がエルゼスのほおから鳴った。セルアが平手で打った。そう誰もが

気付くのに数秒かかった。

「バカなこと言わないで、ゼス君」

「…ええと?どったんだよ?」

「あたしは、もう決めてるんだよ?死んでもそんな事言ってほしくない」

「あー…いや、ワリィ」

がしがしとエルゼスは後頭部をかきむしる。そんなエルゼスを見て豪快に男が

笑う。


「ガハハハハハ!何でえ尻にひかれてんのか!オレ達の方もだがお前もこの先

この前と苦労してそうだな!」

「何か…スンマセン」

「イヤイヤイヤ、謝るんかい!?」

「…?ああいや、俺ら…お宅らから何かセルア取っちまったみたいな感じが

してるんで」

すっと男の目全体を影がさした。エルゼスの言葉に、男はこう返してくる。


「ほうほう、よぉしボウズ」

「…?―」

ブンッッッッッ!!!!!


刹那、エルゼスの頭があった場所をでかい鉄塊のようなこぶしが通り抜けた。


「あぶねえな」「ゼス君!!」


(相当鍛えてやがるな…歴戦の戦闘経験ってやつか…?)

それでも上半身を軽くそらすだけで避けれる程エルゼスには不意打ちでも

エルゼスは余裕で避ける事が出来たのだが。セルアは突然の事に声を上げる。


「おじさん!なんて事してるの!?」

「止めんなぁ!セルア!」


フォンッ!!!フォンフォンッッッッ!!!!!!


巨大なこぶしの大ぶりに押され、邸の外へ追い出されるようにエルゼスは

身を引いていく。玄関の階段が男のこぶしで粉々に砕けた。通さないと言う

意思表示だろう。どう猛にエルゼスをにらみ笑みを浮かべる男へ、エルゼスは

訪ねる。

「おいおい、お宅どうしたってんだ?」

「やってるだろうボウズ?今やられてる事の意味も分からないバカか?」

「好きでケンカ売ってるってのかよ」

ふと、エルゼスの脳内で冷静な部分がささやく。

―この男は完全に軍人へケンカを売った市民。拘束する大義がある―


(いや、違う!これは…断じて違うだろ!)

男から出されているのは、不格好な事を言ったエルゼスに対する覇気だ。

間違ってもエルゼスに対する悪意ではない。

「おう、そうだよコゾウ!それとも偉い軍人さんじゃあケンカ買う事すら

できねえってか!?」

そんな受け答えにエルゼスは反射で返した。返してしまったと、そう言える

完璧な返答だった。

「バカ言え…これは買ってほしいってことだろ!なあおっさんよ!?」

「その通りだ!!分かってんじゃねえかあ!」

「2人とも何言ってるの!?今すぐに―」

なおもさけぶセルアに今度は2人して同じことを口にした。


「「とめんじゃねえええええっ!!!!!」」


次の瞬間、たがいにこぶした届く距離へ肉迫しあい―『ただの殴り合い』が

始まった。



「なぜだ…?」

アスカレナの呆然とした顔の一部である口からそんな言葉が小さくもれた。

信じられない、という思いがこれでもかとこもった言い分は次の言葉でその

場で判明した事が明らかになる。言わずにはいられなかった。


「これはどう言う事だ…?何故、こちらの計算書類までテロリストの書類と

決算一致がするようにできている!?」

「そ、そんなの知りません!オレ等はそう計算するよう取り計らえ、と

指示を受けただけです!」

「責任者は!その指示を出した人物は!?」

「中佐殿…落ち着いたらいかがか?」

アスカレナの声にヒビキがなだめるように口をはさんだ。本来なら立場が

反対の筈だろう。しかし、アスカレナの気持ちも分からないわけではない。

だからこそヒビキは改めて今テルラスクを警備している軍の隊長に訪ねる。


「大体の予想はできるが、正直に言うなら貴官の口から聞きたい。正確な

情報を手にしたいからな。無理か?」

「言えないと言ったら?」

「他に聞く…と言うのも無理そうだな。ただ、そうなると」

「間違いなくこのテルラスクの警備を担当している隊の扱いはどうなっても

構わないと受け取る事になるぞ!」

冷静になったとは言え尚もアスカレナの張り上げる声は大きく、怒りが未だ

隠せていない。そんなアスカレナに対し、ここの警備駐軍隊長は厳しくも

悲しい顔をする。


「人質…ですか」

「無様ともどうとでも言ってもらって構わん。しかし、これを見過ごせる程

私達は腐った間抜けではない…そうあってはならないのだ」

「私も中佐達と同意見かなあ。君達の事許しちゃったら管理やら責任やら

どんどんやっかいな問題が放置される事になりかねないからね」


3対1。中佐と言う階級まで彼女自身の実力で上ったアスカレナに特務隊の

隊長、そしてこの任務に任命されたヒビキ。そして階級は低いが手腕だけは

認められているファーニフアル中佐の部下であるベルク。階級がそれなりに

高いと言っても、特別なものを何1つとして持っていない警備中軍隊長は

歯ぎしりしかねないしかめ面で目を伏せ言葉を吐き出すという選択肢しか

残されていなかった。


「~~~~~~~~~~圧力ですよ!圧力!」

「圧力だと?どこの誰からだ?」

「調停部のセヴァル・テルラスクであります!!」

「「!!!!」」


分かっていた事だが本人の名前が出て来た事に3人はおどろきが隠せない。

調停部が軍に侵入するテロリストと通じている。もしかしたら軍の上層部と

手を組んでいる。それをおどろかないわけにはいかなかった。


本来、軍部と調停部は帝国の2大政党として互いの悪い点を指摘し合う上で

お互いの責務を監視、報告し連携し合うという複雑な立場にある。軍失くして

国の労働力は補い切れず、調停部失くして政策の方針は決めきれない。互いに

忌み嫌い合いながら、互いを必要とし、互いを頼る関係で無くてはならない。

それが、こんな形で通じるようになってしまう事は余りにも問題があった。


「言ってくれたのは感謝しよう。しかし…タダで済むとは思っておるまい?

これまた定例のような言葉で悪いが、な…」

アスカレナが冷静ながらも気落ちするのも無理はない。軍で上層部と呼ばれる

彼女にはこう言った決断も下さなければならないからだった。それを十分に

心得ているからか、もうヤケクソでしかないからか隊長が返した。

「だからって軍から弾かれようと調停部から利用され続けようとこのままじゃ

ましな未来なんて得られないですって!だったらもう破れかぶれでも話すしか

ないじゃないですか!はあ…」

この警備隊長にも同情する余地はいくらでもあった。彼ら隊がした事は書類の

不正以外問題は無く、市民からの受けなどもさした問題では無いようだった。

今回特務隊の一行に裏切りが見つかったのは運が無かった、めぐり合わせが

悪かったとしか言いようがなかった。恐らく別の何の企みにも縁がない所に

警備・駐軍の命が届いていれば、無害潔白な存在だったろう。「それより」と

ヒビキは話を進める事にした。ここで散々にこの隊長を批判し続けた所で何の

益も無い。


「これを報告すべきかどうか、が問題だ。下手するともみ消される可能性が

あるのではないか…」

「大体、都市の開発やそういった政策にのみ関与が許される調停部の話が何故

―軍:ここ―に関する方面の話で出てきたのか。それが問題だ…市民には

混乱させたくないゆえ伏せるが、軍内部で話し合わないわけにはいくまい」

ヒビキに返したアスカレナの言い分には正義感とは別の含む何かがあるように

ヒビキは感じ取った。

「中佐殿、ここはその調停部の長が治めると言ってもいい街のはずだが…」

「私はかつてあの男にあった事がある。まず正直に言うがセルアがあれ程に

あの男をにくみ復しゅうを考えるのは必然だ。私でもよく分かる」

「おね―「だからやめろ軍曹」中佐…?」

「クォーレ少尉にも話したが、私は軍人として持ったある目的以外―矜持:

きょうじ―やらそう言った類のものは全く持っていない。そんな私でさえ、

あの男を男と呼ぶ事さえ思えない存在だと確信している。自身の種で生んだ

娘すら世話をしなかったのだ。正にあの男は国の政治を担うために作られた、

人の皮を被った機械人形とさえ言える…!あんなのが今更己の持ち物だと

利用する意図が読めない…あんな男が考える事はロクでもない…そう決める

事だけは簡単だが…」

「エッチェンバルグ中佐殿…?」

「!すまない、熱くなりすぎたか…」


この後話し合った結果、処罰が下るまでこの警備隊は都市で待機し正確な

決算がされた書類を作るようアスカレナが命じた。前から軍や政務内で簡単に

紙が作られているように見えるが、軍内の容姿も当然経費として計算される。

この隊長にはこれからどのような罰が下るか待ちながら、それでも軍の為に

よりややこしくなった経費の再計算を強いられる事になった。




2人の視界には青い空が広がっていた。雲が風のように流れ、空を流れる天の

わたり道ででもあるように揺れている。


「よう、ボウズよぉ」

「うす」

「いいこぶしだったぜぇ。何かえぐるように弱点見抜くみたいな計算された

感じで刺さってくるこくせによぉ…こぶしにこもっいた思いを気持ちよく

感じた。こんなのはオレの人生でもかつて無かった。お前はこれから大物に

なりそうだな」

「おっさんのこぶしもすごかったですぜ。あえて避けやら防ぎやら捨てて

正面から受けたっスけど、思いのたけが今の俺じゃ敵わないな、って。そう

思いました」

「おう、これが年季ってやつだ。お前も数年戦い続けりゃ分かってくるさ。

さっきも言ったがお前の将来は楽しみだな。気に入ったぜ…ボウズ、1つ

言わせてもらうぞ」

「何すかい」

「あんな遠慮みたいのはいらねぇ。何があったのかは知らねえがセルアを

預けなきゃいけねえみたいなんだからよ。そんなお前らがああいう事を口に

するな。胸を張れ。―セルア:この町のオレ達の姫様―と共にいると決めた

以上は、な」

「…うっす」


男は大の字に邸近くの草原で倒れ伏せ、エルゼスは着た服だけがボロボロで

余裕で丘に両足を投げ出し座っていた。ケンカの行く末は当然エルゼスの

圧勝だった。


確かにこの男の腕全体がふくれる程発達した筋肉は、何か昔乱世で何かしら

してきたのだろう事を伝えていた。しかし、そんな何かを殴り合いに使った

程度でエルゼスがなぐり負ける理由は無かった。元より、魔姫エアリシドの

こぶしを基準に考えればそれこそなでられたようなものだった。魔力を使う

必要すらなかった。ノーガードでなぐりあった今でもエルゼスは今こうして

余裕を持っている。それは本来の実力ならたとえ男が数人がかりで同時に

かかっても余裕だと言うことを物語っていた。


「時にコゾウ。名前教えろ」

「エルゼスっす。おっさんは?」

「何、気が向いたら言うさ。それよりも―」

「(何かずるいと思うがこう言うのが大人の余裕ってのか?)そうっすね」


「「ここからが本当の地獄だ…」」


「2人とも、気は済んだかな?」

まず目を見せないよう細めたニッコリ笑顔でセルアが2人を見下ろしていた。

青筋マークがかわいく付いており、怒られても苦ではない事を現わしていた。

問題はエルゼスとケンカしたセルアがおじさんと呼んでいた男と、そして

テルラスクの邸へ早めに駆け寄ってきたアスカレナとヒビキだった。


「これはどうしたと言うのだ?」

「事情を聞いて下さい。何と言うか…目的はあったんですよ」

「目的か…とりあえず何があったのかから聞こう」

「セルアから殴り合いだけしかしていないと聞いたが…しかけたのは」

「男同士、こぶしで語るって言いやすか…」

「とめんじゃねぇー」

セルアは自分に2人が言った事をジト目で見ながら口にした。エルゼスは

それにしっかりとうなずいて続ける。

「ああ、言った。止めていいものじゃ無かった。そうじゃないとこの人は

納得しないと、少なくともそう感じたんだ。俺は」

「領主になる予定だったお嬢さん。分かるとは思うんだがこのエルゼスって

コゾウは何1つとして悪くない。だから罰を受けるならオレが…」

「!?」「何…?」

ヒビキとエルゼスが同時にが男の言った言葉におどろきアスカレナの方を

見上げる。そんな視線を受け止めながらアスカレナは平然とエルゼスに向けて

話す。

「納得させる為にケンカを買ったのか、クォーレ少尉」

「そうです。中佐…でも分かんないとは思うんですが「見くびるな」」

「理由をもってこぶしを振らなければならないと言うのは理解した。ただ

今回は1つ注意だけする事にしよう。ケンカをふっかけるならふっかけるで

『ぶっ飛ばす』でも言うようにした方がいい、とな」

誰もがあっ気に取られて口を開けたままの中で最後にアスカレナが言った。

「返事はどうした?」


「本当に、よかったんですか?」

いつになくエルゼスはアスカレナに自分達がしたケンカについて食い下がる。

「君にしては心配が大きいようだな、クォーレ少尉?」

「何と言うか、出来過ぎてる気がして。後にひびかないか怖いんすけど…」

「そこまでおく病ならけねんした通りの展開を「カンベン願います」中々に

余裕が無さそうだな、フフ。クォーレ少尉が気にしているのは評価、か?」

「そうです。現金ですみませんが」

「調査で残る場所、および都市はは3つ…だが最悪1つだけでもいい」

「要塞都市・イアシェ。そこだけは、頼む。それと…君の方にも持っておいて

欲しいそうだ」


「これは…!?」

「隊長殿がいつかの晩に作った紙、そしてそれに映した会計書類だそうだ。

…有能なのも考えものだな。アカナチの技術を目にして私も目をむいたよ」

アスカレナがエルゼスに渡した紙は帝国の作り方とは別で作られたらしく、

所々にぎこちなくおうとつができていた。つまりはそのコピーを保険の為に

自分に託したということだろう。

「ここからは、君の領分ではないかね?少年」

そんなアスカレナの軽くお茶目に片目を閉じて言う言い分にエルゼスはあえて

容赦なくこう返した。

「そんな事言うから他からお姉様とか呼ばれるんじゃないですか?姐さん。

そしてそこでしてやられたようにパチクリしても可愛いだけっす」

「…(パクパク)…~~~~~~~~…」

目を白黒しエルゼスを指差しながら、結局何も言えずに口を開閉した後正に

逃げだし―邸:やしき―へ駆けて行ったアスカレナをエルゼスは見送った。


この後、テルラスク邸でエルゼスVS特務隊女側+監視役(ベルクまでも

面白いからと加わってしまった)という地獄がエルゼスをおそった。


―act10に続く―


どうしてこんな終わりまでの数字程度が翌日まで遅くなったかって?色々と

読みふけってしまったからだ!!…済みませんでしたァッー!


次回は…次回こそ早めに出して見せるっ!と言いながら、実はそうできる

算段が1つだけつきましたという。これからも宜しくお願いします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ